能というのは何が面白いのか、今もさっぱりわかりません。大抵見ている人は寝てしまうというし、僕も本格的に鑑賞したこともない。なのに、観阿弥、世阿弥が室町時代初期に完成させて以来続く、現存する世界最古の演劇で、あの戦国武将もあの歴代将軍も、夏目漱石も、あの人もこの人もハマったというもの。出てくるのは2人ぐらいで簡素な舞台を行ったり来たりして、表現も極端に簡素簡潔。ストーリーは大抵幽霊が出てきて、説得されてスゴスゴ退場していくとか・・・。
何が面白いのか全然わからないところが面白いとでもいうのでしょうか。合気道もそうだったけど、見ているだけじゃ何やっているかわからない。やってみて面白さがようやくわかってくるというか。そんなものを始めること自体が、何かの縁でもないと。それに、誘われたら断らないことにでもしていないと。
先生がすごく魅力ある方で、毎回全然憶えずおさらいもせずに稽古に行っているのがバレバレなのに「順調です!」と毎度笑顔で言ってくださいます。それも半年以上続いて、いよいよ今月半ばに初めての発表会で、数十人の先輩方が江戸や京都からもいらしてその前で披露することに。先生は、自分でやる気を起こさなければ稽古なんか身につくものではないし、その時は来る、という事をご存知なのです。
それで先週から先生の模範をスマフォ動画で見ながらようやく毎日自主練をするようになったのですが、一人でやるとなると難しい。右手だったか左足だったか?何度やっても覚えられない。夜の自宅自主練では、頭が柔らかく、毎日バレエで振り付けを覚えるのが日課の中3娘に見てもらうと、「そこは右足じゃないよ左足」などと、僕よりも早く憶えてしまって驚くばかり。どうしてこうも憶えがいいのだ。中3すげぇ。トホホホ。数日後またやってみせると、「かなり上達した、おとうさんすごいね」と、褒めるのもうまい。稽古なれした中3すげぇ。
仕舞は「鶴亀」。謡いは「橋辨慶」と二種目出ます。謡いは延々風呂で先生の模範謡い録音を聞いてやっています。スマフォって、便利だな。今回はスマフォの凄さを実感しています。昔の人は師の動きをじっと見て真似て覚えるだけだったのだなあ。これも便利さでなにかの能力を失っているのかもしれない。
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