元・札幌北稜クラブの中堅クライマーで、私の高校、大学を通じての親友のT君は、福島・郡山市で震災に遭いました。
彼は福島県の農業試験場に勤務したあと、途中退職し、郡山市を拠点に福島県内で農業技術指導をしてきました。
同じ山岳会にいて、現在、鹿児島県のK君(水産部門の研究職)と、私をふくめて、3人のメールのやりとりです。3人で登った記録は、このヤマレコにもその一部をアップして来ました。
福島の農業にかけた気持ちが伝わってきます。
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12日
【鹿児島K→郡山T】
福島の方も大変なことになっていますね
Tくんご一家はご無事だったでしょうか?
不安な夜を迎えていることと思いますが気をしっかり持って震災を乗り切って下さい。
遠く鹿児島の地から皆様の安全をお祈りします。
17日
【東京tanigawa→鹿児島K】
地震後、T君の家電話にかけていますが、NTTの「ネットワーク
故障です」という声が流れて、つながりません。
大丈夫とは思いますが。
18日
【郡山T→鹿児島K】
ありがとう。やっと携帯で受信出来ました。
家の中はメチャクチャですが、なんとか無事です。パソコンは使えません。水が出ないので困っています。浜通りは酷い被害です。原発が心配です。俺も被爆することになるかも。
20日
【鹿児島K→郡山T】
北西の季節風が吹いているウチに北海道に逃げた方が良いのでは?
風向が変わり東よりの風になったら避難指示区域が一気に拡大するぞ。避難民で道路が溢れる前に少しでも遠く離れていた方が良い。
ご検討を。
20日
郡山Tから電話で、母上、娘さんを乗せて新潟へ走行中。奥さんの実家の札幌に行くとの知らせ。「ガソリンが無くて新潟にたどり着けるか不安」。
21日
【フェリーからT→鹿児島K、東京tanigawa】
今、母を伴いフェリーで脱出中。明日の19時過ぎに苫小牧東港に到着予定。それにしても酷い状況だ。福島県、いや東日本が壊滅的状態になるかも知れない。
何とか最小限の被害で収まるのを祈るしかない。
22日
【鹿児島K→東京tanigawa】
さっき静岡出張から鹿児島に戻ってきました。
Tくんは母上も連れて家族全員新潟からフェリーで北海道に避難しました。
無事です。
22日
【東京tanigawa→北海道T】
もどってくるのか? 母上は大丈夫か?
なにか必要なものがあったら、遠慮なく連絡ください。
H君は津波に病院が襲われ停電。呼吸器が止まり、医師が手動で六時間、空気を送り続け、他の病院に転送。無事です。
(注 H君は、私たちの大学の友人。日立の病院にALSで入院中、津波が1階を水没させて、病院の電源が絶たれ、人工呼吸器が止まりました。)
23日夜
【フェリーからT→鹿児島K、東京tanigawa】
今、新潟行きのフェリーの中。母親を連れて札幌に来ていました。
いつ何があっても行動の自由を確保しておくために、母親を札幌に連れて来ました。
一人だけ郡山に戻り、明日から仕事再開です。
自分も北海道に避難していれば良いのですが、責任を放棄する訳にはいかないので仕方ありません。
桧山君が無事で良かったです。献身的努力してくれた医師に感謝です。
それにしても原発事故には怒りでいっぱいです。福島県はこれからどうなるのか。福島県の農業は壊滅的状態になる可能性は高いと思います。特に浜通りと中通りは。
ところで、3号機のプルサーマルの問題が殆ど報じられていませんが、意図的なのかな?
23日夜
【東京tanigawa→フェリーのTへ。3本に分割して送信】
お母様がとりあえず安心できる条件になって、よかったですね。
原発は、一進一退で、まだいくつか山を越える場面がありそうです。
とくに1、2、3号機は、炉心の様子がつかめていません。2号機が格納容器が破損している分、冷却はむずかしいと思います。
それから、2、4号機の建屋は天井などが残っているために、冷却プールへの消防による海水の注ぎこみが、むずかしい面があります。
プルサーマルの件、炉の不安定さの面はあります。しかしプルトニウムそのものは、使用済み核燃料がどっさり、各建屋にあり、炉心にも燃焼後の生成物としてあります。
だから、破壊して爆発・飛散をともなうときは、どの建屋からでもプルトニウムは大量に出て来ます。
なんとか抑え込んでほしいですが、現在、臨時のポンプで注入している海水が、ほんとのところ、どこまで入っているのか、2号機を中心に心もとないです。
海水の注ぎこみと水分の蒸発がかなりつづき、圧力容器や格納容器の内壁は、塩が壁のように固く付着して、熱伝導を妨げたり、バルブをふさいだりしているのではないかと思います。
電源と高圧注水ポンプが機能した場合、3つの炉は燃料棒の上部が高温で壊れかけのため、ここにバルブを開放したまま、水を注ぐ。すると、大量の蒸気ととともに相当量の放射能が大気中に出る。この抑え込みが次の山です。
福島の土壌汚染は長期的ダメージになり、農作物は夏以降も明るくないと思います。
なにかあったら、思いたったら、連絡ください。
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文部科学省発表の定時降下物のデータを見ています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303956.htm
報道では言うべきことが多すぎて、あまり注目されていませんが・・・
グラフにするとこんな感じ。
茨城も、栃木も、東京も1平米当り何万ベクレルもの放射性物質が降り注いでいました。
今日あたりまた雨が降りそうなので、心配すべきですね。
私が住む茨城県も農業がだめになるかもしれない・・・
dari88さん、降下物の放射能測定は、日々の加算の様子がわかり、状況がつかみやすいですね。
降雨と相関する面と、していない面がある。
これは放射能の発生現場の放出量に、雨、風の作用が加わるからでしょう。
それにしても、すごい高いデータです。東京も。新宿でも高くなるはずです。
22日、23日の野菜、水道の汚染は、雨と現場次第でこれからも変動するでしょう。
テレビや新聞でも、その日、その食物を摂ることの安全・危険の大小だけでなく、
この事態が継続すれば、という角度、
それから乳幼児への影響を別に考える角度、
これらが多くなってきました。
茨城県、福島県は、ともに屈指の農業県です。
いまの段階でおさまってくれることを願っていますが、少なくともこの10日間、人間の側は原子力の本丸には攻め入りきれていません。
アメリカ原子力規制委員会が指摘してきたように、次第に現場の放射能レベルが、作業の妨げになりつつある段階へ、進んでいるように思います。一方で、基本的な機器の壊れ方もひどいようです。1基に半月以上か、それ以上かかるようなペース。
3号機の隣りのタービン建屋で、時間当たり400ミリシーベルトですから、20分余り作業した人は、あとは現場から今年いっぱいは離れないといけないレベル。2号機の同じ建屋でも、昨日720ミリシーベルトでした。まず大量の放水などで除染しないと、ここでも作業できない。人手も要ります。
原子炉からの水(蒸気)が通じるタービンか、配管に何か破壊があるのかも。いま目標にしている安定した冷却水の循環がはばまれるような破壊でないことを祈ります。
(12時のNHKニュースで、3号機原子炉または、そこに直接つながる配管等の損傷の可能性を報道しました。)
昨日あたりから、研究者のコメントにきびしさがにじむようになってきました。
人間ができることの小ささを感じます。
当面、万事休す、です。
新しい年度の作付けの中止とともに、土を耕すこと自体を、福島県が中止指示を出しました。
土壌が汚染しているため、耕運機を動かすと、拡散するとのこと。
T君からの連絡では、畑に育った野菜には手をつけずにおく。またすでに収穫して、出荷できなかった野菜は、焼却も埋設もせずに、畑の一箇所に集めて、飛散除けの土をかけているそうです。
処理方法、この先の準備をどうするか、話が続いているそうです。
浜通り地方では、いっしょに有機農業にとりくむ農家も増えだしていたのに、残念でならないとのこと。
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