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一本目は大岡昇平原作の「野火」。フィリピン戦線の地獄を彷徨う日本兵の地獄絵図を映像化していました。兵士の追体験には迫力の映像で、21世紀の映画芸術に恐れ入りました。でもホラーに近いです。仏教画にある地獄絵図は、多分応仁の乱や戦国時代のこんな様子から描かれたものなのだろうと思いました。鬼は人間自身でした。
二本目は「樺太1945年/氷雪の門」。1974年に五億圓もかけて作ったのにソ連の圧力で上映封印、2010年にようやく封切りになったという史実再現映画です。樺太では8月15日以降もソ連の南下、無差別殺戮が続き、民間人引き揚げの船まで撃沈されました。なかでも有名な、真岡郵便局の最後の電話交換手を務めた9人の若い娘たちの「皆さん、これが最後です。さようなら、さようなら」の物語です。北海道関係者なら知っていますね。知らないかな。1974年と言えばまだ戦後30年、いまから30年前なんて1985年で、まだ関係者がぞろぞろいる時代です。東部戦線から大急ぎ地球を半周して来たあらくれソ連兵の無情ぶりが余す事なく描かれています。うちの母も満洲帰りなのです。でも、映画手法が1970年代風で、過剰な効果音楽、重たいナレーションに少ししらける部分もあります。このあたり、八甲田山もそうなんですが、1970年代邦画の作法なんだろうか。困惑しながらもあくまで奮闘する日本兵があまりにも礼儀正しすぎて(ウルトラマンの科学特捜隊員みたいな高潔さ)、「野火」のヨレヨレどん底日本兵との落差が凄い。でも2015年の日本人にはわからなくなった1945年の日本人の思考、ふるまい、しぐさ、雰囲気を、1974年の日本人の方がよく内面化しているのは確かだと思います。乙女たちの歌う「椰子の実」の歌はよかったなあ。あんな素敵な合唱を、今の日本人は赤面せずにはできなくなってしまったかもしれません。
三本目は「あん」。河瀬直美と樹木希林ですから、もう凄惨な1945年ワールドから復帰するために、絶対お口直しにいいや、と見ました。癩病の隔離施設から来たおばあちゃんと過ごす、櫻の美しい季節のドラヤキ屋男の物語です。これはよかった。まったくよかった。何億圓もかけなくても、良い映画は昔からあるんだなあ。
昔の尾野真千子さんみたいな瞳の少女女優もいました。
樹木希林が、小豆をゆでる時、小豆に話しかけているのに影響をうけ、今朝はアジをおろして中落ちの身を匙で掻いた後の中骨で味噌汁のダシをとるのに、そ〜っとそ〜っと、話しかけるように弱火でとり、良いダシに仕立てました。アジの半生に思いを馳せたりしながら。
・・・しかしまたアジの頭を落とし、背骨脇の血だまりを洗う時、昨日の「野火」が思い出されたりして。
よる九時半、映画館を出て、三角屋でラーメン食べてオートバイで帰りました。こういうのずいぶん久しぶりでした。
お口直し…映画も音楽も、そんな気分になる時あります。クロアチアの帰りに一睡もせずに映画五本見てしまいました。7つの贈り物とかゆう映画で、携帯を見ながら運転して、死亡事故をおこした主人公が、移植が必要な人に会って、本当にいい人間か確かめて、納得の上、自分はクラゲで自殺して7つの臓器提供するとゆう、なんともいえん映画で、暗い気分になり、そのあと、結婚前夜のバチェラーパーティで、ドラッグで羽目外し、ラスベガスでタイソンのペットのベンガル虎を盗んだり、ストリッパーと結婚したり、男気の証明に指を落としたり?男友達同士のお馬鹿映画シリーズを最終章まで三本見て立ち直りました。
エッ、それで立ち直ったんですか?お口直しも人それぞれですね。
僕の前の2本も駄作と言うわけではないのですが、惨状を追体験するタイプの映画だったので。
クロアチア共和国行ってたんですか?バルカン音楽、バルカン映画って、僕、大好きですよ。
見る前に、当たりの映画かどうか判断する方法は、有名な俳優女優が出ているかだそうです。そういう人は事前に脚本を読んで、出るかどうか決めるから。もちろん無名俳優だけでもいいものはありますから、こちらは評価まっぷたつというわけです。
yoneyamaさん、こんばんわ。
私も先月「あん」を観てきました。
尾野真千子似の少女って、どの子でしょう
どら焼き屋に3人組で来る、制服の3女子?
ワカナという役名で、最後に施設訪問する女の子?
ワカナ役は、樹木希林の実孫ですよね
内容の薄いコメントですみません。
ワカナ役です。
顔が似ているんじゃ無くて、瞳が、ってことです。今の尾野さんじゃなくて、萌の朱雀の時の尾野さんですよ。樹木希林の孫なんだ!知りませんでした。
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