「羽黒の天狗に接したいならば、鶴岡の戸川氏を訪ねその認識を深め、山中の山小屋の主人にその天狗体験を聞き、バスではなく麓から登り、一週間分の寝食の支度をして秘処と言われるところを巡りながら、山の霊気に溶け込んで、自分自身が一種の霊格を得たつもりで、根気よく歩き廻れば、月山、湯殿にはまだ天狗が止住すると筆者は信ずる」p61)など、信ずるものには具体的だが気楽には実践できない手引書なのであります。
全国の山の、天狗に関わる資料の分厚さといったら、唯一の本ではなかろうか。近畿はもとより、木曽御岳、奥秩父、富士、丹沢、御嶽、上州、戸隠飯綱、出羽。百名山山岳ガイド本なんかに比べ、なんと豊かな教養本だろうと思います。諸国の山を巡り歩いた山好きならば、ああ、あの山にそんな天狗が!と気付きをくれる本です。
山々を巡り歩いてきた身にはわかる。山の中では科学的な説明はどうしてもできないことが時々起こる。それはやはり天狗の仕業だったのだと、僕も思います。天狗はこの国の山にかつては跳梁跋扈していて、今は居場所を狭めて潜んでいるのだと。どこかにひっそりと隠れ住んでいる天狗にいつかは山の中であってみたい。
役行者、修験道との関わりも詳述あり。最後には全国天狗番付表あり。
東の横綱・富士太郎、大関・飯綱三郎、関脇・相模大山伯耆坊、小結・富士小御嶽正真坊・・・と名山の天狗の一覧が。信州飯縄山は大関級の天狗やまなのだというのを初めてこの本でしりました。これ全部、そこに住んでいる天狗の実力です。日本百天狗名山です。この著者は深田久弥よろしく、全国の天狗名山を巡っているのです。
天狗の別名が天白、天伯であることを知りました。名古屋、豊橋には天伯原という地名があります。かつて天狗が出るような手付かずの荒れ野だったということでしょうか。実家の近くには天白神社があります。城下町の艮(北東)の要の神社です。天狗に纏わる由緒があるかもしれません。
残念ながら版元切れです。図書館で借りて読みました。ピンと来た方は、ぜひ近所の図書館で探してみてください。
初版1970年代
新板2004年
知切光歳・著
原書房
yoneyamaさん、こんばんは。
面白そうな本を見つけられましたね。
読んでみたくなりました。
以前、馬場あき子 氏の「鬼の研究」が、やたら面白かったのを思い出しました。
何か題名からして、好きなジャンルみたいなんですよね。ren
この著者の三部作は、天狗の研究、鬼の研究、仙人の研究ですよ。
図書館で借りて2週間で一気に読むにはちょっとボリウムがあり、期限切れで急ぎ読む感じでした。本当は手元において、何度もリファレンスしたい本です。
そうですか〜、同名の著書があるんですね。
是非、読み比べなくちゃ〜
「仙人の研究」も面白そうですねぇ〜
ゾクゾクしてきました。ren
”天狗の別名が天白、天伯であること”
へ〜、ひょっとして、家の屋根裏にでも、潜んでいるかもね〜・・・天狗
言葉の意味ってよく調べないと、わからんもんやね〜
言葉ついでに”NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』”
見たけど、豊橋に近いのせいか、よう似た言葉で(方言)笑えました
豊橋の天伯原は梅田川の左岸台地ですね。このあたりは水も引けず、徳川期までは天狗がでるような荒れ野原だったかもしれません。明治以降陸軍18連隊や15師団の演習場に、その後キャベツ畑と郊外新設期の大学ができたんですね。でもちゃんと天伯神社がありますね。
飯綱山の天狗は飯縄三郎さんと言う名前だったかな
15年ほど前、早朝より仙丈岳に休憩無しで登って、
朝飯前に下山して来たwakaさんチーム、
同行の人が「wakaさまは天狗様みたいでした」と言っていたのを思い出しました。
(私も含めてその他のメンバーは前日の甲斐駒だけで
その日はテン場でまったり組でした。)
「飯縄山は昔飯砂山と書いた。食用になる砂の層があり、これを天狗の麦飯と呼び飢饉の年にはふもとの住民がこれを掘って露命をつないだ」とあります。p50
天狗の麦飯ですね!
小諸にもあります。火山ぽいとこにはあるのでしょうか。
飢饉だとこういう物でも食べてみようと思ったのでしょうね。
いや、腐葉土のようなもので実際食べられたとありましたよ。でも、今はもうないんだって。おもしろいですね。
私の通院してる漢方の先生の診察室に天狗の絵があり息子さんが高校生の時にエッチングで書かれたもので、あの技法ですので遠目では古代ローマ人か何か?と思っていましたらプロ並みに上手で実際に息子さんが見たまま書いたらしいです。手にウチワ持ってました。八咫烏とかも見えるみたいです。まだ小さい時は宇宙語みたいな字を書いていたらしい。見える人には見えるんですね。
そりゃ息子が天狗なんですよ。
うわっー。私の妄想心が反応しました。
アマゾンで売っていますね。仙人編を早速ゲットしました。天狗、鬼、仙人好きなワードです。
「鬼の一族」ってのを書いていますし、「霞を食って生きている」って昔言われたことがあります
買っちゃいましたね!飽きたらください。
この筆者のスタンスがおもしろいんです。不思議を不思議として受け入れ、そのくせおよそ実践的ではない実践助言があったりして。古今の文献がよりぬきで紹介されていて、時々開いて見たくなる本でした。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する