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この映画もまた、先だって観た「しろばんば」に次ぐ井上靖原作の文芸作品だった。当劇場では月丘夢路特集の一作として上映されたが、私は月丘よりも新珠三千代の主役作品として鑑賞した。やはり、アラタマ美しい。
登場人物の偶然の出会いや接近に些かの作品臭が出ていたものの、物語の作りとしては納得して観られた。新珠が恋心を抱く、不倫相手にカラコルムの未踏峰を少数精鋭で目指すクライマー、三橋達也。そこは流石に創作の山頂名だった。「お母様のやうに、猫を抱いて一生を終えるなんてイヤっ」は、月丘の科白。
その新珠と三橋の縁を繋ぐのが白い子犬で、今朝方読んだ毎日新聞で琳派・神坂雪佳の「狗児(くじ)」を見たことに不思議な縁を感じた。オマケに、鑑賞後に立ち寄った柳ヶ瀬傍の古書店「徒然舎」で神坂の作品集（細見美術館刊行）を手にしたのも必然か、偶然か。琳派、イイよなぁ、アウトしてて。狩野派何て目じゃねえぜ。
話変わって先日11/14、「山旅犬のナツ」を恵与頂く。頂戴して即日、読了した。この本にも「狗児」時代のナツの写真が掲載されている【その写真は伊藤銀次氏による】。
読了後、何と言おうか旅の相棒としてのナツに注ぐブンショ―氏の愛の熱量に圧された。
読了後、ウルタル�曲�に初登頂した故・山崎彰人氏が愛犬ルークを抱く写真を不意に思い出しもした。
読了後、私もブンショ―氏や山崎氏に倣って飼い猫に熱い愛を注いでみたところ、それなりの変化が見られた。実体の無いモノが伝わる不思議。
いや、これこそを実体というのか。
愛、という、、、、。
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