これは、春樹氏が昨年出した「古くて素敵なクラシック・レコードたち」を読んでのことだが、音楽がこんなにも味わい深い表現でなされていることにこの本の価値があると思う。造詣の深さも伝わる。クラシック界の経糸横糸が織り込まれており、ひねくれ者の教科書に適しているかもしれない。ただ、熱心に読み込んだわけではなく、作文の面白さから一通りザラッと通読したのみ。氏のレコード蒐集のスタンスはジャケットに味わいがあるモノを主に集めてきたとあった。ので、私のクラシックにおけるレコード蒐集のコンセプトもその程度で漁る。
二〇代の若いときのように一度読めばスポンジに水が染み込むようにほぼすべての情報が頭にスッと入ってくるわけでなし、だから当本の知識はルドルフ・ゼルキンと小澤征爾を除いてほぼ消えてなくなっていた。
レコード店内で、ジャズ漁りの手遊び(てすさび)にクラシックのエサ箱をザザっと掘り、手に持ったレコードの質感とジャケットの雰囲気、外盤である異国感から三枚抜いて視聴コーナーでザッと聴いて感じが良かった一枚をレジに持って行った。
その唯一の一枚が、何としたことか本にも掲載ある一枚だった!
これって、凄い確率ではないか。何万とあるクラレコの中から件の本の掲載ディスクを選べたのだから。私のセンスも捨てたものではない、と。
あ、ただそれだけの話デス。
なお、当該レコードというのがFranckの「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」というもので【P.279】、A-2に春樹氏の書く名演振りが表れていようか。確かに「魅力的なメロディーを持った曲だが、全体を俯瞰して把握するのはそう簡単ではない」かもしれない。掴みどころがありそでない。それを言ったらジョージ・ラッセルのEzz-theticsなぞまだ判りやすい部類かもしれない。
オリジナル盤ではないと思うが、厚みあるレコード盤にデザインよろしく質感あるジャケットで更には内容も備えている、それがたったの580圓! これを高いなとどいう輩とはもう、話すことはない。
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