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の野菜畑の土壌の形成――ミミズたちの習性を観察して」１８８１年）と
いう本があります。
当時の野生生態観察としては先駆的だったこの観察レポートで、驚かさ
れたのは次のことでした。
�顱鉾�の土壌にはごく大量のミミズが棲息しており、その無数のミミズた
ちの体を通り抜ける糞（大部分は土）の総量は、１エーカー（約４０００
平方ｍ）当たりで、年間１０トンにも達する。
かなり真面目に働く当時の農家でも、このミミズの耕運作用に負けずに畑
を耕すのは、容易ではありません。
�髻砲靴�も、ミミズのこの耕運作用によって、畑の表面では年に厚さ０・２
インチの肥沃な土壌の層（土まじりの糞）が積み上げられるのだそうです。
�鵝砲海離潺潺困旅民燭蓮△い辰燭と�の土壌のどれぐらいの深さにまで及
んで行くのか？ 深さ６フィート、８フィートはざらなんだとのこと。
�堯砲靴�も、そのミミズのトンネルに、彼らは餌となる植物の遺体、つまり
木の葉などの断片を、トンネルの入り口の形状に合わせて餌の向きを切り換
えながら、上手に運び込むのだそうです。
ミミズたちの、休むことのないこの土壌の耕運と植物遺体の切り刻み、混
ぜ込み、分解活動によって、人は畑のせいぜい１フィートの深さで追肥や耕
運をするだけで、おいしい野菜を収穫できる条件を得てきたことになりま
す。
＊＊このミミズの活動の影響を、いやおうなく考えさせる調査結果が３月８
日の日本生態学会で正式に発表されます。
「森林に生息するミミズの放射性セシウムについて」（独立行政法人森林
総合研究所）
http://www.ffpri.affrc.go.jp/news/2012/20120208/documents/news20120208.pdf
調査対象は、畑ではなく、森林です。場所は、福島第一原発から２０〜１
５０キロのエリア。
対象のミミズの一種としてドバミミズが紹介されていますが（写真）、実
際の測定ではミミズの種類は様ざまだったそうです。
その結果、289 ベクレル / kgから1万9,500ベクレル / kgの放射性セシウ
ムが確認されました。
このミミズたちは、表層の落ち葉の層から採取したもので、研究者ら
は、
「ミミズが食べてきた土壌や落葉の中間程度の値を示したもの」と推察して
います。
ミミズを通じた食物連鎖によって、他の生物の体内に次々とセシウムが
蓄積・循環していく現象が起きている可能性を指摘する意見もあります。前
回の情報に書いたイノシシのことや、同じくミミズを餌とするにモグラ、ネ
ズミたちなどです。
＊＊気になるのは、別の現地調査で、事故現場付近では野鳥の生息数が、放
射線量が高い地域ほど減る傾向があると伝えられていることです。
鳥の餌はミミズや昆虫、魚、穀類や雑草の種子など。これらのうち、地中
のミミズも、また樹木の表皮の中に住む昆虫の幼虫たちも、様ざまな放射性
物質のなかにおり、食物連鎖のなかにいます。
現場で生活を続けている野鳥たちは、体外と内部被ばくとを大きく受け続
けていることになります。
チェルノブイリ事故による野鳥の被ばくと汚染について、確認点と未解明
な点を見ながら注意深く報告した短いレポートがあります。
http://www.scj.go.jp/ja/event/houkoku/pdf/110628-houkoku4.pdf
この野鳥研究者は、昨年６月の時点で、予断なしに実態の正確な調査の必
要を訴えています。そのなかで、次の内容が印象的に残りました。
チェルノブイリ事故での野鳥とその餌への影響。（本文では野鳥の症状も
詳しく記述）
「環境中の放射能の量と単位面積あたりの鳥の種数や個体数を調べた研究
では、種数、個体数、種あたりの個体数のいずれも放射線量の増加にとも
なって減少している（Møller &Mousseau 2007: Biology Letter 3, 483–
486）。 とくに、土壌中の無脊椎動物（！）を主食にしている鳥の減少が著
しい。土壌汚染による影響がより強く表れているためと思われる。」
今後の環境汚染調査について。
「まず、原発事故の起きた地域からおそらく200キロ圏内くらいまで、い
ろいろな分類群を対象に放射能汚染による個体数などへの影響を調査する必
要がある。・・・指標生物を中心にその後の動向を長期にわたって調査す
る。対象生物を選定するにあたっては、生きものどうしのつながり、生物
間相互作用にも配慮する必要がある。同時に、個体数の減少にかかわる突然
変異率、生存率、繁殖率などについて、汚染による影響をくわしく調査す
る必要がある。」
海の生物たちの調査。
「・・・陸に加えて海の生物多様性や生態系への影響を調査することで
ある。福島原発はチェルノブイリの原発とは違って沿岸部にあり、放射性
物質は海にも流れ出ている。・・・私たち日本人は、食生活のうえで魚介
類や海藻など海の生物多様性に大きく依存している。」
昨年夏前の時点でのこの提案は、その後の調査の進行とまた困難さにてら
して考えると、たいへん的確なものだったと思います。
昨日は、山の森から渓流へと汚染が拡がり、栃木県内の渓流のヤマメな
ども、基準を超えるセシウムで汚染されていることも伝えられました。生態
系の汚染の広がりと循環は、これからです。
＊＊ミミズのことを書いたのは、住民が故郷にもどる除染の難しさが、ここ
にも表れているからです。
セシウムの多くは表土の浅い部分にとどまる、と言われてきました。で
も、ミミズを初めとする土壌生物たちは、セシウムで汚染した枯葉のくずを
地中に持ち込み、また土壌の深い位置で攪拌もします。
そのうえミミズは、セシウムを体内に抱えたままで、地中を深い範囲で動
き回ります。
表土にとどまった放射能の除染を効果的にすすめるには、この汚染の拡が
りに負けぬスピードと規模が必要です。１ヶ月遅れ、また１年遅れれば、条
件はどんどん変わってゆく。
土壌汚染の方も、結局、まず居住地周辺など「小区域」で除染するテスト
が始まっていますが、この方式では、風や雨、ミミズなどによる拡散にたち
うちできません。
そのうえ除染作業はまだテスト段階。
時間がたてばたつほど、放射能の拡散はさらにすすみ、故郷にもどる日は遠
くなります。
＊＊帰るべき自宅などの除染の進み具合は？
いま福島でやっと始まっているのは、本格的な除染の効果を町役場庁舎な
どで試すテストです。
そこでは、セシウムがコンクリートなどとすでに固く結びついてしまい、
高圧洗浄では線量が下がらないことが確かめられています。
洗浄作業で生まれた汚染した水が、用水路や水田に流れ込む「下流汚
染」も、問題になっています。
小中学校のプールも事故以来、汚染した水を流せず、そのまま。志のある
企業が高性能の水処理システムを開発しましたが、プール１つ分の汚染水の
除染に１５００万円もかかるとのこと。除染には膨大な労力と経費と歳月と
がかかります。
表土を剥ぐにも、ピンポイントのエリアで実施しては、また山から森から
放射能が拡散してきます。
＊＊剥いだ土壌も行き場がない。計画されている中間貯蔵施設の容量は、３
万平方ｍの敷地に最大２８００万立方ｍの汚染土壌を運び込むというもの。
ところが、避難地域に指定されてきたうち３０キロ圏だけでも、面積は１
４億平方ｍ。
もし、福島市や郡山市の小中学校でやったように、表土の５センチ分を剥
ぎ取るとすると、その総容積は７０００万立方ｍになります。
計画分ではぜんぜん、スペースが足りないうえに、中間貯蔵施設はまだ用地
買収もこれからで、建設されるのは年単位の先の話です。
＊＊その除染の困難さ、膨大さに直面して、国は被ばく線量「年間５０ミリ
シーベルト以上」の地域を新たに「帰宅困難地域」に編成替えする方針を出
す一方、「年間２０ミリシーベルト以下」を住民が帰る目安にすると打ち出
しました。
避難エリア外では、小中学校の校庭などで「年間１ミリ」のレベルを目標
に校庭の表土の剥ぎ取りなどの除染をすすめてきました。
それなのに、避難地域では、線量が２０ミリ以下なら自宅に戻りなさい、
というのは無理がある。しかも、２０ミリ以下の地域は自治体に除染がゆだ
ねられます。
「２０ミリシーベルト」は、病院・研究施設などの放射線管理区域の年間
基準の４倍もあり、しかも放射線施設とは違って、住民はそこに昼夜続けて
生活し続けなければなりません。とくに若い夫婦や子どものいる家庭は、も
うぜんぜん無理です。
そもそも昨年夏に、「１ミリ以下」を目標に除染すると言ってきたのは、
なんだったのか。
放射能だけでなく、仕事と営農の基盤も失われています。「アンケート
調査」に「家にもどりたい」と答える住民が、調査の度に減ってきている
のも、無理もないことです。
＊＊除染がだめ、帰宅もままならないなかで、国と東電がすすめているの
は、１５万人を超す避難住民への補償のカットです。
○２０ミリ以下の地域が多い、緊急時避難準備区域（５市町村）の住民への
賠償は、今年中に打ち切り。（原子力損害賠償紛争審査会の決定）
○自主避難（２３市町村）の住民への賠償は、昨年１２月末で、すでに打ち
止め。（同）
家を離れ、仕事と営業の手立ても失い、子どもたちも転校したうえに、今
度は、避難を続けていけない措置が順々に実施され始めています。
糧道を絶たれて、自宅に戻れというのでしょうか？ 賠償を切られ、仕事
も絶えた町、病院や学校さえ再開の目途が立たない町にたとえ帰っても、ど
うやって暮らしていけるのでしょうか？
＊＊補償の問題では、東京電力は、もっとひどい。
避難者１５万人超、福島県内・県外の被災・被害者１５０万人、概算６兆
円とされる原発事故の経済的な損害賠償で、煮え切らない東電の態度に、被
害者からすでに１０００件近い「異議」が「賠償紛争解決センター」に寄せ
ら
れています。
そのうち、東京電力が「和解」に応じたのは１件だけ。現場から５キロの
大熊町の７０代の夫婦です。
退職金をはたいて新築した家から生活のすべてを捨てて避難し、東京の公
営住宅もあと１年で退去させられる夫婦に、東京電力が支払ったのは２２０
０万円。
しかも、東電は、「センター」が求めた項目をすべて否定して最小限の金
額に減額したうえに、「請求はこの１回だけ」を条件にしてきました。これ
にはセンターも意見を出しています。
５キロ圏は数十年以後も、住むことはたぶんかなわない。こんな金額で家
を失って、どうやってお二人は暮らしていくのか。東電は、生活のうえで
も、農業経営などのうえでも、これからも延々と続く苦境にたいして、「請
求は１回だけ」で何が補償できるというのか。
「２０１４年度には採算を黒字に」という東電の再建計画の空虚さにあき
れます。
福島の苦労は、今年からがほんとうにたいへんなことになると思います。
そのなかで、危機的な事態に見合う、血の通った全面的な補償は、復興の
最低の条件です。
（長文になり外していますが、記述のデータの出典を知りたい方には、お知
らせいたします。）
tanigawaさん、こんばんは。
こんな状況で暴動が起こらないというのは、日本人の国民性もちょっと行き過ぎじゃないの・・・と感じます。
もうちょっと露骨に感情表現してもいいんじゃないでしょうか？
マスコミはだらしないと思います。
何考えてんだか、考えないで酒飲んでるんでしょうね・・・
自然界についてはミミズの突然変異が気になります。
やっぱ何も起こらないってことは無いんでしょうね・・・
昨日の伊丹十三の特集番組で、戦争責任は国民全体あると十三の父が言っていたことが、大きくのしかかります。
原発事故も国の政策の結果、その政府を選んだのは国民、この責任も国民全体あるということになります。私は反対してましたという方も多いでしょうが、ある意味責任回避／転嫁では。
東電だけが悪いのではなく、日本が全体として間違ったのですから、東電に任せるのではなく、国として施策を行う、そしてその旋削を行う国会議員をきちんと選ぶのが国民なのでしょう。
原発に限りませんが、汚いものはうちに持ってくるなという、自己保全中心思想が日本中にはびこっていますが、これも人の業、仕方ないのかも知れません。
dari88さんへ
生物への影響は環境省が始め出したところです。
チェルノブイリでは、事故現場に近いところで、鳥
の脳の容積の減少、白血球の減少、個体数の減少など
が確認されてきています。
ウクライナ政府などは、半永久的な退去地域、移転
奨励の地域などを示して、汚染度ごとの対策をすすめ
てきています。
人間は、仕事も収入もなしに、いつまでも家に帰れ
ないではいられない。
警戒区域や２０ミリ超の地域では、除染に幻想をもた
せずに、中期的、長期的な移転と生活再建策を示す時期
にとうに来ていると思います。
それにしても、原発というのは、周辺３０キロ
（もっと？）には、人っ子一人いないような場所にし
か、置けないようなシロモノですね。
しかし、地震がなくて、かつ、人が住まない地域で
あっても、そこにはかけがえのない自然環境があるはず。
wakaさんへ。
事故によって住民の生活基盤と自然環境に与えた深刻
なダメージを、ちゃんと元通りにする、せめて被災者の
くらしが成り立つまで責任をもつ、それができてこそ、
これからの話が始められます。
打つ手がないダメージを与えたのであれば、そのまち
がいは、根本から正されるべきです。再稼働なんて言う
立場がありません。
東電に投資してきた銀行と保険会社の元手が、守られ
て、被災者が立つ瀬がない。そんな復興では、本物の
反省・出直しにはなりません。
そして、国が、すべての最終責任を負わねばなりま
せんね。
電気は、真夏の一時期、それもとくに暑い１０日分
だけ、足りないだけのことです。
それと引き換えに再稼働で失うものの大きさ。
くらべものになりません。
どうしても少し足りないなら、天然ガスのコージェ
ネやコンバインド発電を、増設したらいい。
日本が世界に誇る技術をもち、輸出している分野です。
原発数基分、真夏にまかなう電力は、すぐにつくれま
す。現に製造業は、どんどん導入をすすめている。
いま、世論調査では、原発をなくす、いずれなくす、
の声が合わせて７割前後を占めています。
問題は、この声がぜんぜん届かない国の態度ですね。
逆にいえば、最近の選挙はマスコミにのせられて、
何度も何度も、本来の希望にそむく選択を、日本人は
重ねてきたということでしょう。
だます方も悪いが、だまされる方も、事実をよくよ
く振り返って、省察しなければいけません。
未来の世代にたいしては、選んだ自分にも責任があ
るということを、認識しない人が大勢です。
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