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う〜ん、いつものことながら幾ヒネリもある。が、ハナ（田中裕子）は証人として連れられた建造と収監中に再会し、そうではないと追いすがった後にコトのあらましを理解したという解釈でいいのか【建造に付いた血痕は雨で流れた？ 氷室で泊まった際の殺人後の動揺は？】。となれば、その際の建造の心理は随分と複雑なものだったと想像する。単純な応対にしか見えなかったが、単に”若い”だけではその懊悩は越えられない高い壁だと思う【殺人シーンを目撃していたとする解釈では、連行直後のハナの尋問シーンが理解出来なくなる】。
建造の、女性への憧れと性への目覚め（吉行和子が強烈過ぎ！）。そして母親とハナそれぞれの情交シーンが重なった刹那、抑えることのできなくなった利己的な殺意（ハナは別段災難には遭っていないのだから）。短絡で心幼い建造に対し、冤罪をも受け入れた大人（母性）のハナ。建造の、その心が歪んだ瞬間は実に上手く捉えられていたと感じた。田中裕子はこの映画で数々の賞を受賞したのも頷ける、素晴らしい演技だった。
何にしても流しの土工だが、ヘッペ後の一円の釣り銭は返ってこないは建造に刺されるはで、いかにも浮かばれない。柄本明の言動も大いに作用したことと思われ、団子奢ってくれた学生にアノ対応はないだろう、全く阿呆馬鹿。また後年の渡瀬の足を悪く設定しているのは、逮捕の判断を誤った象徴として、との解釈でよろしいか。
ワタクシも、いつか越えてみたいな天城峠。その際には、どうか刺されませんよう。
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