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ジョン・クラカワー「荒野へ」を、ようやく読了した。読了まで、長かった〜。
ジョン・クラカワーはエベレスト商業登山の現状を報告したという「空へ」の方が有名だと思われるが（未読）、あのショーン・ペン監督が取り上げて映画化したほどの作品とあって興味津々だった。
買ったのが今は無き自由書房鷺山店で、宮城君の「外道クライマー」集英社文庫本を買わずにこちらを選んだ記憶があるのでさて、何年前か？ 昨年4月の大峯奥駈にも携行しまた、5月の槍ヶ岳の沢にも持って行ったはずだ。それでも読めなかった（歩くに忙し過ぎて）。
結果としては噂に違わぬ面白さではあった。強く惹き込まれる、とまではいかなかったものの。
良家の育ちで頭脳明晰、読書好きで思慮深い将来性ある青年がドロップアウトしてアラスカの荒野へ一人分け入った結果、放置されたバスの中で死体で発見されたその理由を（自殺説を否定して）、綿密な取材をもとにして鞍皮ーは探っていく。そして著者なりの結論を推測を重ねて導いている点【スウェインソニン】が凡百のノンフィクション作品とは一線を画している。また、クライマーでもあるクワカワーのデヴィルズサム山(初登頂は伝説の登山家フレッド・ベッキー！)登山体験を挿入してモノ語りに説得力を与えるのに成功している。
アメリカでは随分な興味関心を惹いた事件だったそうだが、これも国民性なのだろうか？
両親の不貞を知ったことがきっかけの一つになっている。
死んでしまった青年に否定的な声掛けをしても詮無い。嘴の黄色い青二才といわれようとも、兎に角やってみたかったんだ、と思う。たとい技術が稚拙であったとしても。
印象に残った行を以下に。
●P.201；『私は心からそのモットーを受け入れる。つまり、統治することの最も少ない政府が、最上の政府であるというモットーを【ソロー「市民の反抗」】』
●P.215；『身体の方は健康的に育ったが、私は神経過敏で、心も飢えていた。もっとなにかを、具体的な何かを求めていた。必死にリアリティを求めていたのだ。そこには常にリアリティがなかったかのように・・・・・。しかし、私がなにをしているか、もうおわかりだろう。山に登っているのである【J・Ｍ・エドワーズ「ある男からの手紙」】。』
●P.259；『・・・ところが、はっきりわかったのは、山は夢の貧しい避難所として役立ってくれるということである。【ジョン・クラカワー】』
●P.270;『人生における唯一の確かな幸福は他人のために生きることだ、という彼の言葉は正しかった・・・・。それから何よりも必要なのは、多分、連れ合いと子供への愛だろうーーー人の心は他に何を望むことが出来ようか？【トルストイ「家庭の幸福」】』
あれれ、マッカンドレスの言葉でないものばかりだった。
でもまぁ、読んでよかった。風邪ひいてヨカッタ？
隣の隣のオバサンに貰った庭地植えのキエビネがま〜へー咲いた。芳香は意外にも、、、、消しゴムの匂い。
macchan90様 おはようございます
『荒野へ』は読んでいませんが、良家育ちなのに、、、、、人間は置かれた場所では咲けないものかと思ってしまいます。アラスカの自然と言えば星野道夫氏が浮かんできます。ともに自然へ憧れた結果として、思わぬ厳しい現実に遭い道半ばで絶命したことを考えると、もっともっと生きて平々凡々とした我々に語り掛けてほしかったと思います。
『外道クライマー』は読んだことがあります。『空へ』は、『俺でも８００万円でエベレストに登らせてくれるんだ』と知り、登山が消費文化に取り込まれてしまったことに改めて気が付きました。反って、この日常生活においてもっと大切なことがあると思いました。
トルストイの『人生における唯一の確かな幸福は他人のために生きることだ、・・・・。』はその通りだと思います。固いことを言いますと、自己の至福は登山でも達することもあるけれど、社会的生き物としての幸福は他者への愛（慈悲）の中にあるように思います。
ヤスジ様
今晩は。ヒマラヤやアラスカ等の厳しい自然は、星野道夫氏のような逝って惜しまれる逸材を否応なく吞み込んでしまう場所です。
「空へ」はまだしも「外道クライマー」をお読みですか！ 我々は生活を犠牲にして得た対価としての金、それと引き換えに一体何を求めているのでしょうか。意志をもって生きることの難しさを思います。
私も先だって51になり、個人的な生き物からそろそろ社会的生き物へと脱皮しなくては、と思う今日この頃です。
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