今年の元旦は、NHK-BSで「燃えよデブゴン」をチラ見して、続く「燃えよドラゴン」ではブルース・リーとヤン・スエを目にすることができて年始めとしては最高の滑り出しだった。
1/2,3には箱根駅伝を観た(1/3;8時過ぎの復路で、目印のピンクテープが映った)。
年末12/30に女三人衆をその箱根まで送る際には、NHKで北大ワンゲルOBという野村良太氏の番組を見掛けた【白銀の大縦走〜北海道分水嶺ルート670キロ】。
ヤン・スエやブルース・リー、サモ・ハン・キンポーといった映画俳優は言うまでもなく、箱根駅伝ランナーといい野村氏といい田中陽希氏といい、テレビという媒体で人に見られることを前提にして演じ、走り、登っている。良い悪いはここではさておき、人の眼を意識した襷渡しや登山と、純粋に自分だけの世界で行うランニングや単独行登山とは、全く別の世界が見える行為なのだろう、と考えながら観た。
たった一人になりたかった。
私は一人だけになれる時間と空間を求めて登山の世界に入った(勿論、自覚したのはちゃんとした登り方を覚えてからだったけれど)。実生活をひと時離れて(日帰りではなく、文明を手放して)ヒトリになりたい思いで登山をする心持ちというのは、今の時代にはあまり受け入れられない考えだろうか?
昨夏、北アルプスの沢登りで藤原章生氏と同行した際に氏の同行者(私)に対する気遣いの点で「あ、この方は私と同じ心性を持った方だ」と感じて、帰宅して氏の著書を読み返してそんな一文があってホッとした覚えがある。
「山を歩くという行為より、自分では気づかぬうちに、自然の中で、たった一人になろうとしていた。」【「ぶらっとヒマラヤ」P.231】
そんな一人になりたがるハート同志が一年前の今頃にもご一緒した、ブンショ―氏宅伐倒訪問や城ヶ崎クラッククライミング、楽しかったデス。
野村氏の自宅でのインタビュー時に映った背後の本棚には角幡ユースケ氏の「極夜行」と服部ブンショ―氏の「サバイバル登山家」が刺してあった。文章表現を前提にして為され生み出された二冊の本と、テレビ放映を前提にして為された北海道分水嶺大縦走。
文祥氏とは奇しくも日高山脈部分が重なっている(いや、未だ本になっていないけれどブンショ―氏にも北海道縦断記録がある)。共に単独にして「人に見られる人」と、台風来襲というクライシスがあるも「見られない人」の対比になっている。
テレビなんか、観なきゃいいんだけどね。
そこへいくと、観られようが見られまいが我関せずと唯在るだけの山というのがいい。山には、登山には、どんな人をも受け入れる懐深さがある。殊、日高には。
【追記】何の偶然か本日夜に、同番組がBSプレミアムで再放送されていた。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する