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2013年03月19日 21:22山菜記全体に公開

山菜の摘みごろと採集場所の 問い合わせメール への返信

 春と秋は毎度のことですが、今日、次のような問い合わせのメールが届きました。


 初めまして、Sと申します。
 A市に住み、妻と子供3人の、5人家族で生活しております。
 そろそろ、子供たちも大きくなり、長男が8歳、長女が5歳、暖かいときには海や山に行って楽しんでおります。

 さて、この春から色々と家族でアウトドアのようなことをしたいと考えております。
 まずは、テントを買って・・・。など、これから楽しみは少しずつ試してみたいと思いますが、春先に山菜でも取りに行ってみたいなと思い、ご連絡しました。
 私の生まれは、九州。妻の生まれは青森。自然に囲まれた生活をしていたので、お互いに家族と山菜を取りに行った経験があります。
 子供には自然の中で遊び、学んで欲しいと思っているので、是非山菜採りにでもと。
 そこで、色々と調べても時期や場所と言った詳しい情報がなかなか見つからず、ご連絡したしだいです。 

 自宅から、車で2時間から3時間程度かかっても構いません。
 比較的、散歩コースのような感じで、地元の人たちにも迷惑をかけず、山菜採りを行える場所はあるでしょうか?
 また、そのような山菜採りのツアーを行っていただける方や、ツアー自体をご存知ですか?
 あくまで、自然を感じ、山菜を採って子供たちと楽しめればというレベルです・・。
 突然のメールで大変ご迷惑をお掛けいたしますが、何かしらアドバイスを頂けると幸いです。
 よろしくお願いいたします。

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 私からは次の返信メールを送りました。


 Sさん、メールを読ませていただきました。Sさん御夫妻がお二人とも山菜に親しんだ体験があるというのは、自然のなかでお子さんたちと遊ぶのには良い条件ですね。
 ただ、残念ながら、私はきのこも山菜も、具体的な場所はいっしょに行ける知り合い以外にはお伝えしないことにしているんです。
 それは、末永く楽しめるような採集方法と食べ方、そのために相手の山菜の生活条件などもふくめて、実地で交流できるからです。
 また、山菜が、同じ場所で毎年、人に採集を続けられるだけでも、個体数が大きく減ってしまうデリケートな存在だからです。また、そういうポイントを自分で発見するところに、一番の面白さがあるから、というのも理由です。

 でも、時期の判断と、おおよそのエリアとならば、ここでお知らせすることができます。
 (ツアーの件は、ネット検索で出てきますが、私は詳しくは知りません。)

 まずエリアです。
 都内周辺から車で2、3時間というと、奥多摩、奥秩父、丹沢、道志などの南関東の山々が範囲になりますね。この一帯も含めて、山の谷あいや、日当たりのいい斜面などに行けば、いろんな山菜に出会えると思います。
 タラの芽やウド、ワラビ、コゴミ、サンショウなど山菜の多くは日当たりが良い尾根筋や谷の明るい斜面に繁殖します。一方、モミジガサ(シドケ)は沢のそばの日陰気味の斜面が生育場所です。コシアブラやハリギリは、タラの芽と似た日当たりがいい場所に見られますが、関東南部では数は少ないです。

 人の採集圧がかかっていない場所、穴場のような場所というのは、登山道であれ林道であれ、ある程度の距離を歩かなければ見つかりません。楽して自分のスポットは得られません。片道2時間、3時間の行程は関東では普通です。地図とコンパスは必須です。登山として四季おりおりに歩いて、良い場所を見つけチェックしておき、毎年のシーズンにはその時期に合う場所へ足を運んでいます。
 慣れてセンサスの目が肥え、対象も拡がると、より身近な場所でも見つかると思います。

 お子さんといっしょですから、そのなかで山菜だけでない、いろんな自然の体験もできると思います。

 それから対象ですが、タラの芽だけとか、1、2種限りを目当てに動いても、出会いは限られます。私の場合も対象の山菜を多くして、出合う確率を上げています。種類を覚えるには、印象をあとあとまで残す労力を惜しまないこと。迷ったら写真をとり、匂いや味を調べ、図鑑で調べ、1種ずつ覚える。食べられる分は精一杯のこしらえをする。これしかありません。

 関東でも北部の地域は、雪が残って時期は5月以降になりますが、コシアブラやネマガリタケなどいろんな山菜が多いです。
 でも北関東から奥多摩の埼玉県側にかけては、原発事故の放射能が降下して、一部のきのこなどで基準を超える値が観測されてきました。少量なら問題ないレベルですが、お子さんの摂取はできるだけ避けた方が無難です。群馬県北部はずっと通ってきた地域でしたが、汚染はより高めのため、私も摂取はほどほどにしています。


 次は時期の判断です。これは年ごとに大きな変動があります。
 私は旬の見極めに「桜の満開とタラの芽の旬の見極めの経験則」というのを考案して、活用しています。タラの芽の摘みごろには、同じエリアでウド、ワラビ、シドケなども時期を迎えますので、応用範囲が広い時期の判断方法と思います。

 今年の場合は、日本気象協会の3月19日の第5回発表で、ソメイヨシノの予想満開日は次のようになっています。

横浜市  3月24日
東京都心 3月22日
甲府市  3月27日
前橋市  4月1日
松本市  4月9日
新潟市  4月13日

(全国各地のデータあり。)

「桜満開とタラの芽の旬の経験則」では、
1)ソメイヨシノの満開日は、その地域でのタラの芽の摘みごろと一致します。
2)同じ都市内でも標高が40メートル上がるごとに、タラの芽の旬の時期は1日遅くなります。400メートルの標高差があれば、10日遅くなります。
 3)緯度が1度上がるごとに、タラの芽の旬はだいたい8日前後遅くなります。

 たとえば横浜市のデータをもとにすると、
 丹沢山地の標高400m付近では、平地より10日ほど桜の満開(タラの芽の旬)が遅れますので、今年は4月3日がタラの芽や他の山菜の収穫期になります。
 同じく奥多摩の標高800m付近では、4月13日ごろです。
 大菩薩山塊の標高800m付近では、4月18日ごろ。
 桜の満開とかけっこですから、春はほんとに走り抜けるという感じですね。
 緯度1度分をわずか8日で北上しちゃうんですから。

 なお、満開の予想日は、桜が開花したあとの気温によって、前後に修正されますので、気象協会の最新のデータで、摘みごろを判断する必要があります。

 最後に、国立公園等では原則として山菜などの採集は法律で禁じられています。特別保護区はもちろん、公園内そのものが禁止です。周辺部や歴史的に地元で採集されてきた場所などでは、実態は大目に見られている場所もあるようですが、それでも採集には限度があります。
 また私有地も採集はできません。
 現地にダメージを与えず、食べきれる範囲をいただく、という範囲で、楽しまれてください。
                        tanigawa
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この日記へのコメント

登録日: 2012/2/1
投稿数: 865
2013/3/19 21:31
 RE: 山菜の摘みごろと場所の問い合わせメールへの返信
お疲れさまです!

いつも感じることではありますが、tanigawaさまの誠実かつ冷静、論理的でしかも優しさいっぱいの日記には感服いたします。
登録日: 2007/7/19
投稿数: 3062
2013/3/19 21:48
 RE: 山菜の摘みごろと場所の問い合わせメールへの返信
 bunacoさん、今日の東京は25℃ あっという間に、春らんまん! ですね。
 このところ仕事がつまっていましたが、一昨日は仕事先の伊豆半島で桜の開花に出会えました。

 各地の桜の満開の時期は、山菜の摘みごろの判断によい目安ですので、これから5月ごろまで大いに役立ててみてください。
 山桜の満開とも、山菜の旬はよく相関するようです。

 山を見て、山腹の山桜が満開だったら、その山は春がいっぱい。
登録日: 2010/6/8
投稿数: 3883
2013/3/19 22:07
 今年は早そうですね
都内ではもうソメイヨシノもチラホラ咲いていて、週末には満開になるとか。週末の志賀高原ではリフト乗り場の脇にフキノトウが花を開いていました
再来週には近場での山菜が始まりますね。カンゾウのおひたしも美味しそう・・・。

もうちょっとスノーシューを味わいたいと思っているのですが、この調子だと再来週の上越方面も雪が足りるのか心配になってきました。
登録日: 2007/7/19
投稿数: 3062
2013/3/19 22:19
 RE: 山菜の摘みごろと採集場所の 問い合わせメール への返信
 fireboltさん、そろそろ雪が腐ったり、締まったりしてくるので、行動範囲は広げられる季節です。
 スノーシューは上越なら4月でも大丈夫です。

 私もブナ林の雪原をもう一度、体験してから、山菜に転じたいのですが、春は待ってくれません。

 明日明後日は、ようやく休めて、山は植物観察と撮影だけで、温泉です。どこかで春の味を楽しめそうです。
登録日: 2007/5/15
投稿数: 5391
2013/3/20 5:24
 RE: 山菜の摘みごろと採集場所の 問い合わせメール への返信
昨年春、山菜通の人と八甲田を登ってふるまってもらった山菜料理を思い出し、よだれが出てきました。
僕自身はさっぱり知識無く、これまで「穴場」を何度も通過して踏んづけて歩いてきたことでしょう。
櫻の開花でめどをつけるのはわかり易いですね。
きのうは早くも甲府で開花してしまいました。暖かい風に朝からいろんな花の匂いがぷんぷんしていました。
僕にもわかるフキノトウ、こちら甲府周辺の山ではさっぱり見かけません。思えばあれは雪の溶けたところから出るもの、雪の無いところには無いんかな?
登録日: 2007/7/19
投稿数: 3062
2013/3/20 6:50
 RE: 山菜の摘みごろと採集場所の 問い合わせメール への返信
 yoneyamaさんおはようございます。
 フキノトウ(蕗、北海道のものは、アキタブキ))は、日本全国に分布していますいから、南関東をふくめ、どこででも出会えますよ。
 ただ雪国の方が、雪開けした場所にごっそり出てくるので、印象が深いです。

 先日、セミナーで出かけた伊豆では、もう背丈が30センチほどに育ち、伸びすぎて目立っていました。雪のないところは、雑草にまじって生え出すので、目にとまりにくいのかもしれません。

 山梨方面だと、以前、きのこ探索の話題に出たあたりは、沢筋、土手、杉林のすそ、などにいろんな種類が出てきます。タラの芽をはじめとして。4月半ばから、稜線では5月初旬まで。

 去年は八甲田でヨブスマソウを味わってましたが、これは雪国に重点分布しているため、群馬北部から新潟、あるいは長野北部へまわらないと、出合えません。
 
 空振りを減らし、確実に楽しむには、定番の山菜をしっかり覚えることです。
 この春は、ご家族で挑戦されてみてください。

 私のヤマレコ日記の「山菜記」に、ひと通りの種類とエリアは出ています。
登録日: 2007/2/10
投稿数: 6554
2013/3/20 16:24
 RE: 山菜の摘みごろと採集場所の 問い合わせメール への返信
tanigawaさんこんにちは

またキノコ狩り、一緒にいきましょう!
今度は晴れるといいなあ~!
登録日: 2007/7/19
投稿数: 3062
2013/3/21 18:04
 RE: 山菜の摘みごろと採集場所の 問い合わせメール への返信
 bmさん、去年は雨不足で条件が良くなかったうえに、当日の行動時間が雨で制限されました。
 こんどまた、ゆっくりご一緒しましょう。


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