先々週のことだったか、南洋に生息するシイラという魚が温暖化により日本近海で水揚げされるようになった記事を新聞紙上で読んだ。中に、見覚えのある名前の大学教授が登場してハッとした。函館のアパートで隣人だったべーやんだった。三〇年という年月を思った。
昨日は昨日で、FBの縁で近畿の大学に奉職している高校時代のクラスメートとの遣り取りがあり、三十五年という年月を思った。その教授からは就職指導に際して我々の常識の通じないシン・人類に対する些かの不満も聞き取れた。我々世代も我々で、新人類と称されたこともあった。そんな我々もいつしか指導的立場にある。私のような身勝手な者でさえ春から高卒の新入りの面倒を見る林業指導員、である。
私も家内も、大学を出るのにそれぞれ六年掛かったというのに、その折角の大卒資格を就職時に一度も使うことなくここまで来た。大学教授に林業技術者(単なる現場作業員)、産後ドゥーラ、人生色々だ。
三十六の歳まで登山を中心にやりたいことだけやって暮らしてきた私のような者ですら、幸いにして意味を考えられる仕事に就き、所帯を持って三児も成せた。年収200万円台と言えどこれ以上、私に何が言えよう。
職業に貴賤はない。ただ就職は一生に関わる事だ、堺屋太一ぢゃないけれど有利不利、損か得かで物事の判断を曇らせるべきにはない、とは思う。コスパやタイパ、ではなく自らの適性と指向とを見極めることにだけ留意すれば、そうそう道からは外れないはずだ、と子供達と新入りには伝えたい。アヤちゃん、アンタはイイ世界へ入ってきたと思うヨ。
ガタイのいい兄ちゃんがコンビニで働いていると、ついつい声を掛けたくなる自分がいる。「おいアンタ、そんな細(コマ)いもん触っとらんと林業やらんか? キツくて危なくってなぁ、面白ぇぞぉ〜」
清潔で快適で、安楽なだけの仕事に面白さは見い出し得ないのは登山と同様。常に意味を考えたい。
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