確かに、生き物や高山植物のことも大事ですが、登山者にとっては天候の変化・激烈化そのものが、行動や安全を左右する大きな問題になってきます。
それも未来の問題でなく、いま直面しつつある問題のように感じます。
昨日今日も爆発的に発達した低気圧が、街にも山にも竜巻・突風をともなう豪雨を降らせ、そのあとには初夏のような生暖かい陽気に包まれました。北のシベリアまでは冬の寒気が迫っているのに、列島の周囲の海水温が異常に高い。この、あまりの落差が低気圧の異常な発達を後押ししているように、私には感じられます。
温度差、水蒸気量、気圧勾配・・・。大気がもつエネルギーが大きくなっています。温暖化が気象現象にもたらす基礎的な作用です。
気象庁・環境省・文科省などが去年10月に出した「日本の気候変動とその影響」では、例えば雨量については、こう述べています。
「日降水量100mm 以上及び200mm 以上の大雨の日数には、長期的に有意な増加傾向がある。最近30 年間と20 世紀初頭の30 年間を比較すると100mm 以上の日数は約1.2 倍に、200mm 以上の日数は約1.4 倍に、それぞれ増加している。第4次評価報告書(IPCC) は、世界のほとんどの地域において20 世紀後半に大雨の頻度の増加が起こった可能性が高いと評価しており、日本の大雨の日数の増加はこれと同じ傾向を示している。」
観測結果も、今後の予測も、集中豪雨、猛暑日、熱帯夜の増加、台風の大型化などの進行を確認しています。
一方で、雪は、一部地域で一時的に降雪量が増えることはあっても、全体的には減少し、農業用水確保に困るところも出てくるとしています。
登山者の側から見ると、山の天気の猛威にさらされるケースが増える傾向になると、私は受けとめています。
*強風の場合の風の強さが強力になる。たとえば想定外の暴風でテントが倒されることも。
*冬にかなりの雨が降り、ウエアが濡れる。
*ドカ雪の一方で、全般的には積雪量が減る。尾根の藪が隠れてくれない。沢が雪に埋まらず渡れない。岩壁に雪氷が着かない。従来のルートが使えない。
*天候が激しく変る。雷雨も季節を選ばなくなる。
*土砂災害、崩落の多発。入山、下山に難。
*北日本では低気圧の爆発的な発達の頻度が上がる。(低体温症をもたらす気圧配置)
*従来の水場で水が得にくくなる。etc
これらは、ゆっくりですが、着実に増えてくる事態と思います。
お天気の判断のときに、こういう経験を超えた事態という見方をもっておくことも、必要になるかもしれません。
街の話ですが、東京都では、今年9月半ばまでの猛暑で、救急搬送された人は5000人を超えました。これは過去10年間分の同じ搬送者数の総合計を、ひと夏で超えてしまう規模の猛威でした。
一度もニュースになっていませんが、国立環境研などと全国の政令市の消防署を結ぶ、「温暖化センサス」のリアルタイムのネットワークがとらえた、深刻な事態です。
私たちは、人類数百万年の歴史上、実にすごい時代に生きているのかもしれません。大気中の二酸化炭素濃度、メタンの濃度は、現に、過去80万年の最高レベルを、とうに超えて上昇を続けています。
tanigawaさん こんばんわ。「偉そうなこと言うな」と
言われそうですが 危機感は常に持ってます。
「温暖化」自体がウソであるかのように言う人もいますが確実に進んでるのを感じてます。私は大阪出身ですが
いくら大阪が暑いとはいえ自分が子供の頃はお盆を
過ぎれば それなりに涼しくなってましたし 冬でも氷や霜が下りる日もありましたが近年大阪市内では ほとんどなくなりました。あと感じるのは
春と秋が短いもしくは
なくなりつつあると感じてます。
GW過ぎるとすぐにTシャツになったり
秋もいつまでも暑くてTシャツの時期が長かったり
雨の降り方も降るときと降らないときが極端になったり
町よりも山や海が先に影響を受けるので
何か対策を打たないとせっかく現存していたかもしれない「日本唯一の氷河?」もまぼろしになってしまうことでしょうね
前にも書いたかもしれませんが、私が小学生のころに、未来の出来事として、地球の温暖化が進むと書かれていました。そして今はすでにその真っ只中、発展途上国の人の数百倍、先進国では直接、間接、炭酸ガスを発生させて生活をしていることは、確かでしょう。今の生活を改めなければ、危機的状況になると思います。
miccyanさんへ。
>「温暖化」自体がウソであるかのように言う人もいますが確実に進んでるのを感じてます。
温暖化「否定論」の牙城だったアメリカで、当時のブッシュ政権や経済界が、少なくとも事実を認める方向へ転換しました。日本も倣ったのですが、一部の出版社・雑誌や文筆家を使って特定の産業界、労働界がなお最後の抵抗をしているのが、日本の独特の状況です。
気候変動は数十年、数百年というスケールで進行する地球全体のマクロな現象ですから、科学の力によってもすべて解明されたということはありません。解明はまだ続くでしょう。そのなかで、大きな確率で起こりうること、いまその方向で進行していることを、きちんと予防してこそ、人間の理性と思います。
明日の天気予報で傘を備える人が、確度が高まっている温暖化の予報に備えない、対策もとらないというのでは、理が通りません。
>何か対策を打たないとせっかく現存していたかもしれない「日本唯一の氷河?」もまぼろしになってしまうことでしょうね
立山の氷河、化石氷体のほかにも、永久凍土は、富士山山頂部と大雪山の白雲岳付近などに確認されてきました。いずれも、このところはかんばしい観測状況ではないようです。それどころか、夏山の楽しみの雪渓、雪田まで、どんどんやせ細っているのが現状ですね。
araigengaさんへ。
>発展途上国の人の数百倍、先進国では直接、間接、炭酸ガスを発生させて生活をしていることは、確かでしょう。
地球は人間が排出したものを何でも無限に吸収・処理してくれるわけではなくて、実は有限で思いのほかデリケートなんだということが、温暖化問題で人間が認識した大事なことだと思います。
アメリカの国立オークリッジ研究所のデータベースに、産業革命(1750年)以来の世界各国の各年の二酸化炭素の排出量の記録があります。
このデータをもとに、ヤマレコのアクセス・ランキング(!)よりも、ずっと手間のかかる積算を、現在の世界のすべての国ごと、地域ごとにやったことがありました。
産業革命以来の各国の二酸化炭素排出量の積算です。
総合計すると、例えば20世紀の100年分だけで、世界全体で1兆トン弱でした。
この国別の積算値のインパクトの程度を見るには、地球の側のキャパシティと比べる必要があります。これは、国連の「気候変動枠組み条約締約国会議(IPCC)」が、産業革命以来の気温の上昇を何とか2度以内に抑えうる目標として、明らかにしています。
それによると、地球人類が21世紀の100年間に排出を許される総量は、1兆8000億トンです。
20世紀、21世紀分を合わせると、2兆8000億トン。1人当たりにすると20世紀と21世紀の200年間で、許されうる排出量は1人427トン(制限値)。
これにたいして、各国の20世紀の100年間の1人当たり既排出量は・・・。
アメリカは、951トンを排出。制限値比で446年分に相当。
イギリスは 870トン 408年分。
日本は、 397トン 145年分。
途上国全体は、36トン 17年分。
中国は、 55トン 26年分。
インドは、 20トン 9年分。
世界平均は、152トン 71年分。
もしも世界中の国々が20世紀に世界平均並の排出量であれば、人類はまだ温暖化に直面せず、129年も先まで余裕があったことになります。
アメリカが1人当たりで排出してきた量は、20世紀の100年間だけで、24世紀の分まで出してしまったほどの膨大なもでした。実際には22世紀以降には、さらに厳しい排出削減が待っていますから、取り返しがつかないレベル。
一方、中国、インドなど、一人当たりのGDPや排出量では、まだ格段に小さくとも、巨大な人口をもつ国が、アメリカと同じ大量生産・消費・廃棄のモデルを進んでは、自国が砂漠化するし、地球も成り立ちません。途上国は同じ轍を踏まぬように経済と生活のモデルから考え直す必要があります。
当面は、「国際競争力」などをサボる理由にする前に、先進資本主義国はまず率先して、自国の排出量を減らし、中国、インドなど途上国内に進出した自国企業の排出量を減らす、2つの仕事に効果的にとりくむべきと思っています。
こんばんわ。「エコな生活=ギャーとるず」「エコを進めると国際競争に負けて貧乏になるけど良いのか」「品種改良や堤防のかさ上げ」で乗り越えられるから大丈夫 やらない言い訳を探すのはやめて欲しい。
私はその為の増税や環境税の創設はガマンします。昔のような自然な季節の移り変わりを返して欲しいです。民間企業は消費者の目は意識してるはずですから
日本が先頭をきって欲しいし山で遊ばせてもらってる我々にできることを探し
実行していくときですね。
ほんとに、雪渓登りもおちおちできない山になったり、冬にヤブコギするような事態になったら、登山の楽しみは、落ち込みますね。
環境税は必ず必要になりますが、課税すべきところに、しっかりかけてほしいと思います。
その一方で、最近は、地方の山はとくにバスなどアプローチの便が悪くなっています。公共交通機関は温暖化対策の優等生で、もっと大事にしてほしい。
通勤・通学・買い物の足などに困る人のためにも、車から公共交通網への、いまと逆のシフトを強めてほしい。
エコ割引をガソリン車に広げては、温暖化対策に逆行します。車を減らす方向性が必要。高速道路も国費で一律に割引にするのは逆行。バスやJRの遠出や帰省に、支援すべきです。
公共交通網で、山や温泉へ、もっと気軽に行けるようにする。昔はずっと便利でした。
テレビの無理な買い替えあおりも同じ問題。
産業界も、多くの分野では、すでに気持ちの中でも、実際の企業活動でも、認識が進んできていると思います。
ただ日本の遅れは深刻。
風力、太陽光などは、日本に先進技術があったのに、国内では施設・装置が売れず、海外に大きく先を越されました。
いまあわてて、自然エネルギーにも対応する「知的電力網」(スマート・グリット)を開発、導入をしようとしています。が、太陽光発電は導入も、外国からの受注も、ドイツ、中国などに大きく水を開けられ、それこそ新しい巨大な市場での競争力を失っています。
温暖化対策というのは、二酸化炭素を、いま年に1人10トン前後を排出している先進国が、1トン程度にまで激減させる大改革です。
世界の先を読んだとりくみの必要性は、やっと日本でも広がりだしたところです。
メキシコでの国際交渉が始まりましたが、日本政府は、先進国の率先した削減(「京都議定書」の延長)を、自分で反故にする態度に出ています。
他国がどうのこうのと言っている立場に、アメリカや日本がいられる筋合いは、「実績」にてらして、ありません。
中国を例に出せば、責任をまぬかれると算段しているようですが、日本は自国で国民1人当たりで大量排出しているだけではない。
いま国際的に問題にされているのは、中国など経済的水準では途上国の側で、外国資本が大量生産し、それがアメリカ、日本などに輸出されていることです。(二酸化炭素排出量の輸出に相当。)
日本の場合は、いま日本国内で排出している二酸化炭素と、同等の量を製造段階で吐き出した「部品」や「製品」が、日本に入り、消費されています。
国内で抜本対策をとるとともに、海外にも最新の排出削減技術の導入をすすめてほしいと思います。やるべき量は明示されているのですから、この改革は早いものが結果的に世界をリードできます。
目先の利潤追求では、経済も未来が開けません。
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