白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ【若山牧水】
1993年初夏に入院した。
その一年後に北野武氏が起こしたのと同様の事故だった。
ビート氏は重傷を負い半顔面麻痺、片や私は幸いにして骨折のみ。それも入院当初の診察では打撲のみだったものが、レントゲンを撮ってみて「ああ、骨折もしてたみたいだわよ」との担当ジョイ、いや女医が付け足した。おいおい。
翌日は、岩花という後輩と赤岩岩登りだというのに、飲みに呑んだ暁の事故だった。
実は実家岐阜から新日本海フェリーに乗せて持ってきたスクーターがじきに学内で盗難に遭い、学内でその盗難車を駆る高校生らしきをとっ捕まえ損なって、じきに警察から見つかったと電話入って修理した直後に起こした事故だった。見つからなきゃ良かった? まあ、いい。
北区で飲んで、中央区の自宅まで5kmのあと500mの所の電柱に激突して、病院に運ばれた。惜しい? まあ、いい。
ただ、その後控えていた夏メイン山行を不意にした。これはまあ、いいでは済まなかった。
事故後暫くは、左モモタに電柱に巻いてあるイボイボが等しく跡として残る不思議な怪我だった。
学生の起こした他愛ない自損事故とあって事を穏便に済ませて貰えた結果、通報してくれた方に礼を述べたいと探れど逆にそれ以上探ってくれるなとのポリシア側の言い分で終了〜。あの時はどうもありがとう、某さん。こうしたご厚意に対して返礼できない闇に埋もれる思いは、別の形で他所に還元しなくてはいけないと思っている。
折悪しく、共済保険が春に切れたばかりのタイミングで、治療入院費用は国民健康保険の3割自腹の安くはない勉強代となった。それにしても、我ながらの強運だ。
入院は約一ヶ月、当時の自宅そばの「札幌中央病院」へ。高校末期以来書き続けている日記が中断した唯一の空白期間だ。
入院は初めての経験にして以降、無いことかもしれない。
その10年後の2003年正月と記憶するが、台湾家屋の3階から酔って転落した際も、悪運強く軽傷で済んだ。この件については後に「沢ヤダ」氏に随分とイジられ、教え子たちにもあることないこと敷衍された、らしい。その時も何故かその時だけ旅行保険に入っていなかった。
それはまあ、いい。
問題はその入院時に出会った「白衣の天使」の話だ。
北海道で暮らして以来、ムサクルシく小さなメビウスの輪的世界で生きてきた為に、事故により唐突に釣り込まれ紛れ込んだ病院という小宇宙、そこに住み暮らす白衣の天使たちの中に、あの様な可憐で清楚な看護婦さんが居たことに心底驚いた!
その名も白鳥さん(実名)。名は体を表すの典型だった。そう、貴方しかいない。
芸能人の誰それに似ていると言った表現では充足しない、必要を満たさない。黒木瞳も相沢紗世も長谷川潤も若尾文子も、また浅田真央でもソレを満たさない。
小柄ではない、色白で芯の通った、有体に言えばハクチョウの様に「美しい」女性で、その透明感を湛えた孤高の美しさをどう表現すればよいのか?
ええぃままよ、思い切って言ってみれば、
「この女性は『う●こ』をするはずがない、絶対に。」
駄目? こういう下世話な表現は?
その後、白鳥さんとはシナイ半島はアカバでの運命的な再会によって我々は結ばれ今に至る、みたいな展開は残念乍無かった。その美しさの余り、話し掛けも出来なかったのを、純情可憐と言っていいのか悪いのか。少女じゃないので駄目みたい。
退院後に別の「あんころもち」さんに街でバッタリ会って、ちっとの間仲良くしていた話位ならある。
あの美しい白鳥さんは一体、どんな貌をした男と生活を共にするのだろうか?
あの鹿部出身羽田美智子似の「あんころもち」さんは一体、看護職を下りてその後どんなファンキーな人生を送ったことだろうか?
嗚呼、究極の女性とは?
それでもやはり、ザッハトルテよりもぼたもちを好むのだろう、私は。
元タンカー乗りの私に言わせれば、アカバ湾はけっして可憐な白鳥の舞えるところではありません。ひょっとして、その白鳥はいまごろ赤福もちで芋焼酎をくらっている人生を送っているやも知れません。
マースケ様
ああっ、それ完答かも知れない!
いや、豚マンさんが庶民派グルメのオヂさんに囲われる話では?
ダメ。
e-hara1990様
これって「イイネ」と解釈していい?
やっぱり、ダメ?
いいんじゃない。俺は笑ったよ。
入院していると、看護婦さんが白鳥に見えますね。僕も生涯これまで一度だけ入院したのが旧ソ連キルギス共和国のベッドしかない病院でした。社会主義なんでタダですが、特に治療はなし。寝ているだけ。まあ高所肺水腫だったので下界におりたらほっといて治るだけでした。
その時よく話したのがジャミラという名の看護婦。ウルトラマンに出てくる怪獣ジャミラとは全然違うかわいい女の子でした。そばかすも可愛い。笑顔も八重歯も可愛い。ジャミラ、今頃どうしているかな。あの頃は多少のロシア語が話せたんだ。
どこに書かれたものだったか失念しましたが、その病院で同居?したスペイン人とわが山自慢を互いにし合う件で彼奴めはピレネーの山々を、我らがyoneyamaさんは日高山脈を挙げて最後に意気投合する、みたいな話ありましたよね。あれ、良かったなぁ。
そう、ジャミラも豚まんもあんころもちも、あの場では白鳥なんです。
いやしかし、白鳥ジャミラは今や恐らくロシア人的オバちゃん道を邁進中ではなかろうか?
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する