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Yさんは、鳥に魅せられた男。森の沢添いの作業道を進むと、野鳥の姿を見つけて、何度も立ち止まり、耳を傾けます。登山道を外れたこの沢沿いの踏み跡は、野鳥が沢沿いに行動するため、観察にはいい場面なんだそうです。
私は、鳥だけでなく、沢の斜面の湿気の多い場所に、シドケ(モミジガサ)の群落を見付け、帰り道の楽しみに。
途中、丸々と肥えたカモシカが、沢筋で遊ぶ姿も。
こうして、第一回のレポートで発見を伝えた「山椒のシロ」に到着。
林のなかの涸れ沢上の溝道を、まっすぐ登り上がる地形。今回はより丹念に探索したところ、上下100m弱の区間に、50株はある山椒の木が茂っています。5歩くごとに、山椒の木がある。まさに山椒のシロ!
今回は、じっくり全体を観察して、8本の雌株が実を着けているのを確認しました。
しかし、ここで前回は気がつけなかった、問題。
この涸れ沢状の地形の「シロ」は、山椒の木が全体に小ぶりなうえに、林の間をまっすぐ下る溝道に分布していて、日照時間が限られること。そのため背丈を超す山椒の雌株でも、枝はりが弱く、付いている実山椒の数もまばらです。
せっかくの雌株なのに、実の生産力が弱く、収穫の対象にならない。
私たちは、がっかりして、そしてまた、生産力のある自然の実山椒(雌株)に出会うことの難しさを実感して、いったん探索を打ち切りました。
残った時間で、ワサビの沢を観察しましたが、こちらは今年は空振り。
さて、帰りみちでのことです。
やや急斜面の登りで、Yさんが不意に声を上げました。鳥を探す目に、何かが捕らえられたのです。「あっ、あれ、そうじゃないの! 山椒!!」
そこは、30度に近い斜面で、背丈も様々な木々に覆われているなかに、山椒の木が1本、すくっと立ち上がっていたのです。半日以上も日が当る場所で、若い、青山椒の実が枝の各所に、いっぱい付いていました。
すごい。とても全部は摘めない、青山椒の量です。しかも、まだ7分ほどの生長途上で、縮緬山椒に使うにはぴったりの粒。
鳥を探す目って、すごいね。
家で、下ごしらえをし、今年初物のやや上等なちりめんじゃこ、を使って、「ちりめん山椒」をつくりました。
冷凍庫には、向こう1年間で使用する山椒の実が確保できました。
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