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旧国名の磐城(いわき)は福島県海側全部です。現在のいわき市は1965年の合併でできた、むつ市に次ぐ早い時期のひらがな市名です。中心は内陸の平(たいら)と港のある小名浜(おなはま)です。(合併の都合とはいえ一市町村名に旧国名を使うと、歴史理解を妨げるので、僕はイヤです。そういう市名凄く多いです。)
原発の帰宅困難避難者が加わり福島市や郡山市よりも人口が多いのではと言われています。
1976年に最後のヤマが閉山するまで、首都圏に近い石炭産地として、近代日本を支えた、元炭坑都市です。常磐炭田は、常陸ひたち(茨城県)と磐城いわき(福島浜通り)に股がっていました。言葉も人柄も、福島県の他地域より茨城県北部のほうが共通の文化圏です。さて、
「いわき」といえば、軍艦マーチの二番で、
石炭(いわき)の煙は大洋(わだつみ)の 竜かとばかり靡くなり(なびく) 弾撃つ響きは雷(いかづち)の 声かとばかり響むなり (どよむ)
万里の波濤を乗り越えて 皇国の光輝かせ (みくに)
という歌詞があり、ここでいう「いわき」は、石炭です。この歌は軍艦が石炭の煙を竜の様に立ち上げ乍ら進撃した時代、日清戦争の前に出来た歌なのです。石炭の事をいわきと言ったのは、このころ石炭の産地と言えば磐城だから、しゃれた言い回しでこう呼んだのが定着したのかなと思っていました。ぱっと思い出せないけど、こういう言葉の使い方他にもありますよね。英語で陶器をチャイナと言ったり日本語でも「瀬戸もの」というような。
ところが「いわき」と言う言葉には古くから石炭の意味があるというのです。岩木と書いて、木のように燃える岩、あるいは元は木だった岩の意味でしょうか。
すると、地名のいわき国は、石炭が採れるから付いた名前なのか?どちらが先なのでしょう。
旧国名と言っても、東北六県は江戸時代までは実は一括して陸奥(むつ)でした。明治の廃藩と置県の間の短い期間、広い陸奥を、磐城、岩代、陸前、陸中、陸奥、羽前、羽後に分けました。だから日本の他の地域と違って、東北地方の旧国名のほとんどは8世紀始めの律令制国家の命名ではなく、明治の命名なのだそうです。だから石炭が多いからいわき国と名付けられ、漢字は難しい他の字を当てた、という順番も考えられます。
そもそも、西欧文明式の産業革命前の日本人は、地面から石炭を掘り出して、燃える石なのは知っていたけれども、使わなかったのでしょうか。そもそも、石炭使った大革命のことを近代化というのでしょうが、それでも、日本は室町時代から大規模製鉄の伝統は続いており、タタラ製鉄で燃やすため大量の森林破壊を続けて、明治時代までには日本の山は禿げ山と化していた、そのため水害も絶えず白砂海岸が多かったのだと云います。日本刀に集約される凄い製鉄技術を発達させ乍ら、何故石炭を利用しようと思わなかったのだろう。
いわきは石炭と地名、どちらが先だったのかな。
津軽の岩木山は石炭と関係なさそうです。
ちなみに、旧国名で市町村を名のるなら、その中心の都市ならば一字をとって「府」を付けるのはなかなかいいと思います。甲斐の甲府、駿河の駿府。磐城なら磐府(ばんぷ)なんてよかったかも。でも合併しても地名は変えない方がいいと僕は思います。
こんばんは
稲藁積んで戦をしたから稲城。イバラを柵にして戦をしたから茨城(いばらき、イバラギは訛りだそうで)。つい磐城は岩に拠っての戦かなと勝手に想像していました。燃える岩だとはつゆ知らず。勝手な思い込みがことわざも地名も歪曲してしまうのかと反省しています。
甲州市、南アルプス市、なんて味わいが薄いなと感じておりました。同様に、山梨県では鉄道の駅名が変えられてしまいました。別田、初鹿野なんて歴史を感じさせてくれる駅名だったのですが。
甲州市、甲府市、甲斐市もまぎらわしいですね。山梨弁で「わにわにしちょ」というところでしょうか。
ちなみに、製鉄の熱源と還元材料としては、石炭には硫黄Sが含まれていて、錆びやすさの原因になります。精錬を人力でやっていた時代には製鉄向きではなかったんです。たたらファンから言いわけさせていただきます。
城の字から語源を推察の話。結構昔の人は、好き勝手に漢字を変えました。音重視で字が変わり、変わった字からまた音が変わるということもあったようです。
日本百名山の妙高山の項で深田久弥は、以下の説を挙げています。
昔の日本語では地域で立派な山を「中山なかやま」と呼びました。それがしゃれた字を当てようと「名香山」になり、これをしゃれて音読みすることになり、「ミョウコウザン」それにまたまた違う字をあて妙高山になった。
山梨県内の地名軽視は僕も怒髪しています。山行記録では、かならず旧町名、旧駅名で通しています。武田勝頼最後の地は初鹿野でなくちゃあ駄目ズラ!
たたら家さんならではのお話で、納得いきました。なるほど製鉄には向かない。では同じく火力が必要な製塩では石炭を使わなかったのは何故だろう?という疑問が新たに。
地名に関する考察、興味深く拝見しました。
「いわき」とひらがなで書かれてしまうと意味も薄れてしまいますね。「磐城」がもともと「岩木」だったのでは、というyoneyamaさんさんの推察、うなずけます。
以前、天文仲間と隕石に関する地名として「星田」というのはむかし隕石が落ちたんじゃないか、と調べて見るとたいてい「干田」から字を変えたものだったという話でした。
クレヨンしんちゃんで有名な埼玉は春日部、ここに行った時にびっくりしたのは市中心部に「粕壁」という地名があることで、当然こっちが古い綴りでしょう。
「甲府」は当然甲斐の国の国府だからと思っていましたが、甲斐国志の中で「古府」という字を見てあれ?と思ったことがあります。
武田勝頼が韮崎に逃げて作ったのが「新府」それに対して「古い府」ということでしょう。「こ・ふ」がいつか「こうふ」になったのかもしれませんね。
合併以前、私の街が「竜王」と呼ばれていた頃、中学校に町長さんが来ていいました。
「みなさん自分の町に誇りを持って下さい。甲府なんて甲斐の府、っていうだけだ。その点こっちはKing of Dragon!だ。」(^^)
なさけない「甲斐市」市民のpasocomでした。
パソコさん
甲府の名付けは、石和の方から躑躅ヶ崎に館を移した初代武田信虎の代かと思っていました。新府に対する古府なら、三代目武田勝頼以降の江戸時代の呼び名ということも考えられますね。昔の人は結構気楽に字を変えたみたいですし。甲斐国誌は確か江戸時代の編纂でしたよね。
竜王、は二代目武田信玄が暴れ河川の御勅刺(みだい)川を信玄堤で克服して、米作りできるようにした沃野に入植したのが起源と聞いています。竜のように暴れた川を押さえた農民達の集落が起源ですから町長の言った通り、誇らしい名前ですね。その名を失くし甲斐市じゃ不甲斐ない(腑甲斐無い)ことです。
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