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Yamareco

記録ID: 139691
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

槍穂縦走(槍沢から奥穂、西穂、焼へ)

2000年09月18日(月) 〜 2000年09月22日(金)
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motch その他1人
GPS
104:00
距離
42.0km
登り
3,205m
下り
3,213m

コースタイム

9/18 上高地BT→明神→徳沢→横尾→槍沢ロッヂ→ババ平TS1
9/19 TS1→槍沢大曲→槍ヶ岳→大喰岳→中岳→南岳→南岳山荘TS2
9/20 TS2→大キレット→長谷川ピーク→滝谷A沢コル→北穂小屋→涸沢岳→穂高岳山荘TS3
9/21 TS3→奥穂高岳→ジャンダルム→天狗のコル→天狗岳→間天ノコル→間ノ岳→赤岩岳→西穂高岳→西穂独標→西穂丸山→西穂山荘TS4
9/22 TS4→割谷山→新中尾峠⇔焼岳→上高地BT
天候 9/18 晴
9/19 晴
9/20 晴
9/21 晴
9/22 朝方晴、のち曇のち雨
アクセス
利用交通機関:
電車 タクシー
八王子(実家)→(急行アルプス)→松本→(アルピコ電鉄上高地線)新島々→(アルピコ交通バス)→上高地BT


※急行アルプス=現在のムーンライト信州に該当する夜行急行で、新宿〜南小谷間で運行されていた。
コース状況/
危険箇所等
1.上高地→横尾
 危険箇所皆無。平坦な道が続く。
 上高地BT→明神→徳沢→横尾間のコースタイムは、いずれも1時間前後。
 早足の登山者は、各40、40、50分といったところ。

2.横尾→ババ平→槍沢大曲
 横尾からは少し傾斜が出てくるが、槍沢ロッヂの直前までは緩い。
 槍沢ロッヂの手前で少し上がる。
 槍沢ロッヂからはだんだん傾斜が出てきて、ババ平からは高い樹が減る。

3.槍沢大曲→槍ヶ岳山荘
 標高が上がるにつれ、傾斜が急になる。
 8月中旬くらいまでは、途中で雪渓がある場合が多い。
 岩稜帯だが、ルートはよく整備されており、浮石もほとんどない。
 晴れている場合、途中から右前方に常に槍の先を見ながらの、
 意気上がる登山となる。


4.槍ヶ岳山荘⇔槍ヶ岳
 肩の小屋にザックをデポして往復するのが普通。
 登りと下りでルートが違う。
 梯子が多い。梯子は基本1人ずつ登り下りするのがマナー。
 また、梯子の直下は落石を受ける恐れがあるので、若干下がったほうがいい。
 頂上は狭く、15人程度が限界。
 コースタイムは登り30分、下り20分程度だが、
 渋滞時は往復で2時間近くかかる場合がある。

5.槍ヶ岳→大喰岳→中岳→南岳→南岳小屋
 中岳の手前に鎖場がある以外は、基本的にはなだらかな稜線歩き。
 大喰岳の山頂は巻くことができる。
 中岳から南岳へ向かうルートは、全体的に緩やかだが、
 小ピークがいくつかあり、長い。
 南岳から小屋まではすぐ。頂上から見える。 

6.南岳小屋→大キレット→長谷川ピーク→滝谷A沢コル→北穂小屋
 小屋の南側が緩い丘になっており、
 そこを登りきってすぐ、左から大キレットへの長い下り。
 鎖場、梯子が至るところにある。
 このルートは、初心者のみでは不可。必ず経験者をリーダに立てること。 
 岩は脆く、浮石も多いので、落石を起こさないよう慎重にコース選びをする。
 大キレット最低コル(鞍部)から長谷川ピークを過ぎるあたりが最も危険。
 稜線が鋭いリッジ状になっており、三点支持を取れないと滑落の危険性大。
 滝谷A沢コル(岩に白ペンキで「A沢のコル」と書いてある)から登り。
 傾斜が急な上、浮石が多い。また、時間帯的に多くの登山者が通行するので、
 落石多発地帯となっている。要注意。
 小屋は割合すぐに見えるが、そこからが長い。
 岩肌に「←北ホあと200m」の白ペンキが見えるが、その岩陰を過ぎると、
 遥か頭上に北穂小屋が見えて、だいぶテンションが下がる。
 ここで気を抜かず、最後まで歩こう。
 北穂の上に北穂の頂上標識があるが、ここは北稜で、南稜が北穂の頂上。
 南稜は松濤岩付近から登る。ここにテントを張るスペースがある。

7.北穂小屋→松濤岩→涸沢槍→涸沢岳→穂高岳山荘
 松濤岩付近から涸沢ヒュッテに下る北穂南稜ルートへの分岐があり、
 そこからも多くの登山者が登ってくる。この間のルートが狭い上、
 付近は8月中旬まで雪渓があるので、往来注意。
 涸沢槍までは落石多発地帯で滑りやすく、毎年のように事故が起きるため、注意。
 梯子や鎖場は多いが、特に体力的には難度は大キレットよりは下がる分、
 気が抜けやすい。
 涸沢岳のピークは巻けるが、ピークに登らないともったいない。
 ピークから穂高岳山荘がある白出(しらだし)のコルまでは15〜20分程度。

8.穂高岳山荘→奥穂高岳
 特に朝は非常に渋滞するので、穂高岳山荘から出るのは、夜明け前がベスト。
 通常は山荘から30〜50分程度で奥穂に登頂できるが、
 登山者が多いと、梯子待ちが非常に長くなり、倍以上はザラ。
 切り立った斜面にいくつかの梯子がある。朝一番だと視界が悪いのと、
 身体が暖まっていないことで、落石を起こすリスクが高まるので、慎重に。
 右手にジャンダルムが視界に入るころには傾斜が緩くなる。

9.奥穂高岳→西穂高岳
 一般登山道としては、質も量も屈指の難ルートにつき、初心者のみは厳禁。
 パーティの場合、全メンバーにある程度の経験と技術が備わっていなければ、
 通るべきではない。
 奥穂高岳山頂からの最初の難関が、有名な馬ノ背だが、
 難度はその名ほど高くないように思う。
 岩肌は逆層気味ではあるが、よく見ればホールドはあるし、
 見た目の険しさに怯えさえしなければ、
 あと、下りでのホールドスタンスの取り方さえきちんとしておけば、
 さほど問題にはならない。
 ただ、岩の隙間に脚を挟むと、骨折する可能性があり、十分な注意が必要。
 ジャンダルムは、飛騨側の正面向かって左から登れる。フリーソロの技術に、
 一定レヴェル以上の覚えがあれば、荷を背負っていても十分に登れるし、
 膂力に自身があれば、信州側からも十分登れる(残置シュリンゲとハーケンがある)。
 ジャンダルムからの下りは長い。
 途中、長いルンゼの間に鎖が垂れているところがあるが、
 朝方は湿っていることが多く、馬ノ背よりもタチが悪い。
 鎖に頼りすぎると、バランスを崩しやすく危険だが、全く使わないのはさらに危険。
 バリエーションルートなら、セルフビレイは必須レヴェルの場所。
 手、足、ヒザと鎖の4点で支持しながらであれば、安定した下降ができるだろう。
 天狗のコルからの最初の登りかかりに鎖があるが、
 ややカブり気味で、重荷だと取り掛かりにかなり苦労する。
 (鎖なしで雨が降っていれば、北鎌大槍直下の上チムニーと同等の難度か)
 天狗岳から間天ノコルへ向かう下りも逆層スラブの長い鎖場があるが、
 晴れてさえいれば、早朝以外はジャンダルムからの下りルンゼに比べれば、
 湿っていない分難度は下がる。(雨のときは辛いというよりも危険)
 鎖をうまく活用し、懸垂下降気味に一気に下ることも可能だが、
 落石を起こさないよう、最大限の注意を払うこと。
 間天ノコルから赤岩岳へのコルへの下りは、
 とにかくガレ、浮石が非常に多く、足元はかなり不安定。
 登り下り共にスタンスが取りにくいので、一歩一歩慎重に、
 安易に岩角に体重をかけないこと。
 赤岩岳への登りは、鎖はあるものの、以前に比べればだいぶ楽になる。
 ここで気を抜くと、思わぬところでミスを犯すこともあるので、
 緊張の糸が切れないようにしておく。
 西穂高岳を越えれば、ひとまずは安心感が増すが、
 すれ違いが極端に増える上、やってくる登山者のレヴェルがまちまちなので、
 あくまで慎重に。
 総括すると、奥穂〜西穂ルートで肝要なのは、
 登りの技術ではなく、下りの技術である。

10.西穂高岳→西穂独標→西穂山荘
 西穂〜西穂独標はいくつもの小ピークを昇り降りする上、
 急な傾斜は少ないが全体的に滑りやすいため、初心者だけでは危険。
 また、奥穂から縦走する場合、西穂から先は急に登山者が増えるので、
 往来と落石に注意。

11.西穂山荘→新中尾峠
 危険箇所は皆無。緩い下り中心なので、体力的にも、肉体的にも楽。


12.新中尾峠⇔焼岳→上高地
 焼岳は活火山で、常に噴煙を上げているため、
 喉が弱いひとはたまに呼吸が苦しくなる場合があり、注意。
 登頂が可能なのは北峰のみで、南峰は不可。
 新中尾峠との標高差は300mほど。頂上直下だけは若干急登だが、
 それ以外はさほどではない。
 上高地への下山ルートは、梯子が2箇所あり。
 あまり通行者がいないためか、やや荒れている。
 特に、右側が沢になっていて、落石に注意が必要。
河童橋から出発!
河童橋から涸沢岳。
河童橋から涸沢岳。
明神池の近くの水溜り。
明神池の近くの水溜り。
明神岳。
坊主岩小屋
槍沢からルート上で槍ヶ岳。有名な景色ですね。
槍沢からルート上で槍ヶ岳。有名な景色ですね。
ぼくをバックに槍ヶ岳。
ぼくをバックに槍ヶ岳。
パートナーをバックに槍ヶ岳。
パートナーをバックに槍ヶ岳。
ヒュッテ大槍が見えてきました。
ヒュッテ大槍が見えてきました。
もうヒュッテ大槍がすぐそこに。もうすぐ槍の肩です。
もうヒュッテ大槍がすぐそこに。もうすぐ槍の肩です。
槍への鎖場。
槍から奥穂への稜線。
槍から奥穂への稜線。
槍から常念。
大喰岳から槍。
大喰岳の頂標と槍の穂先。
大喰岳の頂標と槍の穂先。
南岳から奥穂への稜線
南岳から奥穂への稜線
南岳小屋からの日没
南岳小屋からの日没
南岳小屋からの日没
南岳小屋からの日没
南岳小屋からのご来光
南岳小屋からのご来光
南岳小屋脇の小ピークから大キレットと北穂
南岳小屋脇の小ピークから大キレットと北穂
南岳から大キレットへの下り途中で振り返る
南岳から大キレットへの下り途中で振り返る
大キレット最低コル付近。
大キレット最低コル付近。
長谷川ピーク付近から南岳
長谷川ピーク付近から南岳
長谷川ピーク付近。
長谷川ピーク付近。
長谷川ピーク付近。
長谷川ピーク付近。
大キレットと北穂高岳、涸沢岳。
大キレットと北穂高岳、涸沢岳。
北穂北峰
北穂から槍への稜線
北穂から槍への稜線
北穂から奥穂への稜線
北穂から奥穂への稜線
穂高岳山荘からご来光。
穂高岳山荘からご来光。
奥穂からジャン。彼方に見えるのは焼。
奥穂からジャン。彼方に見えるのは焼。
馬ノ背、ロバの耳、ジャン。
馬ノ背、ロバの耳、ジャン。
ロバの耳からジャンダルムの全容。
ロバの耳からジャンダルムの全容。
西穂高岳。
西穂山荘〜割谷山間で朝焼け。午後から雨が振った。
西穂山荘〜割谷山間で朝焼け。午後から雨が振った。
新中尾峠から焼岳。
新中尾峠から焼岳。
焼岳北峰。
焼岳の火口湖。
下山して河童橋。
下山して河童橋。

感想

ぼくにしては大変珍しく、パートナーを組んだ。

自身の槍穂縦走は4回目、パートナーも2回目だったし、行程にも余裕を持たせていたので、
奥穂までは特に危なげなかった。また、終始天候にも大変恵まれた。

事故のニアミスが2件。

大キレット付近で風を受けながら歩いているときに叫び声を聞いた。
海や山において、風が複雑な岩稜帯を吹き抜けるときに、
角度によっては叫び声に似た音が聞こえるというから、
幻聴の可能性もあったわけだが、すぐ後ろを振り返ると、
50mほど後方を歩いていたパートナーにも叫び声が聞こえたらしく、
立ち止まっている。すぐに荷物を放り出し、付近を捜索。
少し先滝谷側の淵に、登山者のものと思しきザックが放り出されており、
そこから滑落した可能性が考えられた。
とはいえ、左右が切り立っていて、下まで降りられるようなところではないので、
あたりを見回すことくらいしかできず。当然のように何も見えなかった。

その後、付近をヘリコプターがぐるぐる回っていた。
やはり遭難現場だったらしい。
実際、穂高岳山荘で確認したところ、大キレットと北穂〜涸沢間で事故が合計2件発生し、
大キレットで滑落した登山者が1名死亡したという。

また、パートナーが天狗岳の先で三点支持を誤って滑落しそうになった。
足で支持を取り切る前に、手に持った大き目の石に全体重をかけた瞬間、
地面から石がボコッと外れ、岳沢側に身体が投げ出されて宙に浮いた。
全身の毛がよだった瞬間、背負ったザックが5mほど下の岩に引っかかって滑落が止まり、九死に一生を得る。

パートナーはかすり傷だったけれど、
滑落が止まった場所から自力で戻ることが出来なかったため、
簡易ロープとシュリンゲでビレイを取って引き上げた。

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