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小津と言えば映画監督小津安二郎なのだろうが、その日本を代表する映画監督の一人を認識したのが恥ずかしながら漫画「龍-RON-」だった。
一時、五年程の間に映画を頻度高く観た身としては恥ずかしながら、果たして全54作あるという小津監督作品は未見というのだから「趣味は映画鑑賞で〜す」なぞと嘯いてはいけない。
●過日、岐阜の名画座ロイヤル劇場で戦後作の『お茶漬の味』を観に行こうと思いきや、今の時代はyou-tubeのようで(版権切れなのか)。英訳は"The Flavor of Green Tea over Rice"というげな。
本劇場では「味」の二作を上映してくれるという。
とある方のHPだかに「小津映画の中でも五指に入る作品」とあって期待したものだったが、果たして、、、、。
何ということもない小品にも思えるがその実、含蓄に富んだ科白も有った。
木暮美千代のキツさには演技とは言えちょっと抵抗を感じた。
小鳥のような津島恵子は登場のたびに気持ちが和んだ。若かりし頃の乙羽信子だとばかり思って観続けた。
淡島千景が登場するや、画面が締まる気がしたのは私だけだろうか。ローズマリー・クルーニーに極めて似ている。
特別出演の上原葉子(小桜葉子)は加山雄三の母という。
パチンコ屋店主役で登場の笠智衆は、どう見ても例の戦場カメラマンにしか見えない。
●その翌週の昨日、入梅で雨とあり仕事を半日で切り上げてロイヤル劇場へ『秋刀魚の味』を見に出掛けた。
果たして劇中サンマは登場せず。人生の秋、鱧の味。
岩下志麻の美しさはここでは置いておこう。実に好ましい役どころであった。
岡田茉莉子のキツさには演技とは言えちょっと抵抗を感じたものの、その美しさは別格として保存格納して置きたい。
その点で佐田啓二は気の毒に思えた。
息子の中井貴一は「ホントお父さんソックリで、、、。」と何万回言われたことだろうかと案じてしまう程に、極めて似ている。
かつての漢文教師のひょうたん(東野英治郎)の泥酔シーンは他人事には思えなかった、、、、反省。
「おとうさん、◯◯と思うんだがねぃ…」笠智衆の語尾を、今後の私は見習うべきかもしれない。
共に、実に地味な映画である。滋味溢れるとも言い替えられそうだ。
しかし、ホントに世界は真に小津映画を認めているのだろうか?傑作か?
飽きのこない愛着を覚える作りであることは認めるものの、これら枯淡の映画に評価を与える海外の批評家には恐れ入谷の鬼子母神デス。
エンターテインメント映画こそが「映画」であると思っている今日日の若者が観たら引っくり返ってしまいそうな地味さである。
ただ、掘れば掘るほど水の滲み出す豊かな土壌の映画とは思う。
観ていてふとアキ・カウリスマキの映画を思い出した。カメラアングルと配色からだと思う。
調べてみれば、どうやらアキ氏はOzuから多大な影響を受けているという。「Aki Kaurismaki on Ozu」という映像もあった。
「toukyoumonogatari」スマキ氏に倣って私も観てみます。
「arigato」
秋刀魚の味は見ましたよ。子供が幼稚園くらいの時一緒に。艦長、艦長じゃないすか、と言って、海軍時代の部下とカウンターで飲むくだりで「勝っていりゃあ今頃青い目をした芸者が三味線を弾いている頃だ」とか「負けてよかったんだよ、馬鹿なやつが威張らなくなっただけでもよかった」とか言って、ママと軍艦マーチを歌うところ。あれが敗戦十年の日本人の正直な気持ちなのかあ、などと思いました。
その後しばらく、一年ほどして「守るも攻めるもクロガネの〜」と歌っていたら、子供が、その歌は着物のお姉さんとお酒を飲んでいる映画で聞いて知っている、と言って、その記憶力のすごさに驚嘆しました。こっちはすっかり忘れていました。
イランとか、中国の、三十年くらい前の映画も、話はすごく地味だけど滋味地味だったと思います。
小津監督には従軍経験があって前作「お茶漬けの味」でもパチンコ屋で部下とバッタリという設定があります(その際主役の佐分利信の部下が笠智衆)。
「秋刀魚の味」の部下は沢村貞子の実弟の加東大介です。なんとも個性的なダルマ顔で。
ここ近日、人と会うとこの部下の右手の真似をしてしまいます。「(手が違〜う)こうじゃない、こうっ」と。
マギボン、幼稚園児で良くも覚えてるなぁ。今度下の娘と東京物語観てみようかな。
30年前のイラン映画とくるとアッバス・キアロスタミ辺り、中国映画だと文革の混乱話の「芙蓉鎮」が思い付きます。
私は船の学校を卒業したから、挙手敬礼は日常的にやっていました。学生時代、教官から厳しく指導されました。陸軍、海軍、潜水艦は肘の位置がそれぞれ違います。陸軍は広い場所があるから肘を大きく外に広げますが、潜水艦は肩より内側に肘をたたみます。これ常識です。
加藤大輔や岸田今日子の方法は間違いです。顔を隠してはダメです。笠智衆は駆逐艦の艦長だったから「さすが」です。
マースケ様
コメントありがとうございます。日記も拝読しました。
マースケさんが思い至ったような道筋を辿らすことに「秋刀魚の味」を観る意義があったと考えれば、小津監督の意図が大いに汲まれたことになると考えます。
となれば、人生経験を重ねた上で再度観るとまた思い至る厚みや幅が違ってくる、これまた「秋刀魚の味」の意図する効果でしょうか。
佐藤春夫氏は紀州新宮の出ですね。
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