前日にどこへ行くとカミさんに聞かれて、有馬温泉と言ったら、「私は入れなくて惜しいことをした」という。
カミさんは、阪神大震災の時に医療支援で街を8日間動きまわったと。その間、一度も入浴できず、東京へ帰る日になって、支援受け入れの病院のはからいで、温泉へピストン輸送が組まれた。
ところが、カミさんは気持ちが湯にむかず、手もあかず、そのまま阪神電鉄経由で大阪、新幹線で帰京に。
そんなカミさんの”遺恨”が残る有馬温泉へ、六甲山をトンネルで抜けて、到着。
時間があるので、名前が売れている蕎麦屋へ。
青い大皿に信州の蕎麦粉で打った蕎麦を盛りつけていた。
赤穂の塩を、ちょいと付けて食べると、蕎麦の歯ごたえがいい。
でも、蕎麦の香りは、いま一つ。
皿にそのまま盛っているため、水が切れていなくて、それが影響したかな。
会議室のあるホテルで今日は老若入り乱れた弁護士さんらを前に3時間のまとまった話をする。
帰りの新幹線があるので、入浴の間がなかった。お土産も浮かんでこなかったので、新神戸駅で何か探そうと、と思案していたら、別れどきに事務局役のベテランの弁護士さんが、「はい、どうぞ」と紙袋を2つ手渡してくれた。
灘の清酒が4合瓶で2本。それと、私は初めて見る「甲南漬」が1箱。
家に帰って甲南漬の箱を開けると、酒粕がびっしり。
道理で重たいわけだ。
掘ると、瓜、キュウリ、ナスが出てきた。
この奈良漬風の瓜は、甘みと香りが強く、そのためかカリカリ、シャキシャキの歯ごたえがある。こんな奈良漬は初めてだった。
有馬温泉は、人が多いし、車も多いし、ちょっとひと風呂、という感じの宿よりも、ハイカラを極めた鉄筋・鉄骨づくりのホテルなどが目立った。
六甲を超えると、気候も、降雪量も、雰囲気も一変するといわれたけれど、駆け足ではやはり良いところを見ることもできない。
山あいを走る阪神電車が、狭い谷筋を這い上がるあたりの景色だけは、心に残った。
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