浅間山の小諸登山口を30年ぶりに訪れた。火山噴火の防災対策として、立ち入り禁止区域がかなり多いことを知った。9年前の木曽御嶽山の影響だろう。率直な印象としては不自由な山になったんだな、ということか。地形図だけを見て、行きたいルートに線を引く計画をいくつか作っていたが、「火口から4キロ以内は立入禁止+登山道に限り2キロまで可能」では、このあたりに自由な線は引けない。山で立ち入り禁止と書いてあるところを見ると心が曇る。この山域は誰かが完全管理したい公園のようなものだ。
社会が山登りをどんなものとみなしているか、時代が変わるとかなり変わる。1970年代から山登りに興味を持っていた自分自身の時間範囲でも、また本や新聞で見るそれ以前の登山観などを見ても大きく違う。あとから参入した人はその時代を常識と思うが、それ以前の歴史を見ると、結構違っている。
2010年代以降の特色はなんといってもリスク管理や安全対策、規制区間の拡大かな。これに加えて日本に古来顕著な「周りの目がきになる」文化だけはゆるぎがない。
これは突然変わる訳では無いのだろうけど、徐々に社会の空気が変わっていくのだと思う。震災、噴火災害、環境問題意識、野生動物問題、先端技術の進化などもきっかけと思う。常識だと思っていることがいかに時代が変わると常識ではないかということを知る。
敗戦前は薪炭資源の山だから立ち入りは不自由。江戸時代も材木資源の山だから立ち入りは打首。戦国時代は山こそ戦地だから立ち入りは命懸け。それに比べれば原油輸入時代の1950年代以降の山は、誰もが無関心に放って置いてくれて自由で良い山だ。まつたけ以外は。
だが、社会のほとんどの人が生活のための山歩きを全くしなくなり、山に登ることの危険の本質を忘れてしまった。遭難する人も、それを話題にする人も、山が危険であることを本当はよく知らない。死とは何かをあまり深く考えなくなったと思う。まるで、何か間違いを犯さなければ人は死なないと思っているようだ。
社会と衝突する気はない。社会の目の届かない山で自分の山を登るだけだ。
岳会時代と単独行時代(70年代)までの山は、自由があり楽しかったですね。
時代は流れて行きますねぇ。
仕方がないのかなぁ〜ren
私は常に主流派ではない自覚なので、本流の流れがどうなろうと離れてみています。時間的な推移を調べて仮説を楽しむのです。
私は古い時代の主流派のまま、老いぼれました。
情緒的な自分から見ると、論理的思考能力をお持ちのyoneyamaさんが、とても素敵です。
私も仮説を楽しみながら、山を歩きたかったです。
今となっては、もう遅いですが〜ren
やがて山を歩けなくなっても山のことであれこれ考えるのが、私の最後の楽しみです。
登山道と山小屋とキャンプ指定地は完全に公園と認識しています。下界でのマナーを心がけ、酔っぱらい、寮歌放吟、焚き火、立ち小便、セクハラ、パワハラは決してしません。だからこそ、管理も手入れも及ばない、公園ではないところを勝手に立ち入り禁止にしないでほしいです。
最近は本当の死を意識した登山をしてる人は少なくて、遭難救助組織を頼ることを前提にしているから、そんな人は禁止された場所に行っては行けないし、そんな人が禁止された場所に登ったことを情報としてばらまいてはいけないと思います。
逆を言えば死をきちんと意識してて遭難救助組織を頼らない程の覚悟をしている人が禁止された場所に行っても自分の心のうちにしまっておけるなら別にいいと私は思ってます。
雪山で泊まると死と生を意識出来ると感じてます。あと、グレーゾーンがとっても広いのがいいですね。
山は臨死体験の場所なので、小さく遭難してリカバリーしたり、大きく遭難して救助されるのもありだと思うんだけど、絶対遭難しませんとか、絶対入山禁止とか、極端なんですよねえ。助けられたら感謝して、反省して、それでもまた登るか考える。それでいいと思います。助からなかったらお弔いをするだけです。山でなくたっていつか死ぬんですからね。
数年前の御嶽山の噴火災害で、裁判沙汰になっているのは、ご存じかと思いますが、ネット記事を以下、貼り付けておきます。
「御嶽山噴火 国などに賠償求める訴訟2審始まる 東京高裁
御嶽山の噴火による被害は、気象庁が噴火警戒レベルの引き上げを怠ったことにより、立ち入り規制などが行われなかったためだとして、遺族らが、国などに賠償を求めている裁判の2審が東京高等裁判所で始まりました。(後略)」
NHK発信 ウエブ記事 2023年10月18日
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20231018/1010028482.html
まあ私も、この件についてあれこれ言う立場にはありませんが、
火山への立ち入り規制は、増えることはあっても減ることはないだろうな、とは思います。(コメント修正しました)
御嶽山の訴訟にはこの場で何も言うことはありません。傍観しております。
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