1970〜71年の執筆で、私は1984年に読み、広い世界の名峰を一気に憶えた思い出の本です。
日本百名山に続いて深田氏は世界も連載を始めていたのだけれど、41まで書いたところで茅ヶ岳で遭難死し、途中までです。1970年当時、世界は今と違って誰でもどこでも行けないし、文献も英文の書籍や報告書が集まる人でないと俯瞰できない時代で、当時の日本では深田氏しかいなかったかもしれないと思います。
41座+3座(多分加えたであろう3座を編集者が「ヒマラヤの高峰」から追加)。もう絶版であまり読めないので画像で目次を。(写真左)
この44座に加えて小文があり。こちらの世界の果ての100名山候補にも興味を持ちました。
元ネタの世界百名山はアメリカの登山研究家アルマン氏が1955年に選んだ100があり、それに対する深田流アレンジを述べた小文が付録についていて、そこで触れられている「アルプスとアメリカが多いが、私ならこれを入れる」と短評入りで書いてあった28座も以下に列記してみました。100名山選びかけ段階という感じです。
カフカス山脈:ディフタウ,コシュタンタウ,ウシバ
アルプス山脈:マッターホルン,アイガー,グランドジョラス
その他ヨーロッパ:エトナ,レ・スネーヘッタ,ダネト,イェローチョフカム
北米:マッキンレー、フォーレイカ,ハンター,ブラックバーン,ヘス
ウォーディントン,グランドテトン,ホイットニー
南米:フィッツ・ロイ
ヒマラヤ:マチャプチャレ
アジア:富士山,阿蘇山
南極:マーカム,タイリー,
グリンランド:フォーレル
ニュージランド:エグモント
1955年と1970年では世界の山の見識が変わっていて、ヒマラヤもアンデスもフカダ推しの山が増えています。このあたり当時でも隔世の感とあるが、今見るとそれでもカフカスと欧州がまだ多く、さらに隔世の感あり。
WEBもGPSも無い時代で、世界の果ての山の文献からなので現地語のカタカナ表記も今とは違うし写真地図も満足になかったのでは。アムネマチン最高峰説もあった。この間には改名もあった。以下はそのあたりの重箱の隅的な気づきメモ。
●スカンジナビアの最高峰は記述のレ・スネーヘッタではなく(その名はいま見つからず)ガルフピッゲン山
●ピレネーの最高峰はダネトとあるが、アネト。多分フランス語の冠詞や前置詞をつけたのかな。
●タトラ山脈の最高峰はイェローチョフカム(その名見つからず)とあるがゲルラホウスキー
●グリンランドの最高峰3360mフォーレル(以前はそうだったがその後別の山が認定された)→ギョンビョルン
●ニュージランドのエグモントは先住民語に改名して→タラナキ
●南極のタイリー(4965m)とあるが、タイリーは現在1852mの山。ビンソンマシフが4892mなので、この時点ではタイリーだったのか。1966年アメリカ隊初登とあるからこれだなあ。南極最高峰でも2001年にGPS測定するまで標高はブレブレだったと。
今は南極もグリンランドも画像検索、衛星画像地図もあって夢が膨らむ。100を選ぶ見識がまだ足りない。
1996年〜2001年に白川義員が写真で撮った世界百名山の面々はさすがにアップデートしています。こちらは一覧がwebにたくさん。ヒマラヤやカラコルムはぐっと増えましたが、グリンランドやスカンジナビアやピレネーやタトラなんかの渋い山はほぼ落選してます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/白川義員#世界百名山
今回、初めて自分の登った山を数えてみたら、深田百名山(44名山)は5峰にでかけ、うち2峰登頂していました。
白川百名山は9峰にでかけ、4峰登頂。数えてみたくなるのが〇〇名山。
追記・富士山忘れてた10峰5峰でした。
ヤマレコの登った山リストをおいおい作成します。
私は、深田氏の「世界百名山」の本は、持っていませんが、
このヨネヤマさんの日記を拝見して、改めて自分の本棚を見てみると、
世界の山々に関する本が数冊ありました。(下記)
いずれも、若い頃に購入した本で、
「いつかはこういう山を実際に眺めてみたいものだなぁ・・」
「できたら、このうち1、2座でも登ってみたいものだなぁ・・」
と夢が膨らんだ 若かりし頃を思い出しました。
以下の本のうち、3)だけはアマゾンでまだ入手可能ですが、
1)、2)は入手困難のようです。
・・こういう山の蔵書って、私にとっては、かけがえのない財産です。
(ベルクハイルの蔵書より)
1)「山渓カラーガイド・カラー世界の山々」山と渓谷社 刊(1981)
・・・多くの山が、遠征隊の撮影によるもので、写真が素晴らしい
2)「世界の山岳」 山岳研究会 編、ベースボール・マガジン社 刊(1979)
・・・写真はモノクロだが、各山の説明が詳しい
3)「世界の山やま」(2分冊) 岩田、小畔、小野 編 古今書店 刊(1995)
・・・「地理」という専門雑誌の増刊号扱い
写真も多いし、地形的、地質学的な特徴などの解説が充実
2の本は持ってます。世界のマイナー地域の山の短評が沢山あって、これを超える本はなかなか無いですよね。いまだに。誰も知らない名峰は沢山ありますね。あ、3も持ってる。これも知らない山ばかりで面白かったな。
引っ越しで忙しいのに、こんな入力作業に無心で没頭してしまいました。こういうの案外好きなんです。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する