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ここ最近、乾かない洗濯物の乾燥のために出向く、コインランドリーでその岳人誌「特集・黒部とその周辺」(266)【昭和44年8月発行】の続きを読んでいたところ「あっ」と小さく声を上げた。
『記録速報』の欄に「奥飛騨・三方崩山大ノマ谷第三岩稜初登」を見つけ、メンバーに望月忠氏の名前と共に加納氏の名を見出したため。古い雑誌も捨てずに取って置くものである。当時の売価；200円。
望月忠氏のことは先だっての日記にも書いた。
https://www.yamareco.com/modules/diary/1946-detail-272493
その忠氏が岐阜の山岳会、それも私が買いモノに出向くことのある登山用品店「楽山荘」の前店長と登攀を共にしている記録が残っていたのである。
登山だ沢だ登攀だと、何のかんの言ってみても私の中で関心あるのは詰まるところ『ヒト』である。一個人が何を思って山に行くのか、家庭や家族を差し置いて、時間と金を浪費して環境負荷を掛けてまで。ヘタをしたら遭難してしまうというのに。
ヒトとは単独行でいうところのワタシでもある。山に登ることによってワタシが何処から来て何処へ行くのか、ワタシとは何者なのかを知るヨスガとなる。快適で楽しいだけのキャンプや山登りからその謎が解けるはずもなく、だからこそ困難や苦しみ、不快さ、死を意識する瞬間や何かを犠牲にした上での山行には価値があると思うのだ。結果、死んでしまうこともある。
その手の思いが一番よく読みとれるのが個人報であり、社会人山岳会や大学の会報であり、ヤマレコであったりもする。ヤマレコでは逆に、個々人の登山の主義主張が”無い”ことが露わになって寂しくなったりもするのであるがまぁ、登山とは一個人の営み故にオヂサンは何も言うまい。ただ、他人の思想の借り物だったりするのはまだしも、考えのないただの山歩き記録を読んで私が得るものは、無い。今日日、考え無しなら犬でも登るご時世だ。こうして紙媒体で記録が残されていると(手間暇かかるが)その軌跡を辿ることができる。
上記の件に話を戻す。この時(昭和44年)、中国で会った望月氏は未だ生まれておらず、忠氏は結婚直後のことだろう。かつてご夫人が「山の本」に書かれていた文と照合するに、家族で岐阜に移住して仕事をしていたから「登攀倶楽部岐阜」パーティーとして記録掲載があるのか？ ヨーロッパ遠征を控えてのトレーニングだったろうか？
この後、忠氏は昭和55年に唐沢岳幕岩で墜死してしまうのだが、明神岳�絞�メガネハングルートの単独初登といいかなり精力的に垂直の記憶を積み重ねていたことが判る。
私にとっての登山は、人間を探る行為を伴っている。他人や、自分の。
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