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今回、問題になったキノコは、クサウラベニタケ(写真1枚目)という中毒例が極めて多い毒キノコでした。
それが、ウラベニホテイシメジ(写真2枚目)という、この時期に生えだす人気のキノコと間違われて、紛れ込み、茨城県の直売店で数十パックが売られていたとのこと。
実は、ウラベニホテイシメジには、イッポンシメジという地方名(地域的な通称)があります。今回も、問題の直売所では、「イッポンシメジ」の名前で販売されていました。
問題は、イッポンシメジという別のキノコが実際に存在すること。しかもそれは毒キノコです。
そのうえ、イッポンシメジとクサウラベニタケの大型のタイプとは、外見がとても似通っているのです。
さらにそのうえに、クサウラベニタケには、実は幾つかの種類に小分けされてしかるべきと言うような分類途上の問題があります。
そして、イッポンシメジという「標準和名」式に呼ばれてきたものは、実はクサウラベニタケのあるタイプであるかもしれない、という、分類上の問題があり、図鑑も目下、まちまちの記述になっていることです。
安全面からいえば、事は単純です。
ウラベニホテイシメジというキノコを、この標準和名とともに、しっかり覚えることです。
地方名で区分けしようとすると、毒キノコ込みのジャングルに入り込みます。
私に言わせれば、「イッポンシメジ」などという地方名で、食品としてのキノコを販売するのが、怖い背景を何も考慮しない対応だと思います。
毒と食が、地方名を用いたのでは混乱してしまうし、分類も毒成分の分析も途上にある現段階では、標準和名で識別・販売されないと、とても危険なことになりうるというわけです。
同じ性質の問題が、ナラタケにもあります。
4種、ないし5種に小分けされ、標準和名がそれぞれつけられ、中毒例の検討もすすめられてきました。
サモダシ、モダシ、ボリボリという地方名は、「味」があり、もちろん使い続けられるべきです。しかし、人に食としてキノコを提供したり、ガイドにあたる人、登山者でもそういう役目をになう人は、必ず標準和名による分類と種の特定をしないと、調理の仕方も違ってくることになります。
もう一つ事例をあげると、信州方式のイグチの名称、リコボウ、ジコボウなどの名称です。どうもこれは、1種のイグチときちんとした対応関係になっていない様子です。2、3種をまとめてくくって、呼んでいる。先日は、アミタケ(標準和名)とは別のキノコをアミタケと呼んでいるケースを見聞きしました。
イグチの仲間も成分分析が進むでしょうし、この仲間にはもともと消化不良を起こしやすいものもあります。
関係者や、しっかりキノコを覚えたい方は、標準和名による分類がやはり大切と思います。
キノコの毒性分の分析や中毒事故のデータの集約がすすみ、身近なキノコの怖さや安全な食べ方は、いま現在進行形ですすんでいます。
そうした情報をきちんとおさえるうえでも、キノコはやはりきちんとした名前で覚え、区別する必要があると感じています。
こんにちは,tanigawaさん
最近では販売所での誤販売も増えましたね
知識がないと信用して買ってしまいますが,
やはり購入者側もある程度の知識を持っていないと,身の安全が守れませんね
まだまだ知らないキノコを販売所で買う勇気はありませんが,
山行記録の中にも色々紹介され,少しずつですが「見たことあるぞ
と記憶に残りながら楽しく覚えていけます
いつもありがとうございます
キノコはやはりきちんとした名前で覚え、区別できるようになりたいと思います
kayo-piさんへ。
農協系の直売所もありますし、個人が道端に開いている店もあります。私は、覗いて情報収集を楽しんでいます。
マイタケ、ナメコなどは、自分の山林で原木栽培したものが出ているように見えますね。
雑キノコと総称される、野生の様ざまなキノコも、時期時期のもの、地域のものが出ていて、おもしろいです。
気をつける必要があるのは、ホウキタケ類(分類が途上で毒のものもある)、あとは、カキシメジやクサウラベニタケの混入ですね。この2種は、キノコをよく知っている人でないとわかりにくい。
ナラタケにも、似た怖い猛毒キノコがあります。
最近の都内のイベント会場での、ニガクリタケ混入事件には、びっくりさせられました。初歩的すぎます。
雑キノコにくわしく、山へ入って経験を積んで来た年配の方々が、現場を離れて、世代が変わり、経験と知識が伝承されなくなってるんだと思います。
そして中毒例と、種別の分類と、伝承だけでは間に合わない新しい展開があるのが、この分野ですね。
tanigawaさん、こんばんは。
いつも専門的知識を含めて、一般向けに判りやすく説明して頂き有り難うございます。大変参考になります。
この呼び方の違いはいつもとまどう元になりますね。
一つ質問ですが、カキシメジは代表的な中毒キノコとして図鑑にも載っていますが、同じ名前を他のキノコに使用している地域があるかご存じでしょうか。
可食と言っておられるベテランがいらしたので、勘違いなのか、別のキノコを指して言ったのか気になっています。
fireboltさんへ
>可食と言っておられるベテランがいらしたので、勘違いなのか、別のキノコを指して言ったのか気になっています。
2つの事情があります。
1つは、カキシメジも実は松林に出るタイプ、広葉樹林に出るタイプがあって、分類が途上。同じ名前で2、3種が呼ばれ、松林タイプは実はそっくりの別種で、毒性が確認されていない(らしい)ということです。
松林のものは、カキシメジとくくられることもあり、また、マツシメジと呼ばれることもあります。
私のサイトの図鑑では、カキシメジとして、両方の林で撮影したものを掲げています。
http://trace.kinokoyama.net/fungi/fungi-zukan/kaki-simezi-fungi.htm
新しい図鑑では、マツシメジを別に扱っているものがあります。
もう1つの問題は、北陸の一部地域などで、人気の食用キノコの、クリフウセンタケ(ニセアブラシメジ)を、カキシメジと呼ぶ地域があるらしいことです。
なお、クリフウセンタケは判別がなかなかむずかしいキノコです。
以上2つの込み入った状況がありますから、新しいしっかりした図鑑をもとに、標準和名と分類の進展を見ることが大事になってきます。
そして、安全のためには、対象がなんであろうが「カキシメジ」と呼ぶキノコは、食べないことだと思います。
クサウラベニタケ、カキシメジは中毒事故がとても多いキノコです。1)見分けにくい、2)食べたくなるやさしい姿、3)そしてたぶん味もなじみやすいのでしょう。
キノコ狩りをするならば、必ず覚えて、リーダーが混入に目を光らせ、解散前にかならず各自の分をチェックする必要があります。
私は、友達らとキノコ狩りに行くときは、最後に全量を食毒チェックしてから解散しています。
破片が紛れ込むだけでも、怖いキノコもありますから。
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