すでに関東、中部地方でも犬などの感染が報告されてきましたが、愛知県での発見とは、改めて、感染拡大の進行を感じます。
エキノコックスは、キツネや犬、猫の体内で生育・生活する寄生虫で、糞に混じって卵(虫卵)が環境中に排泄されます。その卵が自然水などにまぎれて飲用されたり、または直接、人の体に糞が接触するなどして、人間にも感染します。ノネズミも寄生されています。
人の体内では肝臓に寄生し、手おくれになると重篤な肝不全で死亡する例ことも多い。北海道で初めて患者が出たのは1936年、礼文島でした。1924年に12尾のアカギツネを毛皮養殖用に移入。そのキツネがエキノコックスに感染していて、島中に感染が拡大しました。発見が遅れ医療も十分でなく約200人が死亡。その後、礼文島ではキツネが完全に退治されて、エキノコックスは終息しました。
しかし1960年代に、道東でまたもエキノコックスが出現。それでも、私が北海道の山で遊んで70年代のころは、エキノコックスは、知っている人が「道東に行ったら、牧場の周囲にいるキツネと糞、牛の胎盤などの食い残しには気をつけよう」と話題にしてくれるという感じでした。山では湧水、流水も平気で飲んでいました。
90年代に北海道全体に急速に感染エリアが拡大。現在では、 道内ではキタキツネの感染調査で、60%という数字も出ています。飼い猫の調査でも1匹、感染確認。94年には、あの旭山動物園でゴリラやサルに感染死が出て休園に追い込まれています。患者は年間20人程度。
感染は、99年以降、東北地方から中部地方へも広がって、人間の患者もこの地域で各県に1〜数人ずつ見つかっていますが、感染経路がいずれも不明なままです。
しかし、感染確認の回数は少ないとはいえ、本州でもどんどん西に感染動物と患者が見つかりだしているのは、不気味な感じです。今回の愛知県での感染確認も、2004年に感染確認の報告が獣医師に義務付けられたことが支えになっているように感じました。
相手は潜伏期間が10年以上、十数年して「なぞの肝臓疾患」に襲われ、亡くなる場合もあります。私も90年代でも大雪、知床、十勝などで山の流水を飲んでいたので、真面目に考えると、今後も肝臓には注意が必要かも。
まず、出かける山域でのエキノコックスの汚染度について、注意喚起があれば気をつけたい。東北の山も、すでに汚染のグレーゾーンになりつつあるところなので、念には念を、ですね。人なつこいのもいますが、キツネにはむやみに近づかない。
子どもは地面に手を触れやすいので、場所によっては注意する。
山域によっては山や沢でも、流水の摂取や、汚れた手で食物を食べるのは、そろそろ気をつけなければならないということでしょうか。
(図は、国立感染症研究所のサイトから)
北海道だけではなかったんですね、まぁ青函トンネルが出来たので事実上陸続きになったから仕方ないのか
アラゲンさん
>北海道だけではなかったんですね
患者数 〜2001年まで
( )内の数字は本州で感染したと見られる患者数
国立感染症研究所のデータ。
北海道 424
青森 22(9)
秋田 3(1)
岩手 2
山形 1
宮城 8(3)
福島 1
千葉 1
東京 13(2)
神奈川 3
愛知 3
三重 1
新潟 5
長野 2(2)
富山 4
石川 1
福井 1(1)
京都 1(1)
大阪 3
**ここで挙げたヒトの患者数のほか、野生動物やペット、野良犬などの感染確認件数があり、今回の愛知県はその1つ。
岡林信康主演の映画「きつね」でエキノコックスの事を知りました。
(その時もらったキタキツネのプラスチックのトレイ、今でも台所の洗剤置場に使っています。)
http://movie.walkerplus.com/mv17138/
道内山行でも、内地でも、今も昔も沢の水は基本がぶ飲みです。山では流れる水を飲めるのが魅力の一つでした。山で水飲みを我慢するなんて、何のために山に行くのか!という感じです。
でも山麓ではキタキツネによくあったけど、山の奥の方ではあまりあわなかったなあ。厳冬の三段山山頂であった事はありました。
80年代は道東だけだったのですね。
さくさくさんの岡林信康、出演の映画なんてあるのですかー。
sakusakuさん
>岡林信康主演の映画「きつね」
この映画は見てませんでした。
低温研の研究者が主人公のようですが、卒業後に何度か別件で研究者に話を聞きにいったことがありました。
道内だと大雪の愛山渓に当時は拠点がありました。
よねやまさん
>山で水飲みを我慢するなんて、何のために山に行くのか
沢の源頭は溝状になって、そこだけネマガリダケが生えておらず、ルートにとりやすいですが、半面では野生動物もそこを使い、糞も多いことになりますね。
「最初の一滴」は「当選確率」も高い。
勢いよく流れている沢水なら、感染する確率はずっと小さいですね。
キツネをはじめとする哺乳動物の糞が危ういので、山菜もよく洗うことが大切になります。
by 渓川
こんにちわ、 tanigawaさん
自分も北海道だけだと思っていました。
ひょっとして奥多摩もヤバいんですか?
yoneyamaさんの、
>さくさくさんの岡林信康、出演の映画なんてあるのですかー。
同じ質問(疑問?)です。(笑)
tabioさん
>ひょっとして奥多摩もヤバいんですか?
県別のヒトの患者数では、東北と、長野県あたりは水には注意したいですね。
東京では、患者数が13人と多いですが、うち多くは道内に行って感染したことが推測されています。
ただ2人は、感染源が北海道とは切れていますね。
北海道に車で行き、犬を連れて往復したり、現地で犬を入手したりしても、感染を持ち込む事例になると思います。この場合は、道内で入手できる寄生虫除けの犬専用の薬剤を使うと防げる場合がありますね。
これは私の推測ですが、
1)北海道で飼育されたペットを入手して本州に持ち込むだけでなく、
2)道内の動物の肉、生きた家畜等を本州に持ち込む場合も、きちんと管理・検査がされない場合は、その確率は低いですが流入ルートの1つになりうると思います。
地面や草などに手を触れやすい子どもさんにも寄生して、同様の症状を起こすとのことですので、動物やその遺体との接触は注意したいと思います。
一般的な症状の進行について、wikiではこう記述しています。
「感染初期の嚢胞が小さい内は無症状だが、やがて肝臓腫大を惹き起こして右上部の腹痛、胆管を閉塞して黄疸を呈して皮膚の激しい痒み、腹水をもたらす事もある。次に侵され易いのは肺で、咳、血痰、胸痛、発熱などの結核類似症状を引き起こす。経過は成人で10年、小児で5年以上かかるといわれている。そのほかにも、脳、骨、心臓などに寄生して重篤な症状をもたらす事がある。また、嚢胞が体内で破れ、包虫が散布されて転移を来たす事もしばしばある。内容物が漏出するとアナフィラキシーショックとなる。本虫の引き起こす症状は大型の条虫よりも重篤である。」
アナフィラキシーショックというのは、強いアレルギーを引き起こす物質が大量に体内に出現したときに起きる、命の危険が高いショック症状です。
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