岐阜は柳ヶ瀬のロイヤル劇場にて、先週に引き続いて「'70年代 青春グラフティ」と題され上映された昭和51年作「パーマネント・ブルー 真夏の恋」を。
題名が題名だ、及び腰というか50のオッサンが観に行くには小恥ずかしい気もしたけれど、ロイヤルさんが掛ける映画なので観ておこう、位の気持ちだったが、これが意外にも好ましい作品だった。
舞台は愛媛の港町、今治。
主役の少年・佐藤祐介いや佐藤佑介の役どころのハマり具合と言ったらなかった。この人以外には考えられないほどの好演だった。また秋吉久美子の、逃げる過激派女子大生の疲れた雰囲気の出し方も絶妙な感じだった。旅した30年ほど前のインドでは「日本三大久美子」の一人として名高かった(ヴァラナシにあった名物日本人宿「久美子ハウス」の口上だったと思う)。
この映画には、寡黙にして女たらしの父親役で岡田英次が登場する。主役の少年が、秋吉と逃げるために元手となる10万の金を、呑み屋の女の下にしけこんでいた親父に飛び込みで借りにいくシーンがあった。「オヤジっ、10万円貸してくれっ!」言葉少なに財布を放る岡田だったが一言「無茶はするなよ」。そしてもう一言言葉を継ごうとするが「、、、、、いや、いい。行け。」 同じシーンが降ってきたら、私も自分の息子に10万の金を貸せる。あぁだこぉだと詮索してはいけない。
また、同シーンに登場の呑み屋の女に夏純子! いやはや、何という好配役だ。この人以外に居ないと言い切ってしまおう。私は何故かこの女優さんに弱い。あんな呑み屋が近所にあったら通います、ハイ。
ラストで船にガソリンをぶっかけて燃やしてしまうシーンがあるのだが、行きしに村上春樹の「納屋を焼く」のことを考えていたばかりだったので思わず感じ入った。これまで読んだハルキムラカミ作品で、私が一等好きなのはコレかもしれない。「午後の最後の芝生」もイイですが。
この映画に感情移入したのは、先週廻った丹後半島の海を目にしたことも大きく作用したことと思う。上映は今日2/23まで。
来月上映の新珠三千代特集(!)「惜春(1967)」では丹後や奈良の風景も現れるという。行ったばかりの旅先なので、今から大いに楽しみにしている。
素九鬼子のもう一つ作品「旅の重さ」も持っていて、「旅の重さ」が映画になった時、
主題歌が吉田拓郎、主演が高橋洋子、秋吉久美子がデビュー作だったりで、
映画としては面白かったけど、原作とはかけ離れている気がして、私にとっては今一つでした。
この「パーマネント・ブルー 真夏の恋」も副題からして、その切り口なのだろうと見るのを止めてました。
今にして思えば、たしかにメインテーマは副題どおりだから、原作にはもっと別な意味があると思ってたのは私の勝手な思い込みだったのかもしれません。
機会があったら見てみたいと思います。
コメントありがとうございます。
この映画を観て自然「旅の重さ」を連想していたのでしたが、道理で同じ作家の作品でしたか! ご指摘に感謝します。
機会がありましたらどうぞ。港町、というのは良いものです。
青春は苦く暗い。久しぶりに若かった頃の、あの時代の空気を思い出しました。
コメントに感謝します。
少年のはち切れんばかりの覇気に、報われなかった恋にと、苦い青春期を上手く切り取った佳作だと思いました。息子にも観せたかった。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する