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2020年04月22日 10:24これからの世界全体に公開

学校の役割は、学びの憧れに意図せず感染すること

娘の高校は、先生が授業するネット動画を用意したそうで、一緒に見てみた。二人とも、「つまらない」と思った。古代史の授業だったのだけど、教科書読んだらわかることを言葉で説明しているだけで、実際に対面で聞いてもそれほどでもなさそうだった。でも、よくある普通の授業だとは思う。でも自宅で自分でペース作って自習している学生に動画でまで見せるなら、「普通の授業」では駄目だと思う。

娘は高校生になって、一回だけ学校に行って教科書や問題集をもらってきて、休校はや半月。毎日自分で教科書を読み進めて勉強し、縄跳びして、ダンスバレエの自主練稽古(こちらもとうとう休止になった)して、家族で料理して、ゆっくり食事して過ごす。何時に起きて何時にご飯、何時に稽古と決めている。ペースを作った。バレエ稽古と試験勉強に追われ寝不足で慢性疲労だった3月までとは違い、夢のように時間に追われない暮らしだ。時間を自分で管理できるなら、こんなに自由なときはない。きょうは古代史に関して(アケメネス朝とか、アッシリアとか、フン人とか、カニシカ王とか)二人で楽しく話した。

私の時代の高校世界史の先生は、話の内容が本当に面白くて、今でもいくつもの話を思い出す。速記で書いたノートもいまだに捨てられない。教科書の、読めばわかることは話さず、先生が見たり読んだりした様々な話が静かな熱意と共に本人のことばで語られた。勧められて読んだ本はハズレ無くおもしろかった。そんな授業は大学でも稀だから幸運だったと思う。

コロナは、対面であることの価値が問い直される機会だと思う。これまでのように、対面の無駄遣いは許されない。退屈な授業に我慢して出席させること、学ぶ気も無いのに学校に行くこと、その必要は無くなる。

学校はどうなっていくのかな。受験勉強だったら、学校じゃなくて、自宅で自分でそれぞれの力に応じてやれば最も効率が良いと思う。学校は受験勉強テクニックを学ぶところではない。魅力ある「学びへの憧れ」に感染する場なのだ。最も感染力が高いのは、楽しそうに学ぶ先輩や先生と意図せず出会うことだ。

     *  *  *
などと思っていたらTWからリンクした政治、歴史学者の中島岳志氏の講義がおもしろくて全部聞いてしまった。いまや動画配信の講義は無限にあって、高校の世界史授業だって、昔はこのくらいおもしろかったですよ。

https://nico.ms/so36700370?ref=twitter… #so36700370 #ニコニコ動画  

中島氏は自分のインドでの聞き取り取材時代の話を例に、「人が自分自身では決定できない大きな力の存在」について語る。ヒンディー語では 「ヒンディ語が話せる」というとき、たとえば英単語を使うと、Me hindi language comes there.というような言い方をする。主格の「I」ではなく与格の「Me」で表現する。I love you. I am glad.も全部そう。そういう表現が結構多い。「君を慕う心が私に来た」「喜びに包まれた」という感じ。同じ印度欧州語族でも、英語は極端に主格「I」が多い。なんでも俺が俺がと言い張る。

ヒンディー語の与格構文から始まって、話は親鸞まで。
「本人の自力ではどうしようもないもの」
「本人の努力と次元の違うところに念仏がある」
「仏から聞こえる力が念仏で、自分が願いを持って唱えるものではない。念仏は否応なくやってくるもの。」この根本が「業」。
「いま、命があなたを生きている」「私が生きている」のではなく私という器に命が留まっている。
そして話はボランティア論へ。「ボランティアは親鸞の教えに反するのか 木越康」についてボランティアは自力ではなく、他力。心が動くのではなく躰が動くのだと。そこが本質だと。これも「業」。
人間の行為がいかに非意図的な事で動いているのか、が親鸞の思想。「業」は仏の業として強く背中を押されてしまうもの。
不意に、やにわに、はたと、たまさか。
「私自身が私を所有していない、その力に目を向けていくところに利他の本質がある。これは説明できない。利他は説明できないところに本質がある」などなど。

中島氏が意図せぬヒンディー語学科出身とは初めて知りました。社会の右傾化に関する批評をよく読んでいて知った社会科学研究者です。私もヒマラヤ登山愛好家だった頃、半年ほどネパール語を勉強していたので、この与格構文憶えています。懐かしい。ネパーリでは、マライ ネパリクラ アーウンツァ と言います。

俺が俺が、の英語と違って、実は印欧語族の他の言葉も、結構この与格的表現が多いです。英語が世界を席巻したのはこの我の強さに原因があるかもしれません。言語構造そのものが持つ世界観、人間観についての話でした。これは主語を必要としない日本語の世界観にも通じる話でした。
     *  *  *
コロナで世界同時の強制総ひきこもり。この後の世界を考えるため、気づいたことは記述していきたい。
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