この季節、夏と違い河原で火を焚こうなどという酔狂な者は我々以外にはおらず、しかし風もなく穏やかな天候の下でのんびりと過ごした。
火熾ししてじきに、二人の娘連れのオトウサンが近寄って来たので「来、来」と歓待した。電気工事関連のお仕事とのこと。ソーセージとマシュマロを振る舞って、世知辛い時代について話した。またいつか会えるかな、アカリちゃん。
二〇年級に付き合ってきた我がアウトドア衣類を、荼毘に付した。
日も暮れて、午前の従兄との会話を思い出した。
当のご本人と過去の貰い子話をした後、それまでの経緯を聞いた。
山岡家本屋九代目に当たるヒロちゃんは、当家長男として山岡家を継ぐものと言われ続けて育ってきたとのことで、そのストレスは少なからずその人生に影響を与えたという。
婚期に遅れはしたものの結婚を果たした。だが残念なことに子宝に恵まれず、頼みを繋ぐ弟も引っ込み思案な性格が災いして未だ未婚で跡継ぎが居ない。
里親制度等も検討したとのことだったが、御家継や相続を考えるとそぐわなかったとのこと。それはやはり親族内で考える性質のものということで、その結果浮上したのが拙家だったと。
え、ウチ?
ただ、(一度お見かけして実に静かな印象だった)ヒロちゃん奥方がかなり感情的に反発した模様で、親戚筋とは言え子供を他所から貰い受けるなど以ての外、その親御さん(我々夫婦のこと)の心情を思えば有り得ない話だと、自説を曲げなかったようだった。
この段で跡取りの件は諦めたようだったが、本屋の維持については別の考えで対応を考えている、と。
土地、家屋、先祖代々之墓を含めた遺産を、拙家の子供に継いで欲しいという。
え、ウチ? 家督を継ぐ?
我らが親族で、唯一の両親共に国立大出であることが有効なのだと。随分以前からの思いを、ようよう伝えられたとも言われた。
出身大学ではなく、人となりで判断すべき事項に思うのですが、、、、。
話としては聞いたこととして、その場は納めた。
日も落ちて、スポ少バレー帰りの母子らを迎えて、河原で焼きそばを食った。
帰りしな、十六夜の赤みを帯びた大きな月が昇ったのを確認して、帰途についた。
波乱含みだったが、概して穏やかな連休が終わった。
【ここでは「ホンヤ」を一般的な”本屋”と記載したが、この地方のホンヤには”本家”を当てるようだ。(2017.11.13)】
家督でなく家業ってことなら、幼少期から実の親子にならなくても、大人になってから家業を継げばいいんだものね。書店ではない本屋、本が好きならやってみたい仕事じゃないですかね。
私なら本屋ではなく、餃子屋かカレー屋か、茶舗でしょうか。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する