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いや、その前にこれまでの振り返りをしてみたい。
私がこの林業という危なくも興味の尽きない仕事に従事したのは2006年11月のことである。今から思えば36歳から身に付けようとするには遅すぎる内容の仕事である。職人的という意味に於いて。
気の利いた親方に運良く出会って怪我も無く5年と9ヶ月を現場作業に費やした。社内事情から事務所に投じられて林業の事務仕事をした5年3ヶ月の期間も、ストレスは大きかったものの本来嫌いではない勉強ができて後の私の財産となった。この間、系統だった教育もなく(「見て覚えろ」方式で)作業員を増やすブラックな会社な故に、目も当てられない重大な労働災害が頻発し、随分な人数がgame overで辞めていった。些かハードボイルドに過ぎる世界なのだ。
人材を大切にせず、場当たりな仕事を続けるこの会社Mを退社したのが2017年10月末のことで、都合11年勤めた。週休二日にもなく手荒な扱い、安い給料、薄い人間関係と、あれだけ多くの人間が足早に立ち去った中で勤続11年は長い方だったと思う。
そして今の森林組合に勤める2019年5月までの空白の1年6ヶ月、精神と髪と貯金とを随分と消耗した。
労災としての怪我を初めてしたのが新しい職場で勤め始めてたった3ヶ月後のことだった。NHK「麒麟が来る」放映を前にして、明智光秀にまつわる白山神社にて森林整備中に受傷。樹間で反った杉を鋸断して、撥ねた幹に左膝をしたたか打ち付けた。
●2019.8.7受傷;左膝「脛骨近位部不全骨折」【8/7〜10/31、約三ヶ月】
※家内には明智光秀の怨念と判断された。
更に一年後、各務原の住宅地傍の公園で受傷。伐倒後の、ツリの引っ付いた赤松のそのツリを切断して離した結果、幹がテコで動いて足の甲に乗っかった!
●2020.7.16受傷;右足甲、人差指と中指の「中足骨骨折」【7/16〜9/6、約二ヶ月】
そして今回の受傷。乾大倉の間伐施業地にて、アカメガシワを枝で抱いたヒノキを伐るや、荷重の掛かったアカメの幹が跳ね飛んできた結果、左膝上を打撲の受傷。頭でなくてヨカッタ〜。
●2024.11.28受傷;「左大腿広筋挫傷、左膝関節内側半月板損傷、左膝関節内側側副靱帯損傷」【11/28〜1/20、約二ヶ月】
※前の会社Mの社長と林内で七年振りに出会って挨拶したその翌日に事故が発生したため、家内に言わせると「社長の波動」で木が折れて、コッチヘ跳んできた! その間伐山は、つい最近そのM社長の持ち山に切り替わっていたというから驚きだった! 縁があるんだか、無いんだか。腐れ縁、とはしたくない。
日々暮らしていて、私にはクライシスが多い。まずは自動車の運転。次に山登り。そして毎日ある仕事の中での伐倒作業。
中で一番アブナイのが何といっても伐倒、である。
一本として同じ木が無い中で、応用問題として出され続ける伐採木を、失敗無く伐るゲーム(一本として同じ滝が無い中で、応用問題として出され続ける滝を落ちることなく登り詰めるゲームが、沢登り)。結果が目の前ですぐ出る行為だけに、面白くはある。失敗も多くはヒヤリハットの無傷で通れるけれど、中には過去の経験を総動員して知恵を絞って手を掛けないとタダでは済まされない問題も含まれており、今回のは自分でわざわざその課題のハードルを上げた結果発生した事故だった。稀に罰ゲームのような手痛い仕打ちを受け、今回の事例がそれに当たる。ゲーム性を謳うには、現代人にゃ余りに危険過ぎる。
怪我したくなけりゃ、伐倒作業から手を引くことである(そんな、何ちゃって林業従事者もいる)。沢や岩なんぞに登らず、車の運転も止めて猫を見習って家に竦んでいることである。
でも、今の私にはこれしかない。とりあえずあと十年、腹括って頑張んべぇ〜。
40代は不惑ですが、50代は「知命」と呼びますよね。自分の運命が確定する年代です。受傷を受賞と考えてはどうでしょうか。わたしも50代60代に登った山が一番面白くてこころに残っています。
以上。
年功者からの(受賞の)お言葉、有り難く頂戴します。私の天命が何なのかを考えつつ。
徐々に難易度が高い状況での受傷に伐倒技術力の優れた年季を感じ恐れいります。
林業家であればベストポジションを確保できない場面やたまたま装備不足の場面でも逃げだすわけにもいかなかったのでしょう?
まずは勘を取り戻すことに専念して山の英気を浴びて御安全に復帰なさってください。
コメントありがとうございます。単に、未だ未だ未熟なだけです。どこまで行ってもゴールの無い世界です。精進します。
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