オオウバユリからは大人の握りこぶしを両側から合わせたほどの、大きなずっしり重い鱗茎(球根)が採れます。根は浅くて掘り出しやすい。
以前、上越の谷で試しに1つ掘り、ユリ根のお化けのような鱗茎の一かけを茹でて味見したことがありましたが、湯の温度では灰汁が口に残りました。
山菜の本では、かなり古く出版されたものでも、ウバユリやオオウバユリの鱗茎について書いたものはありません。「北海道山菜誌」(1980年、山本正ら)のような本格的な研究本にも、記述はありません。山菜として食べるほどの独自の味わいに欠けるためでしょうか。
手元の山菜本・資料でもっとも古い、「食べられる野草」(陸軍獣医学校研究部、1943年)には、戦時中なだけに、さすがにオオウバユリ、ウバユリの食べ方が出ています。
野山の食べ物がすべて日常食だった北のアイヌの人々にとっては、オオウバユリは、主食の柱の一つでした。
主食の必須条件は、冬でも食いつなげる保存性にあります。
オオウバユリの鱗茎は、まず細かく刻んで乾燥させ、これを臼でついて、でんぷんの粘りが出てきたものを、ドーナツ状に成形しました。
穴にヒモを通して、屋内で乾燥して、保存食糧としました。
突き固めた鱗茎を水にさらして、底に沈殿する白い上質のでんぷんも保存しました。
アイヌは、植物に外観の特徴などから名前をつけるのではなく、食べたり利用したりする用途に即して名前を付けてきました。オオウバユリにつけられた名前は、トレップ(溶けるもの)。溶けた食材という意味になります。
粉をドーナツ型にして干したものは、トレパカムと呼ばれました。(「分類アイヌ語辞典第一巻植物篇」、知里眞志保著)
鱗茎の採集の適期は、若芽が伸び出す5月ごろの時期。季節には、掘り出した鱗茎を熱い灰で焼いて食べることもありました。
私も今度、機会があったら、鱗茎の半かけ位をいただいて、熱い灰で焼いて、野趣を堪能してみたいです。
(写真にうち、花の写真は、ウバユリです。芽と鱗茎部の写真はオオウバユリ。)
tanigawaさん、おはようございます。
これって昨年の7月に尾瀬沼で初めて見ました。
その当時は名前も分からなかったのですが、お陰さまで食べ方までよく分かりました・・・
雪国の林道や沢沿いの、水っぽいところに目立ちます。
鱗茎を採集するのは、雪解けすぐの、芽吹きのころがいいそうです。
この時期だと写真のように、見分けがやや難になりますね。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する