今日土曜は、ロイヤル劇場で今井正監督作「※」いや「米(1957)」を観に出た。
これは第31回キネマ旬報ベスト・テン第1位作品とのことだが、感想を述べるのが些か難しい映画だった。「武士道残酷物語」を先週観たばかりで当映画を傑作と言われるとちょっと困るのだが、中原ひとみには言い分もあろう。
茨城は霞ケ浦が舞台となる半農半漁のムラ社会を映した映画で、高度経済成長を前にした夢も希望も持てない若者たちが多く現れる。彼らは悩む素地すら無い中で憤悶し、酒を浴び、女の尻を追う。夜這すら掛けられず。
この映画を観るに、食うに困るような思いをして目指した「富める国・日本」は、21世紀の今やすっかりとその目的を果たしている。昭和三十年には一粒の米すら貴重だったというのに、その67年後の今やグルメだ美食だスウィーツだと金も稼がぬ子供ですら贅沢三昧の豊満肥満時代である。今は、時間あらば這って稲穂の間の水浸しの雑草も引かずにスマホ弄りに没頭できるのだからまっこと幸せな時代である。
21世紀にして、稲穂の間の水浸しの雑草を引くような作業に日々身をやつす私には、この映画の真価を多少なり理解できる自負がある。雑草引きにだって、哲学はある。
よねを自殺に追い込む構成を、今の時代に理解する人は未だ生きているのだろうか。出頭時に手土産に持った鰻を土浦警察署の門前でぶつかった勢いで篭からぶちまけてしまい、警察官たちが面白半分に拾うシーンが痛かった。それを笑った婦人たちを観て、今の時代の人ならばその罪の理解も及ぶことと思いたい。
地球一周時にパキスタンで会ったヒトさんソックリだった定子、報われなんだなぁ。
しかし、これは傑作なのか?
明日の日曜こそは、、、、、、、、、、、身体を休める。
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