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私以外は学部でも名を馳せる荒くれ者共が住まう、空恐ろしい住居として近寄るものとていない場所と、後に知った。
あっ、「七帝柔道記」に登場する木村さんというのが、瀧波さんを頼って幾度か遊びに来たことを今になって思い出した。パッツンパッツンのラガーシャツ。
今でこそ中国人達が日本でそのような形態で住み暮らすことが知られているが、金の無い貧乏人が実家を離れて暮らす際に、共同生活というのは極めて自然発生的な営為である。
テレビも冷蔵庫も、ガスレンジもオーディオも炬燵も、一人当て一つも要らんや〜ん。先人が置いていってくれたそれらを使い回しすれば買う必要もなし、引っ越しの際もこの上なく楽であり、無駄も無い。
モノとカネに溢れた21世紀の日本ではこの手の発想は失われたと思われるが、何にせよ「無い」所から発想を新たに始める事は楽しいものだ。
酔族館も、そんな共有の発想から生じた空間で、されど20代前半のムサイ男共の共同生活に蛆こそ湧かぬがそれはそれは酷い有様だった。
台所から居室、寝部屋と称したベッドが四体放り込まれた部屋も、垢じみた服やら読み終えて片付けられない雑誌エロ本類、ゴミ、ティッシュと黄ばんだ世界が混沌と展開していた。
私なぞ偶に片付けに掛かるも、混乱の度進みの速さに掃除が追っつかないので、匙を投げること数知れず。
さらにエントロピーは増大の一途を辿って、、、、、崩壊！は、すんでの所で免れた。
そんな中で「ごんちゃら」状態の部屋から「これはっ！」というものを抜き出す快感は、既に札幌の学寮時代に得ていたのでここでも懲りずに実践し、摘まんで拾い上げて読んだ物の一つに、
●津本陽「深重の海」
があった。（あ〜、ここまで来るのに長かった）
水産学部ということもあったのだろう、先人の誰ぞが読んで置いていったその本の内容は世にいう「背美流れ」、鯨取り海難+＠の話だった。
両親が読書家でもない、いや全く読まないと言ってもいい家庭環境下で本読みする習慣が私には殆んどなかったけれど、そんな中でもこれは実に面白く読んだ覚えがある。直木賞受賞作。
最近手にした服部ブンショウ氏の「狩猟文学マスターピース」にも掲載があって、先日改めて文庫本を買った。
再読していないが、冷え切った体温を回復させるために裸の女衆が海難漂着した男の身体を抱いて温めてやる件が、20年以上前の記憶の中で印象深く残っている。
文祥氏、直木賞を越えて芥川賞狙っているそうで。【今月号岳人誌3；P.96】
目標はそう、高ければ高い方がおヨロシイ。
この文庫本奥付にあって知った事だが、この物語の初出は同人誌「VIKING」292〜328号(1975.4-1978.4)とある。
VIKINGといえば思い出した。林業関連の作家であり著述家である宇江敏勝(うえ としかつ)氏【1937年生】も参加した神戸発刊の文芸同人誌で、1929年生である津本氏は先輩に当たるか。なお津本氏は和歌山市生まれで宇江氏は三重県尾鷲市出身である。和歌山の作家とくると中上健次だが、ここでは関係ないようだ。
私と違い、読書家の妻の影響を受けた長男坊は、不登校をイイ事に近頃は背表紙が2cm巾程はある文庫本を読むような子に成長している。ただ、週末にスケートに出掛けてバキバキの筋肉痛男に成り下がるような面もあるが、今はまあいい。
その坊主の本棚にあれやこれやの漫画やら本やらを突っ込んで観察するのが私の今現在の趣味の一つなのだが、今日はこの本を突っ込んどいてやった。
先週混ぜておいた漫画「岳」�，魯汽奪気汎匹鵑世茲Δ世�、「青春を山に賭けて」はどうやら未読の様子だ。必読だぜ、嶽チャン。
★たとい罪業は深重(じんじゅう)なりとも必ず弥陀如来はすくいましますべし――蓮如上人
本は、そんなこどものためにあるとおもいます。誰でもかんでも本読みゃいいってもんじゃないと思うな。親が読めって本は、読まない。面白そうに読んで、隠したり、お前にはまだ早いとか言っておくと読むらしい。きっと親が面白そうに本読んでるんだよ
米山さま
私は本よみせんでもええ人種の路線で、モノを生み出す人になっていきたいです。
確かに。
自分、小学校の頃は図書館通いをして週に10冊くらいは本を読んでいたけど、子供向けの本が多かった。「文庫本」を読む様になったのは、親父が若い頃に読んでいた本が、押し入れの奥に積み上げられていたのを見つけたのが、きっかけだったな。
あと、祖母の家に行くと、おじさんが置いていった本があって、その中の「ドクトルまんぼう」シリーズが面白かった。
唯一、親から「読んでみろ。」と言って渡されたのは、堀江謙一の「太平洋ひとりぼっち」だった。小学4,5年の頃だったと思うが、この本は今でも、自分の本棚にある。
なお、今は全然です。老眼がひどくて活字を読むのがしんどくなりました（失笑）。
シェイク様
私など小学生時代読んだ本なんて一冊位なものでした。
北杜生は私も読みましたよ、高校生の時にやっとこさ。『憂行』
そしてまた私もここ最近とみに老眼が進んでシンドイのは同じです。
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