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雑誌記事に大きく加筆とのことだが、雑誌記事か新聞記事の縛りをあまり出ていない印象だった。対象との長い付き合いに根ざした情報が多いので、著者自身の立ち位置がもう少し出たほうが、これら特ダネ的情報の値打ちがもう少し上がるのではないだろうか。
もう一点、タイトルと目次から平成の日本登山界女性史という観点での期待があったので、もっと時代特有の考察を盛り込んでほしかった。特に現在の令和は、これまでの構造的な女性差別を振り返る時期だと思う。男たちの中で苦しんだことも「当たり前だった」だけではない視点を多少は読みたかったし、徐々に女性が居ても当たり前な世界に変わってきたあたりを著者が自分の経験としてどう感じたのかを各パートの中で読み解きたかった。結婚出産子育ての壁を完登した田部井さんがやはり唯一完璧過ぎて、他にはやはりいないのか。この時代とても興味深い。インタできなかった小松さんかな。
と、要望ばかりですみません。たくさんの女性登山愛好家のインタビューをまとめた力作です。田部井さんも、谷口さんも、生きている3人も、良い評伝になっていると思いました。平成の30年、自分自身の「山と女の関係史」を振り返ってみましたが、やはりほぼ接点が無く、それだけに興味深いテーマでした。
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