これは四年前に発生した事故に際して私が作成し社内配布した、労働災害防止喚起資料の出だしの文言だったのだが以来、久しく起きていなかった労災が昨日、遂に再発してしまった。
原因については林業に関する知識が無い方には理解の及ばない内容故に詳述しないが、スクーターよりも排気量の大きなエンジン付チェーンソーでの動力+木の跳ね返り反動による切創なのでとてもぢゃないが軽微には済まなかった。
被災者は勤続10年を越える30代半ば体力抜群の屈強な男で、経験も豊富といえるだろう。
ただ、経験豊富ながらもこのような回避できたかもしれない事案を避けられなかった事そのものが問題になる。
あのような危険を十分に孕んだ木に対して何故いきなりチェーンソーを当てたのか?
その反った木の部分に、携行していた手鋸をチョイと当てただけでも「弾けてしまう」程のエネルギーを持っていたはずなのに。
私も今でこそ事務職員だが、当初は林業事業体の現場作業員として入社し5年と8カ月は過酷な労働に勤しんでいた時期がある。食っても食っても痩せていく、そんな過負荷の連続する毎日だった。
一般の方が林業として想像する森林組合等の保育、小径木の間伐とは施業内容が大きく異なり、100年生以上のスギヒノキ大径木の伐採〜搬出が主たる作業内容で、扱う木が大きいだけに危険もまた大きな仕事だった。
作業員で事故と無縁な人間は皆無で、大なり小なり怪我を重ねて経験を積み、あるいは怪我がきっかけで退社の憂き目に遭った従業員は随分な数にのぼる。
ご存知の通り「労災と言えば林業」とも言える程にこの21世紀にして相も変わらず労働災害とは縁の切れない職種で、一次産業の中でも高い死傷率を誇って?いる。
幸いなことに私自身は軽微な怪我やヒヤリハットで何とか重篤な怪我に繋がる災害を回避して今日に至り、社内で労災保険を使わずに済んだ唯一の人間であるのは間違いなく沢登りを中心とした登山で得た経験の成せる業だと思う。
日頃思うことだが、通勤時によく目にするイヤホンで耳を塞いだ自転車通学生、多機能携帯電話をイジリながら運転して左カーブで対向車線に膨らんでくるドライバー、反射材も懐中電灯も付けず夜間ウォーキングする老人等々、危ない危ない。
「自分でないどこかの誰かが私の安全を確保してくれる」という考えと
「自分で自分の身は守る」という認識の間には随分と大きな隔たりがある。
まるで他人事のような自らの危機回避の放棄は、本人とその作用者の将来を大きく左右しかねない忌々しき事態である。
登山の世界でも、似た事案は幾らかあるようだが。
入院中のHに対し、一日も早い回復を長良天神に祈念して帰社した。
『安全は総てに優先する』
労災保険ゼロ唯一男だったんだ!
山ほどの危険沢を無事故でやってきたからね。僕は最近になって時々同行者に事故がある。これは僕自身のせいもあるかもしれないと近頃思うことがあります。
林業は憧れの職場だけど、危ないんですねえ!
スマフォは多機能電話、タキデン、いやもうチビコンピュータ、チビコンというべきかな。
沢登りでもそうですが、同行者の単独行経験の有無は一つの指標になると考えています。
これまでの私の同行者は、山仕事で云うところの「一人親方」ばかりだったので、無事故で来られたのだと思っています。
単独で、ヨキとヤ(楔)とチェーンソーだけで六尺以上の大径木伐るのは緊張とでシビレマス。
スマフォとタイプするのに抵抗を感じて漢字で打ちましたが、チビコンですか。
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