表銀座からの槍穂


- GPS
- 30:49
- 距離
- 43.9km
- 登り
- 5,939m
- 下り
- 5,852m
コースタイム
- 山行
- 5:53
- 休憩
- 5:58
- 合計
- 11:51
- 山行
- 8:16
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 9:23
- 山行
- 10:57
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 12:35
天候 | 16日:暴風雨 17日:2800m以上ガス強風 18日:ピーカン 19日:ピーカン |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
燕岳〜大天井岳は少し荒れている。 ジャンダルムは滑落死事故があり、要注意。 |
写真
感想
2019.08.15
台風10号の進路は想像よりも遥かに遅く、お盆前半に来ると思ったが、丁度ラッキーな事に合間の15日に通過をすることになった。よって16日からの山行はそれほど影響が無いだろうと考え、15日夕方から北アルプス入りを目論見、高速バスを使って松本駅へ向かった。初めての高速バスで運よく座れ、しかもガラガラで快適なバスの旅であった。
前日まで岳人でごった返していた松本駅周辺もお盆の終わりを告げるが如く静かな駅前となっていた。
ただ、諏訪湖の花火の開催日とあって、大糸線はこんではいたが、席が埋まるほどでは無かった。
穂高駅でステビバを行う。まだまだ夏の空気が残っておりシュラフなど使わないで寝れた。
2019.08.16 Day1
4:00AM位から雨が降り始めて来た。台風の影響だ。それでも、穂高駅には登山者が集まってくる。タクシーの運転手が同乗者を探して駅に来るが皆、バス待ちである。中房温泉行のバスは、数名の登山者が既に乗っており、途中の停留所での乗車も併せるとほぼいっぱいな感じで中房温泉に着いた。着いた頃には雨もかなり酷い状態になっていて、途中の沢も濁流が流れていた。
今日は大天井岳迄の予定なので、6時間程度で到着できる見込み。雨も午後になると止む予報の為、あまり早く行ってびしょ濡れになったり、稜線上で吹かれたら嫌なので、中房温泉の軒で様子見をする。
周りはどんどん出発をして行く。早く大天荘について、休憩するのも悪くないなと考えを改め、それでも雨が小雨になった瞬間を狙って出発した。まずは合戦尾根で、燕岳を目指す。
合戦尾根は沢のような様相で、濁流が流れてくる。あまり足を汚したくないので足を置くところをえらびながら登っていく。
途中の合戦小屋で、また雨が酷くなって来た為、ここでも30分程雨宿り。後続の方はスイカを食べていた。美味しそうではあったが、今は体を冷やしてはダメなので、ここは我慢をして雨が落ち着くのを待つ。また、雨が落ち着いた頃を見計らって出発する。1時間程度で燕山荘に着く。小屋の中はまだ、営業前の準備中で掃除をしていた。仕方がないので荷物をデポして燕岳に行くことに。稜線上は、風がMAXに吹いていて雨が礫の様に叩きつける。そして、燕岳へ道は登山道は誰も居ない(笑)
メガネ岩の所で2人のカップル登山者に会う。お互い良くこんな天気の中来たなぁ〜と言った感じ(笑) そして、貸切の燕岳ピークへ。雨もたたきつけくるので、自撮りでカメラを見るのも一苦労。撮るもの取って早々に退散。
帰り道も勿論誰にも会わないで燕山荘に戻る。 数名の登山者が入り口で待機をしていた。中で朝礼をやっているので入れないとの事。休憩をしている内に、続々と入っていったので、自分も中に入り天気を確認する。そこで雨雲が取れるまで30分程待機をさせて頂いた。 雨雲もレーダからは取れた為、大天井岳を目指す。途中数名の登山者が先行していた。
登山道は、下から横から吹き付ける風で体が持って行かれそうになる位の強風である。20m弱はあるだろう。
何回かよろめき、滑落しそうになる。一番の難所は、切通岩からの大天井岳への取付きでここが風の通り道となっていた。
20mを超える爆風が吹いていて急登になっている為、体を持って行かれバランスを崩すととても危険な場所である。
ここは細心の注意を払い何とか大天井岳への登山道に取付く。ここまでくればと思ったとたん、爆風に煽られる…。気が抜けない。何とか残りの300mを登り切って予定通り6時間程で大天井岳に着いた。
小屋で休憩をさせて頂き雨・風が収まるのを待ってテントを張ったが、それでも一晩中、強風に晒されていて、手持ちのカラビナスリングが無ければ危なかった…
小屋では、Stay組の人や後から来た登山者達とお茶を飲んだり食事を取ったりして歓談をして過ごした。 小屋泊の楽しみの一つである。
夕方になりテントも張れ、風も少し落ち着いてきたので大天井岳のピークを踏んで食事を取って翌日に備えて早々に就寝とした。小屋では暖房が入っていて、乾燥室も利用させて頂いた為、すべての着るものが乾いた状態になりとても快適に過ごすことが出来た。
2019.08.17 Day2
夕方になると風が止むとの予報を信じてテント泊を行ったが一晩中強風に晒されていた(笑)とはいえ時と共に少しずつ弱まっていくのは感じられた。 ガスが立ち込めていた大天井岳ですが、夜のうちに星が煌めき始めておりましたが、相変わらずの強風で台風の強大さを感じさせられます。この日は槍を越えて、天狗原に降り、南岳に登り返すタフな行程。また、土曜日という事もあり沢山の登山者が槍ヶ岳へ目指してくることが想像できた為、遅くても10時までに肩の小屋に着きたい。はやる気持ちで急いで出発をする。が強風で中々思うように準備が進まない。大天井ヒュッテを目指し高度を落としていく。2800m付近までは強風と時折ガスが立ち込めて来るが、山陰に入ると風が止んだ。大天井ヒュッテは静かに眠っていた。喜作新道をひたすら歩く。とても快適で歩きやすい道である。まだまだ夜明け前の為、熊との遭遇が怖かったが、居ないことを信じて進む。ビックリ平に出るも、まだ夜明け前で薄暗い。
赤岩岳を越える頃になりようやく朝日の時間になる。モルゲンロートに照らされる喜作新道が奇麗である。
西岳のピークを踏み、ヒュッテ西岳の軒で休憩をしていると小屋の方が出てきてここで休まず他に行けと言われる。感じが良くないので早々に水俣乗越に向かって降りて行く。ここまでは登山者に会う事は無かったのですが、水俣乗越で先行をしている登山者に出会う。乗越すぐ上の岩陰でお湯を沸かしていたのでしばし歓談。前日はババ平にテントを張っていたとの事。あの暴風の中お互いご苦労様ですと(笑)苦労を労い、先を急ぐ。
連日の疲れからか、登りでのペースが上がらない。息もすぐに切れて思うように高度を稼ぐことが出来ない。右手に北鎌尾根が見える東鎌尾根は、写真をとるには最高のロケーションの為、休憩をしながら写真を撮って騙し騙し登っていく。
2800m位までは晴天域ではあるが、それよりも上部はどんより。登るにつれてドンドンガスが近づいてくる(笑)
水俣乗越から肩の小屋までは2.6Kmありカウントダウンをしてくれる。残り1Kmを切った所で、ヒュッテ大槍に着く。ここでも休憩を取りいよいよ最後の1Kmを歩く が、なかなかこのラスト1Kmが曲者である。鎖場ありのハシゴありである。ここにきてこれか!って感じで目標の8:30には届かなかった。 3分遅れで肩の小屋に到着。数人の登山者が居るもののこの時期の槍とは思えない位静かな山荘である。荷物をデポして早々に本峰にアタックする。途中で学生らしきパーティに道を譲って頂き15分弱で登頂が出来た。山頂では1人登山者が居て、カメラマン待ちをしていたのか、お互いを撮りあいをした。写真を撮りあっている間にもガスが付いたり消えたりと忙しい天候である。彼も満足をしたのか、下山をして一人正月以来の穂先の貸切を堪能する。来月来る北鎌尾根の出口をどこにしようか思案したり、北鎌平を見たりと正に贅沢な時間を過ごす。いい加減飽きてきたので、下山を開始。少し下った所で、女性単独登山者が登って来た。山頂貸切ですよーと教えてあげて、肩の小屋に戻る。肩の小屋に戻り後は、天狗原から南岳に行くだけになった為、時間を持て余す。小屋でしばし休憩を取り、天狗原へ降りる決意をする。(笑) 大体ここから700m程落とす事になる。
殺生ヒュッテを過ぎると雲の下に出て天候の回復と共に気温が上昇する。沢山の登山者が槍に向かって登ってくる。2600m辺りまで来ると天狗原への道が目視出来るようになった。あそこ迄おろすのか。そしてまた3033まで登り返すのか。と今更ながら自分の計画に霹靂する。天狗原の出合の手前で1名登山者が天狗原へ向かうのを確認する。そして道中でその方に追いつく。
槍に行かずこちらに行かれるのは珍しいですね。と声掛けをすると。この天気なので槍に行っても…と回答が戻って来た。
なるほど。である。 天狗原(天狗池)は、逆さ槍が見られるポイントで有名な場所でいつか行ってみたい場所の一つではあったがいつも時間が無く素通りしてきた。今回は時間に余裕があった為、訪れてみたがやはり素晴らしい場所であった。勿論、槍はガスの中で殺生ヒュッテすらも見えない状況ではあったが、のんびりとした空気感が溜らなく癒しの空間を作り出していた。
槍が見えるだろうポイントに腰を掛けてしばし休憩をしていると、野猿が数匹我が物顔で闊歩していた(笑)
取れないガスを期待して待っていても仕方がないので、早めに南岳に行き天気の回復を待った方が賢いかと思い、南岳に向かう。
道はしっかりとついてはいるが、なかなかの難路である。自身の疲れや体力の低下もあるのだろうが、とにかく登りがきつくて辛い。今朝がた登って来た東鎌尾根よりも悪いように感じられ、所々で三点支持で登る。上からは登山者が降りて来る。確かにこの道は登りで使うところではなく、下りで使った方が良いように感じられた。騙し騙しで1時間半ほどかけて南岳の稜線に出た。
その後もこれはあり得ないだろう…という最後の南岳の登りを経てようやく南岳小屋に辿り着く。テントはまだ3張程。今夜も快適な宿が確保できそうだ。小屋でドリンクを購入しようとするとすべて売り切れでモックアップのポカリスエットが1本残っていたのでそちらをゲットして体力回復を行った。その後はテントをたてて、昼寝をしたりしてのんびりと時間を過ごした。
槍平から登山者が上がって来ていた。
2019.08.18 Day3
3日目の行程は、大キレット→涸沢岳→奥穂→西穂である。夕方からあまり天気が良くない予報だった為、可能であれば上高地まで降りたい所である。それぞれのパーツは過去に歩いたことがあるがここをすべて一気通貫で歩いたことが無いので、時間的に体力的に精神的に行けるか不安であった。特にジャンダルムでは先日事故があった為、慎重に進まないと行けない。増してや自分は、ここまで酷使をしているし、全装での縦走なので他の登山者とは違う状況である。
緊張のあまりお腹が痛くなり出発が15分程遅れた。獅子鼻に向かうと小屋の人が佇んでいた。
小屋の人とあいさつをして別れる。いよいよ大キレットの下りである。よく見ると先行にヘッドライトが見える 早い人が居るものだ。その人を目安に降りて行く道はとても整備されていて歩きやすい。途中で先行者に追いつき挨拶を交わし先に行かせていただく事になった。先頭になった。鞍部に着く頃にはうっすらと明るみが出てきたが、ヘッドライトは消さずに進む。前回通ったのは5年以上前になる為、記憶を探りながら進むが想像以上に良い道なので安心もしつつ、慎重に進む。
左手には常念が見て取れる頃にHピークを過ぎる。ダイヤモンド常念になりそうだ。A沢のコルに着く頃には、日の出の時間となった。難しい所は過ぎたので、あとは北穂に向けて400m程あげるだけとなった。日が出ると北穂方面から登山者が降りてくるようになった。やはりみな日の出後の出て来るのだろう。こちらは相変わらず上がらないペースに自分自身に対してヤキモキしながら、少しずつ北穂を目指す。久しぶりに三点支持しながら登る山は面白いなぁ〜と感じ、折角だからのんびりとこの登りを楽しむ事にするように頭を切り替えた。テン場を出てから2時間程で北穂山荘に到着をした。小屋前で休憩をしようとしたが、小屋前でタバコを吸っている人が居て空気が悪いので、小屋前は素通りして山頂へ行くことにした。朝日に照らされているキレットはとても美しく写真を沢山採った。
槍以外にも北アの山々が見て取れ、また反対側には前穂・奥穂の山々が見れたのでしばしここで景色を堪能した。次は涸沢岳だ。
北穂のテン場には数張のテントがありそこを横目に最低のコルに高度を落とす。そして登り。先行者の姿が沢山見える。北穂の登り同様手を使っての登りを楽しみながら涸沢岳を目指す。1時間程だろうか。涸沢岳に到着。眼下に穂高岳山荘が見える。
穂高岳山荘でも休憩を取る。登山者の出発ラッシュが終わった頃なのか、穂高岳山荘周辺は空いていて静かな空気が漂っていた。
奥穂高岳まで登れば、これ以上高い所に行く必要が無い為、そこまで頑張って行くことにする。後続が来るので、相変わらずの上がりっぱなしの息に、後ろからのプレッシャーを感じながら高度を稼いで行くが結局山頂までは抜かされなかった。昨年の秋に日帰りで来た際には、道中にピッケル?の銅像のようなものがあった記憶にあるが、今回は見つける事が出来なかった。
奥穂高岳の山頂も一段落をした感じがありのんびり雰囲気でみんなで写真を撮りあっていた。丁度ジャンダルムを往復してきたという方が居て、恐ろしかったと話していた。奥穂高岳での撮影もそこそこにジャンダルムへ向かう。特に難しい所は無く何となく悪いなという所があり、対向の人に待ってもらう場面があったが、そこがウマノセだった。対向の方に、ウマノセを越えましたね!と声をかけて頂いた。 ジャンダルムを回り込みジャンダルムを取付く。ここは空身で行くことにした。手前のコルにザックを確保してジャンダルムに取付く。体が軽い! ジャンダルムに到着。上には4名程の登山者が居てみんな休憩をしていた。自分もこの景色で休憩したいなぁと空身で来た事を後悔しつつ先を急ぐ事にした。ジャンを過ぎると西穂かと思っていたが、長い下りがあり、天狗のコルと間ノ岳があったことを忘れていた。西穂方面から沢山の登山者が登って来た。すれ違いにエールを送る。天狗のコルを過ぎ天狗の頭を過ぎ間ノ岳を過ぎると西穂高が見えて来た。数名の登山者がピークに立っている。あそこ迄行けば地味な登りも無く下りだけになる。早く楽になりたいという気持ちだけで進んで行く。西穂高岳山頂を過ぎるとチャンピオン・ピラミッドと過ぎ、独標へ着く。後ろを振り向くと奥穂高岳方面はガスに包まれていた。登っていた人達はピークからの景色を楽しみに登っていたのに残念だなあと同情する。
独標は夏も冬も大人気。沢山の登山者が山頂に立っていた。みんな自分の装備を見て、道を譲ってくれた。丸山からの下りは冬の方が快適に下れる。
西穂高山荘にはこれまた沢山の登山者がおり日陰で休憩をしたりラーメンを食べていたりした。今日の予定はここまでではあるが、上高地まで降りるか悩んだ。ここから上高地まで約850m足と体力が持つか不安ではあったが、山荘の方に天気を確認すると今日中に降りてしまった方が明日の朝ゆっくりも出来るという事もあって降りる事に。暑さとの闘いではあったが、稜線で遮られ、風が程良く吹き抜けたので快適に降りれた。結局山荘から丁度1時間でくだれた。
バスターミナルにより、翌日の始発バスの確認を行ったら後は自由行動。お店に入り目についたものを購入して小梨平のキャンプ場へと足を運んだ。河童橋付近では観光客もいたが、想像していたよりも少なかった。小梨では久しぶりの水場に癒しを求めゆっくりと小梨でのキャンプを楽しんだ。
当初は4日かかるかなと思ったこのルートを3日で歩けた事はとてもいい経験になった。
翌19日はのんびり起きて、コーヒを飲みながら登山者の往来を見学し、上高地から松本までの旅路を楽しみながら帰宅をした。
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