突然に中学時代の級友Mから電話があって、いぎなり切り出された。
「何や、久し振りに電話してきていきなり。」
「もう、お前にしか頼めぇへんのや」
「・・・・・・・で、幾らなんや?」
幾らか聞く段で、既に私の脇は甘いのか。
問えば私の一ヶ月分の給金の額面だ。おぃおぃおぃ。
「急には無理やぞ。」
だいぶ前に、中学時代の別の友人からMの噂は聞いていた。金策に困ってあちこちに借金を申し込んでいたことを。ただ、当時一番親しくしていた私にはその手の申し出はなく、いつかは来るのだろうと予想はしていた。そんな時は、言い値を貸してやろう、とも考えていた。それにしても、額がっ。
中学時代のMは兎に角やんちゃ坊で、殴り合いの喧嘩が絶えない奴だった。当時から優等生として勇名を馳せていた?私とは不思議と馬が合ったのか?苗字が近くて席が近かったからか、何故か親しい付き合いを持っていた。小学6年生の時に私と取っ組み合いの喧嘩をしたことが縁だったろうか?
私が大学一年で彼奴が浪人生の時、探検部で使っていたオピネル(ナイフ)を受験の励ましの意味であげたことがあったが、後になってソレで事を起こさないか心配になったものだった(事件は起こさなかった)。
仕事で疲れていつもなら一杯引っ掛けているところ、栓を抜こうとした手で鳴った電話の受話器を取ったものだから雨の中、金策に走った。「もうお前しか頼める奴がおらへんのや」何度も使ってきたであろう、その言葉が耳に残った。予期していたとはいえ俺もお人好しだな、と思いつつ。生まれて初めてコンビニで金を下ろした。コンビニATMでこの俺に金を下ろさせるなんて。
安からぬ額だ、常識人なら「貸してはイケナイ」と言うのだろう。だが、困っている旧友を前にして無碍に断ることが出来なかった。身近な友人が今しも指を落とされかねない声で金を貸してくれと懇願するのだ、金で解決するならお安いものだ、と。
返ってこないもの、あげる位のつもりで渡そう。
銀行の前で何年か振りに再開したMは私同様に痩せてみえた。ATMでの入金を終えてホッと一息、一ヶ月後の今日までに返すといった。どうやら私は最後の砦だったらしい。そらそうだ、年収二百万チョいの三人の子持ちに金を借りるなんて。
近況を聞くにつけ、常に借金に追い回される毎月の様だった。金に振り回される人生の哀れさを感じた。家族とも全く上手く関係を築けていないくせにその家族に寄生して暮らしている矛盾について一考察も無い。認知している子供がいるだって?
次回会う時はまた金を貸す機会だろうか? 虚しさで終えた一日に、寝付きが悪かった。
一体、金って何なんだらう?
当然返ってこない前提でしたが、ふと今、あの時のお金が返ってきたらと、まるで宝くじが当たる夢で皮算用しているように夢想します。
金銭問題の解決はやはり親兄妹になるのでしょう、友人に求めるというのは既にそういう段階に入っている証拠なのでしょうね。
今回については幸いにして既に返ってきているので、宝くじではなく純米大吟醸に変えて、今回の件を反芻しています。
他人事ながら心配してましたが良かったですww
御心配をお掛けしました。幸いにして返ってきた分で今日はカーネルサンダース氏の育てた鶏に替えてきました。意外に美味しいんですね。
当時、高校生だった私は高校を中退して、早朝4時から7時まで近所のパン屋で働いた後、8時〜17時(+残業)まで工場で働いてました。その反動で?今は怠け者化していますが(笑)
それにしても、macchan90様の人情深さは尊敬に値します。私が同じ立場だったら断ってしまっていると思います^^;
本当、お金って何なんですかね〜・・。
そんな過去がおありでしたか、苦労されたんですね。
辛いことを思い出させてしまってゴメンナサイ。お詫びに「草刈り券」で勘弁下さい。
今思い出しましたが、先輩のyoneyamaさんは私が学習塾を閉じたら「朝飯屋」でも開業しようかと考えていると真面目に言うと「おぅ、その時はmacchan90になら無利子で幾らでも貸してやるよ」と発言したのは今思うと中々聞けない類のことでした。
macchan90になら!
お金って、単なる紙で単なる金属、でしかない。ソレに価値を置き翻弄される人生の如何に貧弱なことか。
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