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2020年09月27日 10:39読書 書評全体に公開

【読書備忘】ふたりきりの戦争

独ソ戦末期の北ドイツで。占領地域から強制連行され働いていたロシア人少年セルゲイと逃避行するドイツ少女のエンヒェンは、1929年満洲生まれの私の母とほぼ同じ歳。父はゲシュタポに連れ去られ、母はハンブルク空襲で行方不明、兄は徴兵され東部戦線で行方不明。10代半ばのエンヒェンとセルゲイが真冬の独ソ戦の戦火の中を延々続ける逃避行。

10代の頃に読んだ白頭山麓の抗日パルチザン馬賊地帯を彷徨う少年の「むくげとモーゼル」を思い出す。エンヒェンが、セルゲイをただ逃がすだけでなく一緒に逃避行に出てしまう動機のわからなさが、10代特有でよくわかる。僕にもそういうときがあったと、思い出させてくれるリアリティーがある。遠慮無くつく悪態もためらいも、10代の不完全な人格のみずみずしさも。恋愛というでもない。

二人が極限状態で経験する一幕一幕が、ナチスの狂気がもたらした社会の端くれを、余さず伝えてくれる。避難民たちの、こんな勇ましくない戦記がよみたかった。

ふたりきりの戦争
Flucht durch den Winter
ヘルマン・シュルツ作、渡辺広佐訳 2006徳間書店
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