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まず、見かける機会が多い「ヤマカマス」(写真2枚目)。形が雑穀類などを詰める「かます」に似ているからこの名前があります。中に棲む蛾は、ウスタビガ。鮮やかなオレンジ色の蛾で(写真1枚目)、繭の外見の印象がぶち壊される感じです。
年間の生活サイクルを学芸員に尋ねたら、この緑色の繭から蛾の成虫が羽化するのは、秋後半から11月ごろにかけてなんだそうです。
すると、秋のきのこ観察などで、森で見かける繭は、ちょうど羽化する時期のものということになります。
「じゃあ、冬に見かけるヤマカマスは、からっぽなんですね」と聞いたら、「いや、そうとは限らない。中の蛹(さなぎ)がウィルスなどの病気に侵されて繭から出て羽化できないのもあるし、寄生虫が付いて死んでしまうのもある」ということでした。
ウスタビガの成虫は、秋に羽化し大人になると、ほとんど行動範囲を広げずに、羽化した場所の近くで、雄雌が出会い、数日うちに卵を産み、死んでしまうんだそうです。
卵はそのまま冬を越し、食べ物の葉が生える4月に孵化、生長して梅雨ごろには、もう繭(ヤマカマス)に入ってしまうとのこと。
親になって生きている時間は、ほんのわずか。セミと同じだと思いました。
生き物には、いろんな一生があるものです。
もう1種、秋から冬に出会う機会が多い繭に、編み目模様が粗く透け透けの繭があります。(写真3枚目)
尋ねたら、「これだね」と展示を示してくれました。クスサンという蛾で、秋に編み目の繭から出て、産卵します。周年のサイクルはウスタビガと似ています。夏ごしの繭は空気や水の通りがいいので、快適かもしれません。
ウスタビガもクスサンも、繭は晩秋から目立つので、繭で年を越すものと想像してましたが、実はぬけがらだったことがわかりました。
展示には、繭をつくる蛾の仲間というところがあり、自然の世界でいろんな繭がつくられていることがわかりました。
もともと絹糸をとる蚕も、自然の蛾の仲間のヤママユガ。言われてみればそうですが、自然の蛾をそこまで利用してきたアジア人、日本人はすごい。
自然のヤママユガは、もともといろいろな色合いの絹糸を生み出すこともわかって、いやあ、奥が深い。
これらの自然の蛾がつくる、色も風合いもさまざまな糸から、いろいろな色の糸をとって、工芸品、スカーフなどを作ることも進められているそうです。
蛾は姿はなつけませんが、自然界では健気に四季をつないで生き抜き、人との独特の接点ももってきたことを感じさせられました。
昆虫と自然の館(蛾の展示はごく一部で、昆虫全体が展示されています)
http://homepage3.nifty.com/sundog/ogose/
入館無料なうえに、質問に詳しく答えていただけました。
(写真1枚目、3枚目は同館関係のサイトから)
里山の雑木林を歩いていると写真のような昆虫類と会いますね・・・でもあまり興味もなくただ見て帰ってきていましたが、これからは写真を撮って自己流に書き留めたいとおもます。ただし深く知ろうとは思わないので・・・
いえいえ、tokiyosi64さんも、ちゃんときのこ、山菜などに目を向けてるじゃないですか。そして、薪集めも。きっと実は、そんな日々の活動のなかで、いろんな山と森の生き物たちと、お近づきになっているんだと思いますよ。
私は、子どものときから生き物好きでいろんな虫と遊んできました。いまは、温暖化にともなう山と生き物たちの変化に、気をとられています。
山はいろんな楽しみや発見があり、そこでは生き物たちの存在が欠かせません。
いい出会いがあったら、アップしてください。
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