施主から「息子を連れてくればいいのに」と言われたのだったがそれに至らず。息子ではなく、わざわざ藤原先輩をお呼び立てして現場へと向かった。「施主息子と伐採へ」。
先週末、以前から依頼を受けていた伐採のため遠隔地へと車を走らせた。
目的の伐採樹種をヒノキと聞いていたのだったが、実際に目にするとどうやら樹形も樹皮も違う、と見て判った。果たしてそれはサワラだった。実生ではなく植栽だろうが、実に珍しいことである。私の施業地でサワラに出くわす確率は、千分の一本、いや1/3000本位だろう。ヒノキの植栽苗に誤って混じって植えられた、というものばかりなので。
あとはクルミを7,8本だったか。クルミは幹が根元近くで二股になりがちなのが特徴の様だった。
この手の伐採は、伐倒は早いのだが枝条の片付けに時間が掛かるもの。なのだが、今回はグランドワーカーが4人も居てくれたので(ジャーナリスト、カメラマン、作家とその次男)割に早く済んだ方だろう。電線や家屋が脇にあるため、どこにでも切り倒せばよいというお山の伐採とは勝手が違って少々ストレスもあった。が、素直な木が多くて冷や汗かくこともなく済ませられた。ここ近日行っていた住宅地縁辺部での伐採が★★★★☆の難度だったとすれば、今回のは★★☆☆☆位だった。
作業後、五右衛門風呂に入れてもらったのが今回の訪問で一番印象に残ったことかもしれない。沢から引いた水を、拾ってきた薪で沸かす。水道局にも、東邦ガスの世話にもならず、社会インフラに足向けして寝る快感、か。今回も藤原さんの数々のお話に笑うこと感じ入ることしきりだった。また、作家でもある施主と藤原さんとの高尚な遣り取りが、傍で聞く我が身の酔いをズイズイと進めた。
報酬として?、鹿の後ろ足スモークを貰った。これを獲ったのは、今を時めく?アノ人だという。
加えて、古びたヨキ(斧)三丁を貰ってきた。施主が住む古民家が、かつて林業に従事していたお宅だったとのことで倉庫にあったもの。長い鋸も、枝打ちヨキまでもあった。
ガソリン焚いて高速道をひた走り、二酸化炭素を排出したけれど、伐採した木が薪として焚かれて化石燃料使用の抑制に繋がれば、それらは相殺されることになる、と思われる。
更には、某作家には今回の伐倒伐採を経て、木材の活用や二酸化炭素吸収源である森林の効用等々について将又、林業の果たすべき役割の重要さについての論考を某誌にブッて頂きたいものである。
そんな今回の行き帰りには、芙蓉峰が美しく望まれた。
いつも興味の引く日記を拝読させていただきありがとうございます。
切り倒した樹は大きければ、サワラはきめが細かく、クルミは外国のウォールナットより淡白な色合いですがいい感じの素材(材木)になるのではないでしょうか?大切に有効利用していただきたいと思います。
CO2排出削減の意識は大切ですね。太陽光への大転換などなど総論賛成しても、一人一人が生活から意識していかないと実現は難しいと思います。五右衛門風呂は昔は入ったことがあります。江戸時代にはエネルギー(薪)も食料も自給できていたんですから科学技術が発展した現在ではやろうと思えば輸入に頼らなくてもできそうな気がします。人口は食料生産量に左右されるので、現在の人口数では無理かもしれませんが、少子化は追い風になるような気がします。こう考えると少子化も問題ではなくなりますし、年金暮らしの私たち世代がこれから30年ほどを生活レベルを落とす覚悟をしていけば自給自足できる日本に転換できるかもしれません。人口減となれば、工業製品の輸出に頼らず豊かさを実感できる国になるような気がします。そして人類の生存危機も乗り越えていけるように思います。
yasuji-さんが年末にかけてお書きだった「グローバルに考え、ローカルに行動する」山行、興味を持って拝読していました。秋に「大江戸省エネ事情(石川英輔著)」を読み返していただけに頷くことしきりでした。
何事につけ、自分の行動が今の時代にどう連動しているのかを常に考えるのは心苦しくも心楽しい行為に思っています。林業が果たすべき役割は殊の外大きいと思い、日々の労働に励んでいます。
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