先週末に観られるタイミングが一日あったにも拘らず、伐採疲れで呑んで過ごした。
今週は連日の好天続きで雨天中止がなく、遂に観られず仕舞いで終わるかと思いきや本日金曜午後、遠雷の後に雨がポツリポツリと落ちてきて作業中止と相成り、おっとり刀で?ロイヤル劇場に滑り込んだ。もはや降るのは雪ではなく雨、である。
先週の「祭りの準備」に引き続きATG【日本アートシアターギルド】作品で、非商業主義的な芸術作品と広告あるが、あの「遠雷」が芸術作品たるかの確認でもあった。
「遠雷(1981)」は、あの横松和夫いや立松和平の作品で、今を溯ること30年ほど前の大学時代に暑苦しいアパートで読んだ記憶があるが、読んだ内容の記憶はどこかの北の街角に置いてきてしまったようですっかりと忘れ去っての映画鑑賞だった。記憶が定かであれば、横松氏の息子が同じような時期に、同じ大学の隣の隣の部室の山スキー部に一時所属していたはずである。
宇都宮が舞台の作品であり映画であり、家内の故郷とあって多少の土地勘がある身には親しみを感じられるものだった。特に祖母、母親役や、宴席に登場したエキストラの雰囲気に濃厚だった。
主役には、私にとって「サード(1978)」以来となる永島敏行が当たり、その親友役にジョニー大倉が登場した。
結婚相手役の石田えりが北関東らしさを好演、劇中ではその豊満な肉体を惜しげもなく披露している(熊本は八代の生)。惜しげもなく。
魔性の女として登場のカエデ、横山リエ氏も今や72歳という。石田もだったが、ビニルハオス内での性交シーンが時代を上手く切り取っていると感じるのは私だけであろうか。
先週の「祭りの準備」でデビュー、主役を張った江藤潤が友情出演とあって、何処で登場したかと思えば訪問の農協職員であったか。
ちなみに、市の職員として?当の原作者である立松氏が登場するが(永島にネクタイを
掴まれ締め上げられる)、氏は実際に宇都宮市役所に勤めていたことがあるので、それらしさが横溢していた?
劇中のハイライトは、ビニールハウス内でのジョニー大倉の告白シーンであろう。滴る雨粒と、涙。聞いた永島の神妙な面差しも演技以上の雰囲気があった。余談であるが、この映画での永島敏行を見て、ソックリさんが誰か居たなぁと思いを巡らせば思い出した! 海外遡行同人総会に一度参加呉れ、ヤマレコにも参加のsamoa氏その人であった。これは似ている。パンチパーマなところか?
予想以上に好ましい作品に感じられた。様々な受賞歴があるのも頷ける、見ごたえある映画だった。作品紹介に「都市近郊の農村青年の絶望的な状況を描いている」とあるもう〜ん、そんなかなぁ。今の時代ように個々人が浸るゲームやパチンコ等々といったエンターテインメント(娯楽)も偏狭な趣味もなく、肉体労働と酒と煙草と女性とのアバンチュールというシンプルな矛先しかないある種の限定的幸福を描いていると私には観えた。とかく現代人はあれやこれやと娯楽の選択肢を拡げ過ぎた不幸な時代を生きていると私には思える。
尚、永島氏はその後農業コンサルタントとして活躍されているそうで、本作が与えた影響も多少なりあるものと思われる。
これは観に出掛けられてヨカッタ。
60歳すか
光陰矢の如し
あの宮沢りえも既に47、V6解散で話題に上るとは。
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