氏にとって「七帝柔道記」の続編に当たるという。
娘と返却だけのつもりで図書館に出向いたところ、普段見もしない単行本コーナーで不思議と目に入って借りたのだった。勿論発刊されていたのは知っていたものの、こんな地方の図書館にこんな新刊が入っているとは考えてもみなかった。
北大中退し、柔道の次の舞台をジャーナリズムに向けた氏の心情は知らないけれど、ガルシア・マルケスやらヘミングウェイ、ドストエフスキーやらに傾倒する志向からして、文字表現に強い関心を持ってのことだろう。北海タイムスや中日新聞社での鍛錬の上で『シャトゥーン ヒグマの森』を執筆し、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』『七帝柔道記』を書いた上での表記作品である。
中退して北海タイムスにアルバイトに行っていた先輩は、私の寮生時代にも居たと記憶する。
ご本人が投影されているのは主人公野々村巡洋にはなく脇役の松田青年なのだろうが、北大臭がムンムンする話でもある。
気に掛かる登場人物が幾人も現れる。ピリカのハーフマスターやクオーター浦ユリ子、よく居そうな河邑太郎等。
後半は、当初嫌悪していた上司権藤との猛烈な関わりが描かれる。そのきっかけとなったのが薄給による権藤の退社なのだが、立場ある人間の退陣ということで個人的に読んで胸が痛んだ。
すべてを差し出すよう本気になって取り組まないと見えてこない世界というのは間違いなくある。
「危険を冒して前に進もうとしない人、未知の世界を旅しようとしない人には、人生はごく僅かな風景しか見せてくれない」というアローンオンザウォールの巻末訳者あとがきにあった言葉を思い出した。
舞台となったその北海タイムスも1998年に休刊し、今はない。
こんにちは。
昨日、私も休日で図書館へ行きました。県立図書館ですか。私は大垣市立図書館で、初期の大垣山岳会発行「岳友」と「わっぱ」を読みたいと思い、行きましたが生憎火曜が休館日でした。県立の休みが月曜だから同じだろうと思っていたのに、迂闊でした。
ma-suke様
私が行くのは市の東部図書館なのですが、たまにはメディアコスモスというのにも行きます。大垣市立図書館にはそんな会報まで置いてあるんですか、イイなぁ。火曜休館ってちょっと変化球が過ぎますね。
さっそくの返信です。
奥美濃を調べようと思ったらここです。大垣山岳会は地方山岳会屈指のサークルだと思います。奥美濃のほぼすべての克明な記録を残しています。高校や中学校教師の記録が多いから、優れた文章で書かれています。酒井さんや高木さんの初期のころの文章はなかなか「味」があります。また、今西錦司に関しての記録も多く、彼の研究者にとっては「知られざる宝庫」だと思います。私は30年前から贔屓にしています。一度たずねてみて下さい。駐車場はスイトピアで200円です。
私も早速。
私が初めて「関西」を意識した地である三重県のご出身であるマースケさんがどう認識されるか興味のあるところなのですが、関西の匂いも感じない岐阜市から西に出向くとその「関西」を始めて感じるのが大垣という場所です(私にとっては、ですが)。
京都からやって来た今西錦司が大垣で「感じられる」というのもまた興味を引く点です。
今、余裕のある「季節」なので、年が明けたら行ってみますね。火曜を外して。
今西錦司関連の話は以前書きました。
https://www.yamareco.com/modules/diary/1946-detail-137714
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する