前に、「ノン・サポートな天場」を紹介しましたが、双六沼の天場はそれと対照的に「フル・サポート」といっていい支援を受けられる天場でもあります。
トイレは小屋内にあり、抜群に清潔(水洗)
洗面所も使える
水は双六岳の山腹の湧水を太いホースで小屋前に引いている
日程延長のときなど、食事確保もOK
悪天候のときなど、自炊棟が空いているときは、使用を許可してもらえる
そして、私たちは、それ以上の体験をこの天場でしました。
実は、双六沼の鞍部は、風の名所なのです。
写真1枚目、右手(南)の双六沼方面から、風はやってきます。(双六岳の山頂下から、前年に撮影)
とくに低気圧や前線が北側にあって、南(金木戸沢)から風が吹き付けるときが、ものすごい。
97年にベースを張ったときは、その3日前に新品の大型テントなど20張りが倒され、行きかう下山者らからその話を聞きながら、私たちは入山しました。
風は、3日目の夜に来ました。
水晶岳をピストンして、へとへとになってシュラフに入ったあと、夜8時前から夜中まで、猛烈な風。テントがあまりに変形するため、手で適度に支えてがんばりました。が、ついに、「このままでは、一睡もできないし、ポールが折れる」と判断して、テントを倒し、固定して、小屋へ退避しました。
ちゃんと高さ50センチほどの石積みの壁をつくっていたのに、結果は駄目でした。
この夜は前後して数パーティーが小屋に避難。なかにはフライシートを引き裂かれたテントも。私たちは、午前4時までは玄関の靴置場の間に眠り、そのあと小屋の方のご厚意で退避した全員が、談話室に移動、さらに眠りました。私たちは子ども連れでしたが、従業員さんは、朝御飯の支度の合間に、自分から「こちらを使ってください」とすすめてくれました。
午前6時すぎには、20人ほどで部屋は満杯になりした。縦走中の大学生のワンゲルのパーティーも逃げ込んでいました。
この天場は、このくらいの風は、ひと夏に何度かあるんだそうです。
小屋の防風壁も、通常なら冬の風よけで北側に設置されますが、双六小屋では南側に。しかも、分厚い石づくり。それでも、夏場の強風は、隙間をくぐりぬけて、小屋内に雨水を噴霧させていました。
山小屋の支配人をしていた私の知り合いが、いくつかの山小屋を渡り歩いたころ、小屋のオーナーや従業員さん仲間に評判のいい北アの山小屋として、3軒をあげていました。
それは、常念小屋、双六小屋、燕山荘です。
双六小屋にしか、私はお世話になったことはありませんが、登山者への対応や運営面で、なるほどと感じるところです。
烈風とのたたかいの模様は、下記に。
http://trace.kinokoyama.net/nalps/suisyo.97.8.htm
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