札幌で70年(前身合わせ90年)続く登山愛好家の集まる店、通称「つる」が、ご主人の健康問題でこの春店を閉じることになってしまった。
北大の、3つも4つもある山岳団体の70年分のOB、それに加え内地から北海道を訪れる山岳愛好家の寄り合い場というか、情報基地というか、ウダり場というか、世代差を越えた母港のような存在だったのですが、なくなるとどうなってしまうのか。
道内山岳史、ヒマラヤ遠征史、読書家にして顔も広く見識ある生き字引のご主人あっての拠点だった。後継者は遂に現れなかった。
北海道を離れて幾星霜。いつでもご主人がカウンターで待っていると思っていた。死んだ者も、去った者もここに座れば能舞台のように現れた気がした。だが、時は流れる。永遠の場所はない。こちらもトシくった。平成も終わるわけだ。私は前世代の遺産を引き継ぎ、今できることを果たすのみだ。
店を長く続けるって、大変なんだろうな。毎日のことだし、給料取りにはわからない苦労もあるだろうな。平成時代後半以降、店で酒を飲んで人と過ごすって習慣が減った。自分でもそうだ。
新宿にもかつてはこういう店があったようで東京にいたころ何度か顔を出したことはあったけれど、広い世代の登山愛好家が地域の飲み屋で顔を知るほど狭い町ではないし、札幌くらいの町がちょうど良かったのかな。今は登山ジャンルもレベルも世代間ギャップも多様すぎる気がするけど、北海道という地域ではそれがまとまることが出来ていたと思う。やっぱり、日本のアイルランドみたいなものなんだよなあ。
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