小樽(フェリー)敦賀(電車)大阪(フェリー)志布志と、九州上陸し、屋久島まで南下後、九州を東寄りに北上した。
楽しいことばかりの道中で、九州では随分な親切を受けた。
台風通過待ちで軒のある車庫とプロパン、車も栗林も、果ては湧水まで貸してくれたMr.Barry(Harris似のオジサン)。
「泊まるとこ無いんなら、公民館泊まれ。これ喰え。」とあっけなく解放してくれた指宿地域のオバア達。
まだまだあるが、中でも記憶に残るのが宮崎の西都原でのことだ。
確か、ヒッチハイクした車中で「九州来たなら西都原(古墳群)は必修!」みたいなことを言われて降ろされたのだろう、でないとこの地で泊まった意図が解からない。鹿児島から市房山、石堂山への途上だったはずだ。
降ろしてもらった近くの上穂北のクス(国指定天然記念物)がある南方神社で野宿するべや、で小雨そぼ降り蚊の唸る中境内で炊事してるとご近所からの通報があったのか、向かいの料理屋から若いのが使いでやってきて、ここで何しているのかと問う。
「怪しい者ではござんせん、タダの通りすがりで一夜限りの軒を社にお借りする者よ。」
と伝えるや、スススと下がって今度は若大将やって来た。
「オタクら旅の者かい、俺も若い頃はそうして旅をしたものよ。そうかいそうかいそうなのかい、世間体もあるし店がハケたら泊めてやるからそこに移るといいや。」とプレハブ小屋を指す。
店仕舞いした若大将らに招かれてお呼ばれした焼き鳥屋は、先程ぶらついた際に丁度見掛けた実に冴えない店舗だった。受けるままに頂いた宮崎の「地鶏」を口にして正直ビックらこいた!これが宮崎地鶏かよ。これまで食べてきた鳥は一体何だったのよ!という位に滋味深い味だった(その後、世間の話題にもなった)。
これまでの旅の行程を話し、若大将の若かりし頃の話を聞きまた、お店の話を聞きつ飲み食らいつ。お店はどうやら鰻屋だったようで、翌日食べて旅立つといいと仰る。したたか飲ませてもらって蚊の居ないプレハブ小屋で就寝。
明けて翌日、小汚い我々27歳二人は店舗に招かれて店内見回すや、巨人軍の選手やらの色紙がズゥラリと居並んでいるのを目の当たりにする。どうやら相当に有名な老舗鰻屋のようで、我々が昨夜泊めてもらった小屋は、行列する客に対するクーラー付の専用待合小屋だった模様。そんなの関のしげ吉にも無いぜ。
出されたウナギは言うに及ばず、通常の肝吸いではなく付いてくる「呉汁」にまた”持っていかれて”しまった!
昨晩の地鶏といいこの呉汁といい、恐るべし宮崎。
古墳群の記憶はないが、この鰻屋「I舟」の呉汁と地鶏の底力に強烈な印象を植え付けられて、鰻のお握りまで持たされ宮崎の地を後にした。
(後に九州のスーパーでは「呉汁の素」なるものも売られていた)。
週末、その呉汁を母と作った。何年振りだらう。
出汁が決め手のこの料理で、量少ない顆粒ダシで済ましてしまった点、そして赤みそしかなかった2点に於いてイマイチの出来ではあったが、二人でそれぞれの擂り鉢擂り粉木で一粒一粒あてて「呉(ご)」を作る過程こそにこの料理の妙味はある。かの丸元淑生もこの郷土料理のレシピをきっちりと採取し、本に掲載している。
一晩水に漬け戻しただけの大豆を一粒一粒丹念に潰していくには実に骨が折れる。実際やってみると解かるが、子供にやらせると最初は”当て”損ねて豆を何度も飛ばしてしまう。何にしても、堅いのよ。
前掲「I舟」では呉作り専属のアルバイト君が居て、どでかい擂り鉢股で挟み、巨根擂り粉木両の手に持ちゴリゴリゴリと大豆を擂り続けていた。このバイト代で新車を一台買ったという。ふぅん。
誰しも考えるようで”なまかわ(ズル)”してフードプロセッサーで粉砕したり、茹でてから潰してみたりしたものの、味は全く別物となる。ならばとオカラで作る地方もあるようだが滋味が違うよ、滋味が。
また、作ろうな。
こんにちは。
宮崎市内に用があって訪れた際に「I船」にでうなぎを食べるためだけにレンタカーで西都市に行きました。
蒲焼も呉汁も酢ぬたも本当に美味でした。
天然うなぎ絶滅?!のニュースが話題になった時、あんなに美味しい養殖ができるならいいじゃないか、と思いました。(食べることしか考えていないお恥ずかしい考えですが)
古墳群は存在すらも知りませんでした
こんばんは。
やはり有名なんですね、あの店は。宮崎は遠い。
今もきっと行列のできる店なんでしょうが、養殖といえどお値段もきっと「うなぎ登り」なんでしょう。
甕ヒバさんも古墳ノータッチと聞いて何やら安心しました。
贅沢をいう気はないけれど、ネパールで庭先からねえちゃんが捕まえてきてばらしてくれたトリ肉がうまくてな。日本じゃほとんどトリを食べません。トリがかわいそうで。ほんとうのトリは本当にうまいですね。
ゴジルやってみるかな。昨日通販で、青豆が2キロ、黒豆が2キロ、ひよこ豆が2キロ届きました。一人暮らしなのに。町をざっと歩いたけれど、豆売っている店はまだ見当たらず。
ばばさまは元気もどりましたか?ヒザがわるいかな。
ガキどもはテレビ珍しいんかな。
その鶏はきっと卵を産み古した「ヒネ鶏」でないかしらん。仕事場の美山ではヒネ鶏を食べる習慣がありますが、歯ごたえあって美味いよね。スーパーの鳥はスカスカでイカン。
ウチのババもこの手の作業がかなり好きな方で、二人で熱中しました。豆売っている店って、近頃は少ないよね。となると通販になってしまうのが如何にも悲しい。子供らは日頃観付けないテレビに熱中です。
近いうちにデカ擂り鉢購入予定。
擂り鉢は、デカいのに限るね。
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