ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

HOME > まっちゃンさんのHP > 日記
2023年08月27日 14:07全体に公開

各務原の思い出

 今日も晴れて暑い。外出もせず布団を干し、シーツを洗濯し、バスタオルも家族全員分洗って干した。

 先週の仕事の現場は、かつて暮らした各務原(かかみがはら)市の某学校だった。そこで草刈り作業に従事した。その現場からは暮らした県営住宅が望まれた。市街を見晴るかす、眺めだけは良好なアパートだった。
 2004年秋に結婚して翌春2005年に第一子を儲け、6年4ヶ月暮らした美濃の蕨生から各務原市の県営住宅に転居したのが2006年春のこと。その秋、36にして初めて定職について林業修行が始まった。右も左も判らない状態で翌年一月に第二子が生まれて、冷静さを欠いたまま家庭と仕事とに揉まれに揉まれて兎に角、余裕の無い数年を各務原市で過ごした(肉体的消耗に絞れていたのがまだ救いだった)。為に、2010年夏まで暮らした各務原時代は私にとってあまり芳しい思い出の無い4年4ヶ月間だった。二人の子供たちに対して、また家内に対しても辛く当たった苦い記憶が残る。今、振り返っても、家族や周囲に配慮する余裕や体力は欠片も無かった。枯れ果てていた。許せ。
 だからだろう、各務原市に仕事に来ると心の落ち着かない時間を過ごすことになる。加えて、航空自衛隊があって航空機産業の盛んなこの街で耳にするジェットサウンドに耳を塞ぎたくなる。岐阜に比べて騒々しい上に過密で、人の欲を刺激する多くの飲食店や巨大ショッピングモールを目にしてウンザリした思いに覆われる。コンビニ、喫茶店、ラーメン屋、焼き肉店、ドラッグストア、自動車販売店etc....。学童保育に子供を預けに来る母親の運転する車は一々大型で、結構なスピードで取って返して仕事に出向く。金で回す生活、暮らし。普段の現場である山県市や岐阜市に比べて山の少ない各務原市の気温は高く、特に今年は日陰の無い場所で暑さにも日射にも当てられ炙られて、辛かった。作業中は、ここで暮らしたキツイ日々を思い起こす機会も多く、遣る瀬無い数日だった。
 第一子の小学校入学に合わせて転居したのが2010年の丁度今頃、岐阜市の長良川近くの今の家で、たったの3年半でもその頃にはそこそこ木も伐れるようになって作業全体の流れや仕事の意味に思いを巡らせることもできる段になって本来の落ち着きを取り戻せた時期だったと振り返ることができる。第三子もこの頃やって来て、それに合わせて薪ストーブも導入して理想とする暮らしに近づけていった。お隣さんと比べることのない、穏やかで慎ましやかな暮らし。
 喉元過ぎれば熱さ忘れる、ではないけれど今となっては経験した4年4ヶ月の我々の各務原時代も尊いものに感じられる。アレが無くては今の家族も私もない。36まで遊び惚けた上で、山も家族も仕事も手の中にあるのだから。各務原に非は無い(住んでるヒト、気を悪くしないで下さい)。ただ、もう街には暮らせない。

 各務原での草を刈り終え、明日からホームグラウンドに戻ると知ると肩の荷が下りたような気がした。布団を込み、パリッと乾いたバスタオルを畳んで、また明日から伐採だ。
お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:314人

コメント

この日記はコメントを受け付けていません。