私の勤め先で話題になるときに、感じてきたことがあります。東京で暮らしている人には、原発で避難対象になっている３０キロ圏＋アルファの広大さが、実感できていないのではないか？
これは、実はテレビの「同心円の地図」が現実感が薄いからかもしれません。
何しろ福島県は、面積で全国第三位の県です。１つ１つの町や村の大きさが違う。縮小された同心円の地図では小さく感じてしまう。
避難対象の、差し渡し（直径）６０キロという距離は、首都圏に置き換えるとかなりの広大さです。
仮に国会議事堂を中心に３０キロの同心円を描くと・・・。
東は、習志野市（千葉市の手前）。西は、国分寺市（立川市の手前）。
北は、浦和駅（さいたま市）。南は、横浜駅。
１都３県にまたがるこのエリアの人口は、優に２０００万人を超えるでしょう。
関西では、大阪―神戸が３３キロ。大阪―京都が４０キロですから、京都―神戸間に迫る地域に相当します。
そこから、さらに４０キロ以上へはみ出て、新たに避難対象となった飯舘村や川俣町がある。その広大な地域から、福島の人々は避難しています。
昨日発表された「工程表」では、この先、さらに半年か、来年２月まで、避難を続けたうえで、その時点で、いま避難している１３万人（県外は３万人）が家へ帰る事ができるかどうか、改めて避難エリアを検討するとのことです。
その「工程表」。時間的なメドは着手しないと判断できません。が、いまやりうる対策の全体像を明らかにした点で、大切な意味があると思います。
今度は、事態の悪化に後手後手で対応するのではなく、機材の発注や各ミッションの実施を、１つが駄目でも次の手を先に打って用意をすすめておくなどして、先手先手で併行して前進させてほしいと思います。
その成否にかかわる根本的な問題として、２つあります。
１つは、私がこの「週刊情報」のその２から書いてきたことです。結局、どんな対策が考案されても、それができるか、できないかは、現場の放射能レベルと人間とのたたかいで決まってくることです。
建屋の外に臨時の「冷却水循環システム」をつくるにしても、結局は圧力容器と格納容器の配管の付け替え工事を人間がやらなければならない。
１、２、３号機は、大なり小なり水や内部のガスが漏れ出す損傷を受けています。原子炉建屋に人が行って修理しないと、「循環システム」は構成できません。
建屋のガレキや鉄骨も片付けて、耐震性を強める工事も予定されました。どれもこれも、人間がそこでやることばかりです。
現場の作業員は、事故以来、１００ミリシーベルト以上の被曝をされた方がすでに２８人以上います。なかには、先月の爆発時に内部被曝をして、全身の被曝測定を早急に受けないといけない方いると報道されています。
現地本部の作業員は５００人前後で、一部ずつ交代する体制です。
人間は放射能には勝てませんから、いまの水準とは桁違いの作業人員体制が、長期的に必要になってくる。
作業員の被曝限度を２５０ミリに上げただけの「しのぎ」では、先が開けません。
また人が何人いても、放射能が強くて現場へ行けなければ作業はできません。何しろ事故後は誰一人、原子炉建屋の内部には入っていません。２号機は地下への入り口で１０００ミリシーベルト以上の放射能でした。
そもそもの作業の実施可能性が、かなり危うい。
東京発の海外の報道も、ここに注目しています。（例えば１７日東京発の「ニューヨーク・タイムス」）
２つめは、対応の規模です。
事態のそこまでの深刻さについて、東京電力や政府の記者会見の限りでは、ほんとうに認識されているのか、かなり心配になりました。
昨日急きょ来日して日本政府と会談したクリントン国務長官は、福島原発事故を「米国の専門家は前代未聞の規模の危機だと認識している」といい、事故情報の公開についても「日本政府の透明性について懸念」を指摘しましました。
当事者よりも、他国の方が余計に心配してくれている。
「工程表」をやりぬくのは、世界でも未体験の大規模なとりくみになります。
だいたいなぜ、工程表を出した記者会見で、主要役員は６月の株主総会でみな辞めるなんて言えるんでしょうか？ 責任をもってやりぬくものならば、事故対策のもっとも大事な時点で、自分から辞めると言い出すなんてありえない。出した以上は、応援しますから、最後までやりぬいてください。
破壊・放射能の規模は、今後確認がすすむほど、想像を絶するものになる。ほんとのところ、原子炉がどこまで壊れているのか、わからない。
圧力容器、格納容器と配管は、自分の耐震設計をはるかにこえる地震にさらされました。温度計も、圧力計も、異常値が出るたびに、「値がほんとかどうかわからない」と説明されています。
いよいよこれから建屋に入ろうとする時点ですから、やっと事態が見えてくる。何があるかわかりません。実はほんとうの破壊の規模が、まだわかっていない。
規模の点で、もう一つ単純な例でいうと、放射能汚染水を外部に設置する「浄化装置」で処理し、また原子炉に戻せるし、「きれいにすれば海にも流せる」、とまで会見では話され、報道されました。
これには、フランスとともに、いま世界一レベルとされるロシアの浄化装置も導入されます。しかし、その性能は、１基で年２０００トン（日経４・１７）です。
これにたいして、原子炉にいま注入されているのは、３基で一日に５００トン前後です。（１〜４号機の使用済み核燃料プールを除いて）
高性能の水処理施設を、９０台は用意しないと、水処理はできません。敷地に収まるのはせいぜい１０基でしょう。
フランス・アレバ社の処理装置は、毎時５０トンの処理能力とされています。これも通常の汚染度をはるかに超える２号機などの汚染水が相手では、何段階かの処理過程を組上げる必要が出てきます。
メンテまで考えると、複数基を導入しないと間に合いません。
ここまで高濃度の「汚染水の処理」は、やるのは途方もない。
その放射能汚染水の処理は、しかもまだ「前門の虎」でしかありません。
建屋に入れるかどうかは、その後のこと。
クリントンさんがいう「前代未聞の規模の危機」の意味を、考えさせられます。実にたいへんです。放射能の放出量では「レベル７」まできたと判断した結果、その対策がどれほどたいへんになったか、本格的にとりくむこれから、思い知らされることになりそうです。
いまの用意だけでは、事態の規模に、対策の規模が見合わない。ここが、もう一つの大きな穴にならないことを願っています。
ともかく今日も現場からは、「毎時最大１テラ（テラは１兆）ベクレル」（安全委員会発表）という放射能の拡散が続いています。
アメリカ政府は、アメリカ原子力規制委員会の検討をもとに、日本からの退避勧告は解除しました。しかし、８０キロ圏への立ち入り禁止措置は、今後も続けることを確認しています。
tanigawaさん こんばんわ。今 夜勤前で目が覚めたら
テレビで東電の清水社長の参考人招致が放送されてました。福島原発７,８号機増設で突っ込まれてました。
「一ヶ月をめどに計画的避難」と政府は簡単に言います。もちろん避難場所は用意すると思いますが
子供たちの教育、生きていくのに必要な仕事は
自分で探してくださいでは・・・いつまで続くか、
本当に帰れるのか誰にもわからない避難生活
何の目安もないよりはマシかもしれませんが
極めて楽観的に机上で作られた工程表。おそらく
何度も変更されることでしょう。
次にtanigawaさんもおっしゃられてますが
いまだ損壊状況がわからず高濃度な汚染区域で
ガレキの撤去、補修をできるのか・・・
テレビの模型や新聞では一切省略されてますが
おそらく網の目のように張り巡らされた各種配管
何が どう漏れているのかわからない上
電線ケーブルなどの復旧が すんなり進むとは思えません。しかも放水で冷却し続ける中で困難な作業に
なるのは間違いありません。
他の人の日記で書きましたが 今は 東電も政府も
学者も 原発がこの先どうなるかわからず ただ収束を
願いながら 放水してることだけです。
放水すれば その水が溜まりどこかにあふれることさえ
予測できず 闇雲に冷やすだけ・・・
この瞬間も放射性物質を放出し続けてること
外部電源が余震などで途絶する可能性も秘めた中での
あやういものであることを関係者はもとより
国民も理解してるのか疑問です。
最後になりますが Ｓ経新聞などでは
原発が自動停止したことをもっと評価しても
良いという論調もありますが 私は最低限のことと
しか考えてません。東通・女川は幸い冷却も
うまく機能してますが これだって綱渡りで
胸を張れるようなこととは思いません。
miccyanさんへ
私の、南相馬市に住んでいた姪夫婦４人家族は、ご主人に伊那の工場への転勤辞令が正式に出ました。現地の工場は立ち入ることもできませんから。
住民票も移す手続きを終えています。
乗用車で運べたもの以外は、すべて置き去りのまま。
この家族とは違って、避難した方は、生まれ故郷の方が大半と思われます。避難しているご家族、ご年配の方や子どもたちのことを考えると、向こう早くて半年以上、という計画のむごさを感じます。
やはり、いざというときは放射能という手に負えないものを相手にすることになる、という点での、根本的な甘さ、過信があったのではないでしょうか。
電気は、現代人には、空気のように大事なものです。それがどのように作られて、この社会、この大都会が成り立ってきたのかを、これからはもっと考えていかないといけないと思います。
その点で、日本のＧＤＰはもう２０年間もほとんど横ばいできているのに、電気使用量は右肩上がりでどこまでも増える、などと思わせてきた、電気事業連合会はものすごく問題です。
原発を２倍に増やす、目標に合わせて、みんなに浪費を説いてきたようなものです。
元推進側の専門家や研究者、事故を食い止めるために頑張っている方々、地元には原発をつくらせないと運動している方々、反原発・脱原発の方々、私のように事実と体験で原子力の安全対策とその限界を考えている人間、電気を使う人すべて・・・。いろんな方々が、人口も経済も量よりも質が問われるこれからの時代に、原発はどうあるべきか、考えていかないといけないと思います。
とりあえず、新増設は止めないと。そして、関東、東海、中部に深刻な被害をもたらす、超危険な浜岡原発は、大地震がくるまえに廃炉にしないといけません。
tanigawaさん、おはようございます。
対策を検討している人々はそうアホばかりではないと思います。
原子炉内の状態、特にメルトダウンした燃料については経験も乏しく、冷温停止までの工程については色々な見方・意見があるはずです。
政府が工程表を示せと命令したので、東電は従うしかありません。
色々な対策・時間軸を検討し、想定通りにならなかった場合の社会的影響まで議論した上で、単に政治的に選択しただけの工程表だと推察します。科学的でも論理的でもないのはやむを得ないと思います。
現在の問題点は注入している水が高濃度の汚染水となって出てきて地下に浸透している点と、水蒸気の発生です。地下に浸透した汚染水は地下水の流れに従って長期に渡って海に流出し続けるでしょう。
従って、水を循環させることが最優先課題。
次に、熱交換器を組み込んで注入水量を増やし、温度を下げることにより水蒸気の発生を減らすことが課題です。但し、たかだか100℃程度温度が下がる程度ですから、メルトダウンした燃料から見れば大差ないのですけど。とすると、何が安定なの？・・という話になります。
浄化装置を頻繁に交換できないとすると、結局循環水の放射線量はひたすら上昇していくんでしょうね。
これが読めない。これが問題。
ポンプや熱交換器や配管が長期に安定稼働してくれればそれでも問題ないのですが、回転機は油を差したり定期メンテナンスが必要です。この作業、やりにくいでしょうね。
で、相変わらず私には答えが見えません。ひたすら放射性物質が出続ける状態に変りがありません。
メルトダウンした燃料が核分裂を起こしていないことを祈るばかりです・・・
dari88さんへ。
例えば、アメリカのスリーマイル島原発事故のとき、カーター大統領の判断で、直轄の事故対応指揮スタッフが設けられ、外部の非専門家と研究者らがそこへ入りました。原子力規制委員長も、即応できないと見限られ、交替させられました。
事故対応責任者は、放射能を遮蔽する鋼鉄の分厚い板で壁を構築するとき、それを持っているのが陸軍だとわかると、ただちに手配を指示した。
通常ならば、２０枚も決済書とサインがいる。
そんな悠長なことはできないので、現場の陸軍の司令官に電話して、「この指示を確認したければ、ホワイトハウスに電話してくれ」といい、その司令官を動かして鋼板を運ぶ手はずをとったとのことです。
彼と大統領は、専用回線でいつでも直に連携する体制がとられました。
以上は有名な話です。
ずっと避難規模が小さいスリーマイル事故でも、原発・放射能が相手の時は、ここまでの措置がとられました。
原発事故とは、そういう指揮体制が必要だということでしょう。一電力会社に任せていてはだめだし、いいなりだった保安院も上からがっちり指揮する全権掌握体制が入ります。
徹底した情報公開のもとで。
静岡から大型甲板船（メガフロート）を現場に持ち込む判断をして、もう２０日以上もたちます。移動を開始するまで１週間かかり、途中で横浜港に寄って点検中。
現場へ持ち込むのはまだ１０日はかかるでしょう。
そのあいだに汚染水は海へ投棄されたり、垂れ流しされたり。
ここらへんが、規模と速度が間尺に合わない。
他国の経験を学ばず、安全対策も、安全監視も、事故対応も、いかにも日本的です。電力会社に気がねしいしいやってる。
原子炉建屋にやっとロボットや人が入って、ごく入り口付近でも高い放射能が確認されだしています。
人間が行程表をつくても、やはり放射能のレベル次第で、どうにもならないです。
第２ステージまで１年以上たつ可能性がありますが、その時点でも、おそらく半径１０キロ以内の広大なエリア（東京２３区内の面積に迫る？）では、帰宅はできないかもしれません。
日本とは実はどの程度の国なのかを、世界に知られてしまった事故になっちゃっていますね。技術力をふくめて本来の力はあるのに、発揮される制度、体制に欠けている。情報公開も前近代的です。
tanigawaさん
こんにちは。。
いつも参考にさせていただいています！
tanigawaさんが、原発シリーズで危惧されていた、
建屋内に人が入れるかどうかが分かれ目。
今、まさに分岐点に立たされているようですね。
昨日の東京電力�蠑）鷁馗后�武藤副社長の会見
福島第一原発事故の、原子炉安定冷却までの『工程表』が示され、道すじが付いたような錯覚を与えているようです。
枝野官房長官の答弁では『専門家が示したもので‥』信頼に値するといったような内容のことを述べていました。
都合のいい情報しか発信しない、
腐った体質である東京電力�蠅痢⊆�束への計画はまさに『絵に画いたモチ』としか思えないのは、多くの国民が感じていることと思います。
以下、記者会見の質疑の内容をペーストします。
〈武藤副社長の説明が終わり、質疑応答に移る。１〜４号機の現状と課題に関する質問が相次ぐ〉
−−原子炉の冷却について、２号機の格納容器への注水は行うのか？
武藤副社長「現在、原子炉から出る熱については安定的に除去できている。冷却の安定性を増すために、格納容器に冷却水を注入する。２号機の場合は漏水が多く、《格納容器が損傷している可能性があり》� ▲拭璽咼鷏�屋などに放射線レベルの高い水が流出、滞留している。外に出てくる量と、注水量、除染を見極める必要がある。２号機について、《損傷個所の密閉作業などが行えれば》�◆�燃料棒の上部まで格納容器を水で満たすような、１、３号機と同じ冷却策を実施できる」
−−復旧への目標数値である３カ月と６カ月という目安の根拠は？。特に、２号機の格納容器の修繕はできるのか
勝俣会長「２号機については、絶対に《期間内に修繕できる保証はない》��。だから、多様な収束方法を考えている。１００％これできるものはないが、できる限り、いろんな方法を考え、めどとして、３、６カ月という《目標を達成したい》�い箸いΔ海箸澄�
以上、一部を抜粋してペーストしました。
解かりにくい点を東電に電話で確認したところ、東京の社員の方と、特に原子炉の専門部署の方と話ができました。
�‖蚕�している可能性がある⇒可能性が高い、もしくは間違いなく損傷している
このように表現されるべきです。
東電社員『格納容器の、おそらく配管部分が損傷しています。』
�◆ー勸�『密閉作業の前に建屋内に溜まった高濃度の汚染水の除去が必要』
『汚染水を抜いた上で放射能レベルを下げる』と話していました。
この二点が重要なカギになるような気がしています。
��と�ぁヾ�間を越えても難航する可能性も？
２号機の燃料棒露出について、原子炉に詳しい担当者より
『燃料棒損傷・溶融の可能性はある』
『今現在は現状維持だが、安定冷却には(燃料棒が)完全に水に漬かることが不可欠』
昨日ロボットが2号機建屋の調査をしたので、結果を見守りたいと思います。
本日、保安院より正式に『炉心溶融』と発表・報道されました。
原発野外活動情報の続編に期待いたします。
keisukeさん、記者会見のデータ参考になります。
情報の公開のことですが、原子力学会の１６人の有志アピールや、学術会議の声明でも、多くの専門家の知恵を集めて、事故に効果的に対処するために、基本的なデータを広く公開してほしい、という意見が出されてきました。
考えてみると、ほんとにごく基本的なデータが出ていない。
＊事故当日の一連の経過はまだ概要以下しか公表されていません。
＊各原子炉、とくに圧力容器の温度、圧力、冷却水の量、それぞれの計器（センサー）が生きているのかどうか、も全容は出されていません。
だから温度や気圧が上がっても、「計器の異常かもしれない」などと説明されて、原子炉の様子がわからない。
（この原子炉データと、格納容器そばの放射能データが全局を左右するデータです。通常は継続してモニタリングされてきたはずだが、破壊されたためか、わからなくなっている。）
＊電源が回復されたはずの制御室で、どこまで各センサーのデータが把握できているのか、何が把握できないのか、そもそも通電したあと、制御室は（放射能のため？）使えないような事態になっているようなのだが、それも伝えられていない。
＊安定冷却には海水くみ上げポンプ、循環用ポンプなどの健全性がまっさきに確認されるべきだが、外部にあってすぐ確認できる海水くみ上げポンプについてさえ、状況が伝えられない。
（尻切れトンボのようになった「安定冷却」って、いったいなんだったのか？ なぜ中断の判断をしたのか？ 想像はできるが説明がない。）
＊各建屋の放射能測定データは、対策のうえで基本中の基本ですが、これも何か事件、発見したときについでに出るだけで、連続した様子がわからない。
＊サイト内の放射能モニタリングは、津波で壊れた分はあるにして、ずっと公表されていないし、計器の補充もされていない。
外部に飛散した放射性各種と強度が、しばしば一部についてしか発表されない。
（上とあわせて、この２つのデータが刻々とつかまれていなければ、建屋の異常や放射能飛散の程度もつかめません。）
＊作業員の実際の被ばく量と、人員体制。
いまは線量計は各自が持って、ちゃんと個人ごとの被ばく管理がされているのか？
交代要員は確保する体制がとられているのか。
以上のうち、優先度の高い原子炉、放射能モニタリング、被ばく線量管理などの実態をつかむ体制を作り、公表することが、事態を前に進めるうえで、大事になってくるように思います。
最初の４日間を時系列で追うと、住民の避難指示は、事故のエスカレートのたびに、後手後手になりました。爆発のニュースで本能的に身を守ろうと１０万人余の人がいっせいに動き出した。
そのときには、すでに最大放出の状況になっていたというのが実際でした。
これだけの規模の人が車で逃げるのは、むずかしい。１日目、冷却水が失われ始め、そのままでは炉心溶融が確実になったときに、事態の真相と避難指示が出されていれば、住民全体の被ばく量もより抑えられたと思います。とくに子どもには大事な瞬間でした。
情報が伝えられないばかりか、野菜や水の汚染がすすむなか、「デマに惑わされるな」「落ち着け」などという無意味な宣伝がテレビで流された。
情報は伝えられず、モニタリングも不備で、そのときの大量の放射能の放出が伝えられたのは、「レベル７」が確定した一ヶ月後のことでした。
いまごろ知らされても、後の祭りもいいところです。
今日は、福島市、郡山市など４５キロ、５０キロというエリア内の幼稚園、小中学校で、校庭で遊べないという措置が発表されました。
環境放射能が一定のレベル。毎日校庭で遊ぶ時間を積算すると、年間２０ミリ・シーベルトの「子どもの暫定基準」を超す可能性があるとのことです。
実は、４０キロ以上のエリアに放射性物質が降下したのは、１３日から１６日の４日間のことです。
ここへきて、この地域の放射能の値が下がらないのは、日々、事故現場から放出が続いていることと、セシウムなど半減期が長い核種が、そこに降下したためです。
県内では、今後はいまの値が継続したり、場合によっては蓄積が加わって微増する可能性が強い。
子どもで年間２０ミリというのは、「低め」と発表されていますが、一般人の被ばく限度は、年間１ミリ・シーベルトです。
原発作業員でさえ１００ミリです。
まして、３月からこれまで、地域におられた方々は、すでにより高い被ばくをしてきた可能性があります。測定されたのも学校に限られ、本来は地域的に広域にデータを集めて、生活環境全体の測定をしてほしい。子どもはどこへでも行きます。局所的な汚染というのが、放射能の場合は往々にしてあります。
低い被ばく線量なりに、一定の割合で発がんなどが起こりうることを想定して、今後の長期間の健康診断をすすめてほしいと思います。
それにしても、年間２０ミリの被ばくがありうるところに、私の出身の街（福島市）が入りました。
事故の収束は見えず、とくに乳幼児には、きびしい状況。根拠のある不安、心配が広がっていると思います。
最近、「ただちに人体に影響・・・」というフレーズが通用しなくなったのは、事態の長期化のせいですね。
ほんとにひどいアナウンスが繰り返されました。
一番の大量放出のときにもそれがおこなわれ、後で、実はあの４日間に９割以上が飛散した、と発表された。本能で危険を察知して逃げる県民に、情報も出さず、まちがったアナウンスをしながら、「パニック」「落ち着いて」という言葉が投げかけられた。
おかしいです。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する