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10代の頃に読んだ白頭山麓の抗日パルチザン馬賊地帯を彷徨う少年の「むくげとモーゼル」を思い出す。エンヒェンが、セルゲイをただ逃がすだけでなく一緒に逃避行に出てしまう動機のわからなさが、10代特有でよくわかる。僕にもそういうときがあったと、思い出させてくれるリアリティーがある。遠慮無くつく悪態もためらいも、10代の不完全な人格のみずみずしさも。恋愛というでもない。
二人が極限状態で経験する一幕一幕が、ナチスの狂気がもたらした社会の端くれを、余さず伝えてくれる。避難民たちの、こんな勇ましくない戦記がよみたかった。
ふたりきりの戦争
Flucht durch den Winter
ヘルマン・シュルツ作、渡辺広佐訳 2006徳間書店
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