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キャバレー王として知られる福富太郎氏のことが頭にあって、2010年頃の引っ越し先の有力候補として挙がったこともあった。が、中古物件としてはかなりランクが低くて見送った経緯がある。
いや、福富太郎の話だった。
4/29に書店で雑誌「芸術新潮」の福富太郎特集を立ち読みで済まさずにちゃんと買って読んだ(当たり前か)。
1998年晩夏に、北海道は大樹町の橋の上でヒッチハイクした車の運転手のおばちゃんに「岐阜といえば熊谷守一ね」と言われたことがきっかけになって始まった私の近代日本洋画鑑賞だが、その学習の一環で購入して読んだのが福富氏の「絵を蒐める ― 私の推理画説」だった。1999年末に、北海道を去る際に今は無き狸小路アルシュの地下にあった旭屋書店で購入した。
掲載の日本画、日本近代洋画のセンスが一一良い。一個人が蒐集したものとは思えない程に筋が通っている。氏に言わせればコレクションに“通史的な道筋をつける”ということになる。一代で成した財を如何に有効に活用するか。昨今話題を振りまく故“紀州のドンファン”とはセンスがかけ離れている、哀しいほどに(確か、ドンファン宅にはルノアールの小品が掛かっていたけれど)。店の女性には手を出さない。
河鍋暁斎に始まって中村不折、島成園、五姓田義松、木村荘八に、黒田清輝。北村四海の「長閑」何てもう。
白眉は満谷国四郎の「軍人の妻」になろうか。満谷は後期、画風を変えてしまったけれど前期作品に当たる「かりそめのなやみ」に連なる作品に当たろう。生々しさを避けた、間接的に材を取った「戦争画」で、妻の目には涙が浮かぶ。
雑誌の特集でもこの作品は目玉の一つとして扱われている。また、後に入手したであろう鏑木清方「妖魚」は圧巻!である。吉田博も、長谷川利行もお持ちだったか。
しかし、公の目に触れるよう美術館が所有すべき作品群を、個人所有のモノとしてしまう欲は思うに、、、、、深い。勿論、展覧会で出品を請われれば貸し出していたはずだが。
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