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この春に登ることの叶った「小鹿滝」を介して、偶然にして翌日に登攀された方との交流を、今も持っている。小鹿滝を初めて見染めた日のことや、この滝を登るに当たって思ったこと考えたこと、実際に登って感じたこと、お互い思った所を話し合う。共に、大阪わらじの会々報「溯行」を参考書にしてきたことも話題に上がった。
私が登山に求めているのは、単に早く山頂に到達したり山頂数をコレクトしたり良いスタイルで滝を登攀して滝頭に立つという一面的なことになく、山を仲立ちにしてそこから得た体験を共に話したいと思っている。パーティーで共に登った同志と、また別パーティーででも同じ山(や滝)に登った方と。思えばヤマレコという交流サイトの意図もそんなところにあるのではなかったか。
思い出されるのは共に近年お亡くなりになったが剣大滝を単独で登った池上昌司氏と、それを登ろうと情報収集するうちに手紙での交流があった本図一統氏との熱い遣り取り。ひと時、沢登りやスキー地の開拓で盛んに発表が成された2000年頃の石川界隈での山岳会同士の盛んな交流。私が函館を起点にして登山を展開していた際、マニアックでユニークな遡行記録を所属山岳会の会報に掲載していた函館山岳会某氏と連絡を取り、一杯飲み屋でお話しした思い出。
小鹿滝を登った報告をヤマレコに載せると、FB上で友達申請が数件来て承認をした。すると、その内の一人のパーティーが数日後に第三登したと当人からではなく“別の人物“から伝えられた。友達として承認されたから「行ってきます」の一言も「登ってきました」もなく事後報告で済ませてしまう彼らとは、残念ながら心の交流を図る機会は無かった。私にとってはドラマティックな折角の対象もこれでは只の滝、只の山でしかない。報告では我々を随分と立ててくれているのは理解するものの、何だかなぁ。インタビューを受けて、やたら周囲への感謝の意ばかりを伝える若者スポーツ選手が思い出される。そうじゃないんだ、と言っても伝わらないか。また“別の人物“による「あっという間に3登されちゃいましたね。」のコメントに至っては何をか言わんや。そうじゃない。「山はハートで登るもんや。」何のために山に登っているのだろう、他人を意識した競争ごっこなら他所でやってもらいたい。
冒頭に登場したY氏から、交流の一環で私が送付した記録集の返礼にと、大阪わらじの会々報「溯行」が送られてきた。それも、第一号が!
「溯行1」を目にすることが稀ならば、それを贈られることの事の大きさを理解できる方がヤマレコ読者でどれ程お見えだろうか? 只事ではない。超レア、激レア本である。また、氏が過去の記録に関心をもって大滝登りに勤しんでおられることを知れて嬉しい。紙媒体の過去記録を大切にする風潮が絶えて久しいだけに。本当にどうもありがとう。
いつか沢登りでご一緒して、呑む機会を持てるとイイ、Y氏とは。
以上の点で小鹿滝、登って良かったと思う。
小鹿滝の記録が、次号Rock&Snow誌クロニクル欄に掲載されそうです。
おはようございます
この貴方様の日記から登山の世界も想定外の変革(多分良くはない)があるのだなと思いました。
GPSに対してとても失礼なことを言いますが、GPSが蔓延してしまったように思われてなりません。大変便利な反面、GPSによる登山では周りの状況が全く分からなくても歩けてしまいます。つまり心と頭を回さなくても歩けてしまう。自分が広い山塊のどこに居てあの方向には〇〇山があって△m離れているなど考えなくなっているように思います。自分だけの世界に没頭して山全体の中での自分の存在を感じられない。山だけでなく社会全体に言えることかもしれませんが、そういうことが他者への配慮や誠を無くした登山者を生んでいるのではないかなと思われてなりません。
GPS然り、紙媒体でないデジタルデータが一見タダであるかのように誤解されて利用されている現状が、登山なり、人との繋がりなりが感じられなくなっていることに拍車をかけている気がします。単に暖かな心持になりたいと望んでいるだけなのに、事は中々うまくは運ばないものですね。
次、何号になるんか忘れましたけど また紙媒体だそ、て言い続けてる中の人が居ました。
1号ではないんですが、溯行の中では、個人的には馬場さんってかたが書いた文章が好きです。いや、もちろん、松ちゃんさんの記録やルートどりも味わい深く、素晴らしいです。
やはり髪、いや神もとい紙です、何といっても。後年の「溯行」は、書体が私の性格と一緒でバラバラで、嫌いではないです。馬場さんの書かれた記録って少ない、ですよね。
ただ、文章は長くはない印象で、それでも何か伝わってくるというのか、グっと来るものがありました。
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