小山ゆうの漫画「あずみ」にこんな印象的なシーンがあった。腕に自信のある花好きな中性的剣客があずみに戦いを挑み、図らずも腹を伐られて死んでしまう〜、そんな中で「は、はな、花をちょうだい!」と言うのだ。死へと旅立つ、この世ともお別れという際に、この剣客は花に包まれて死にたいと希望するのだった。周囲を見回して「アレでいいか?」あずみが剣で指した先にあったのが椿の花で、「椿は好きな花だよ」薄れゆく意識の中で剣客は言う。あずみは相手を死に追いやったその剣で椿をザッと刈り、死にゆく相手に花を手向け、満足げに微笑んだのを確認し、介錯して事終えたというシーンだった。
山仕事を始め、鼻の穴の大きな花好きな親方に影響されて、私もいつしか花好きになった。
先週末は次女のバレエフェスティバルで、名古屋からはyoneyama夫妻にもお越し頂き、目の肥えたお二人にどえりゃぁ過分な誉め言葉を頂いた。また、知人友人から花や菓子を頂いた。楽屋からも貰ってきた花が今、食卓や仏壇を飾っている。花房山、もとい白薔薇があった。
拙宅の、猫の額の花壇には昨年植え付けて以降、消失してしまったと思っていた山野草が、力強く再生しているのを先日知った。ヒトリシズカにチゴユリ、ヤマシャクヤク、貰い受けたキエビネも早や、開花がそう遠くないことを知らせている。移植した覚えもないマムシグサまでも生えてきた。あ、白鳥で買ってきたギョウジャニンニクも元気に生えている。
今日の新聞に、女の子が将来なりたい職業上位に花屋があった。こんな時代だけれど、何があっても花を愛でる気持ちが損なわれない時代であってほしい。
花に包まれた生活の潤いを、一層有難いものに感じる今日この頃である。
作業を終えて下山した山里では、桜に負けじと過剰なまでに花を抱えたハクモクレンが目に入った。「お、重くねぇ?」 帰社の道すがらすれ違う他県ナンバーは、満開を迎えた淡墨桜目当ての車と見た。「お、遅くねぇ?」 それにしても、昨日今日のヒノキ花粉はブワンブワンと舞う様が凄まじかった。「ひ、酷くねぇ?」 花粉症でなくて助かったっ。
【追】アレコレと書いたうえで、この春一番に”持っていかれた”のは、群生する菜の花の、あの黄色の「塊」だったりする。アレは、視覚の点でチョット凄い。
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