「大雪警報」は出たが 今冬も積雪量は少なめ、もう峠か。

　この程度の降雪量でゆくと夏山の雪渓はかなり少なめのに―。　山と温暖化をじっくり検討するシリーズの９回目は、「近頃の大雪って本当なのか」の最新データ版です。

　今季の比較を思い立ったのは、ここ２回の山行きで、長野県でも群馬県でも、山の積雪量が意外に少ないのに気づいたからでした。脊梁山脈からは東側だけで行動してきたせいもあるのかな？　とも思いました。調べてみると、気象庁の統計データからも秋田、新潟、富山などは今季は雪が実は少なめでした。そういえば「大雪警報」も正月あたりが一番で、あとは不発か、高温気味だった。

　検討するうえで、データは２つに注目しました。
　１つは「累積降雪量」。春までに日々、どれだけ降ったかを単純合計したものです。「年間降水量」の雪バージョンです。

　もう一つは、「最深積雪量」で、冬中で一番深く積ったときの最大深さです。

　この時点での以前との比較の確かさについてですが、ひと冬のうち、その町の積雪が最大になるのは雪国では例年１月下旬から２月上旬にかけてです。その冬の「最深積雪量」はこの時期までに記録されます。
　いまごろからは、どんどん融け、あるいは水分が蒸発して、降った雪は消えだすスピードが降雪を上回って行く。
　今後の降り方でまだ変化の可能性がありますが、基本的には　いまの積雪量がひと冬を通しての最大レベル（最深積雪量）ということになります。

　元データには、気象庁の長期統計情報を元データに使用。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
　都市と「年ごとの値を表示」を選択して、降雪量、積雪量のデータを調べました。

　雪国の都市で、半世紀以上の降雪量データが記録・収集されている町のなかから、秋田市、新潟市、長野市、富山市の４つの都市を抜き出して、歴史的な推移を見ました。
　この４都市を選んだのはデータがあるからだけでなく、脊梁山脈の状況を反映した地域だからです。


　１９６０年代以来の５０年余りの推移から、次のことが言えるようです。

　秋田市
　１０年ごとの平均値に比べ、この４年間は累積降雪量、最大積雪量とも、やや多め。２０１３年は少なめ。

　新潟市
　同じ指標で、最近はどちらも多め。しかし２０１３年は極めて雪が少ない。

　長野市
　この４年間は、累積降雪量は平年並み、最大積雪量はやや少なめ。２０１３年も少なめ。

　富山市
　９０年代、２０００年代は累積降雪量、最大積雪量が少なめだったが、最近は過去の時期の平年並みに。２０１３年はかなり少なめ。

　ということで、全体に今年も雪は少なめか、せいぜいやや多めで、夏までの降水量、気温に残雪量は左右されるものの、雪渓・雪田は少なめに残る年になりそうです。上越、信越方面は残雪が少ない。北アの富山側もかなり少ない。

　比べると、１９６０年代などは１０年分の平均値でもずっとすごい豪雪が記録されています。
　上には上がまだまだあります。
　大づかみに言えば、６０年代には今より平均気温が低め。それで雪も多かった。
　その後、平均気温が上がるとともに、日本での降雪量は減少傾向だった。
　ところが北極圏からの寒波の通り道が変化し、周辺海域の海水温との間に大きな温度差が生まれて、近年はまた降雪量が増えだした。
　
　後付けでの説明によれば、こういう経過になりそうです。
　

　寒気の流れ込みについては、最近、冬季の日本列島に向かって北極、シベリアの寒気が南下して流れ込みやすくなったことは確認されています。
　原因については、年々、北極海の氷が小さくなり、それによって北半球の気流が大きく流路を変えて、結果的に極地方面からオホーツク海方面へ、冬季に寒気が流れ込む条件が生まれたからだという推定がなされています。

　どこまで確認できるか私にはわかりません。しかし、日本付近の海水温が２度近く高くなってきたことが、北の寒気との関係で大気のもつ潜在的なエネルギーを高めているらしいことは推察できます。
　風は、気圧差でも、気温差でも、ポテンシャルの大きい条件で強まるからです。

　とくに南から風が吹き、南の海側の暖気が入ると、びっくりするくらい気温が上がる。
　今冬は、まだ本当の大雪を実感しないうちに、春の兆しがそこまでやってきているのを感じます。

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　テキストでの数表のアップが難しいため、表が不揃いの点はお許しください。
　数字の単位は、ｃｍです。　

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*秋田市,, **新潟市,,
年, *累積降雪量,最深積雪量,**累積降雪量,最深積雪量,

60年代平均, *298 ,50 , **218 ,50 ,
70年代平均, *277 ,43 , **178 ,42 ,
80年代平均, *284 ,44 , **215 ,48 ,
90年代平均, *226 ,34 , **128 ,33 ,

2000, *311 ,65 , ** 76 ,16 ,
2001, *310 ,44 , **252 ,55 ,
2002, *198 ,36 , **104 ,27 ,
2003, *276 ,25 , **129 ,27 ,
2004, *155 ,28 , **114 ,22 ,
2005, *288 ,40 , **134 ,24 ,
2006, *447 ,74 , **157 ,24 ,
2007, *125 ,10 , ** 16 ,6 ,
2008, *329 ,25 , ** 76 ,10 ,
2009, *211 ,32 , **105 ,21 ,
2000年代平均,*265 ,38 , **116 ,23 ,

2010, *316 ,34 , **253 ,81 ,
2011, *401 ,43 , **200 ,35,
2012, *315 ,48 , **304 ,71,
2013途中,*282 ,68 ,**78 ,16,
直前３年間平均,*344 ,42 ,**252 ,62,
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*長野市,, **富山市,,
年, *累積降雪量,最深積雪量,**累積降雪量,最深積雪量,

1960年代平均,*188,33, **479,87
1970年代平均,*160,28, **340,62
1980年代平均,*154,24, **416,78
1990年代平均,*163,30, **227,47

2000, * 95,14, **339,47
2001, *184,32, **328,55
2002, *206,48, **230,35
2003, *196,42, **305,55
2004, *181,38, **330,70
2005, *237,47, **384,69
2006, *253,49, **504,79
2007, * 84,22, **101,20
2008, *190,26, **178,36
2009, * 47,15, **126,27
2000年代平均,*158,32, **249,45

2010, *169,28, **383,63,
2011, *163 ,35 , **349 ,77,
2012, *155 ,16 , **404 ,95,
2013途中,*128 ,32 ,**221 ,43,
直前３年間平均,*162 ,26 ,**379 ,78,