その由来について、私の花の図鑑
http://trace.kinokoyama.net/flower/plant-index.htm
では、次のように書いてきました。
「この花の名前のいわれについて、 『塩竈を"浜で美しい"と言うことから "葉まで美しい"にかけた名前』という話が広くでまわっています。
私は納得できません。
塩釜(塩竈)とは、海水から塩をつくる釜です。そのどこが美しいのでしょうか。赤サビや煤にまみれて、無骨さや実用的な見事さはあっても、『浜で美しい』という語呂合わせには似つかわしくないと思います。
属名のもとになった『塩竈菊』の命名のいわれは、もっと別のエピソードがあるはずです。」
3日前に、この件で、ページを見た方から、メールで次のご教示をいただきました。
「はじめまして。塩竈市在住のAと申します。Website拝見いたしました。大いに楽しませて頂いております。・・・さてヨツバシオガマの名前のいわれについてですが、『浜で美しい』塩竈は塩作りの竃ではなく地名の塩竈を意味しているのでは無いかと思います。
宮城県にある『塩竈』はいにしえの都人の憧れの地、その寂しい浜(千賀の浦)の風景を詠んだ和歌が数多くあり歌枕の地としても著名です。源氏のモデルとも言われている源融が京都六条院の邸宅に塩竈の景を移しており、能楽の『融』にも描かれております。
また天然記念物の八重桜『塩竈桜』は文字通り『葉まで美しい』と存じます。
私は門外漢ゆえ間違っているかもしれませんがご参考まで恥をしのんでメールさせていただきました。」
私は、昨日、この方に返事を差し上げました。
「 Aさんへ
美しいとたとえられる塩竈が、塩釜の浜のことだったということ、お伝えいただいてありがとうございます。
それならば、塩釜の浜は、松島とも一体ですから、美しさをたとえられても当然と思います。
私のネット図鑑も、このいきさつを加えて、いまできる範囲で訂正しておくことにいたします。
図鑑や、ネット上の解説は、肝心なところが取り違えになっていることになりますね。
私は福島市で生まれ、育ったので、塩釜市は魚市場をふくめて、行ったことがあります。石巻や金華山も、家族で小さな旅をしたことがありました。バスで半島の先端近くの町まで走ったこともありました。
シオガマギクが命名されたころの時代は、相当古いと思います。その古い時代の、半島の内海と入り江の様子などは、関東でも、都でも、一度見たいと思わせるものだったのでしょうね。
『奥の細道』では、芭蕉は塩釜に宿をとり、松島へ船で渡っているようです。シオガマギクの名前の由来には、昔の人びとが、松島と塩釜をどうとらえていたのかという事も、解き明かす糸口とし
てあるように思います。
メールをいただいて、とても感謝しております。ありがとうございました。」
――ということで、ヨツバシオガマ、シオガマギクの名前の由来にかかわって、これまでひかかっていた胸の中のもやもやが晴れてきたような気がしています。
もともと塩釜市の浜のことと、理解してきた方もおられたと思いますが、ヨツバシオガマは身近な高山の花ですし、多くの解説、ネット上の紹介は、海水を煮る「釜」の話できていますので、話題提供としてお知らせしました。
初めまして 安曇野のnobouです。
シオガマギクの名前の由来,『葉まで美しい』⇒『浜で美しい』と言うのもちょっと苦しい気がします。第1、ヨツバシオガマの葉が特筆するほど美しいとは思えません。
さらに、それがなぜ『塩竃』なのか、塩竃の実物を知らない者にとってはそれ以上にピンと来ません。
なのでこの花の名前についてはずっと腑に落ちないものを感じていましたが、地名の『塩釜』の浜の美しさに例えたと言う説明には納得できます。尤も塩釜の浜の美しさ(寂しいんですか?)を見知っているわけではありませんが・・。時々三陸海岸から仙台にぬけることがあるので、一度見に行ってみたいと思います。 ところでtanigawaさんは『葉まで』⇒『浜で』についてはどうお思いですか・・?
nobouさん、こんにちは。
>『葉まで美しい』⇒『浜で美しい』と言うのもちょっと苦しい気がします。
この仲間は秋に紅葉するんですね。それから、伸びだした若い葉も、柔らかそうで、美しいというよりも、愛らしい。
「美しい」というのはとりあえず外して、「葉まで」面白みがある、目が行ってしまう、興味を惹かれる、ぐらいに考えると、語源としてないことはないと思います。
ともかく、今回取り上げた命名のいわれについては、第一義的な基本資料がありません。図鑑もそこをきちんと踏まえたものはないように思います。言い伝えが何に記されていて、専門家の方が引用しているのか、知りたいと思っています。
いずれにしても、製塩用の塩釜=美しい、という説は、私は弱いと思います。その舞台の海浜や働く人びとの姿は、美しさを感じさせるものがあったかも知れません。
>尤も塩釜の浜の美しさ(寂しいんですか?)を見知っているわけではありませんが・・。時々三陸海岸から仙台にぬけることがあるので、一度見に行ってみたいと思います。
江戸時代以前の面影は、現在の塩釜市の中心部はもちろんありませんが、松島の往時とか、牡鹿半島の入り江などならば、昔々を想像する余地はあると思います。
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